第一話 プロローグ
2章の開始です。
お読みいただきありがとうございます。
川辺夏美 視点
あれから、おじさんとは会う事は出来なかった。
ニュースでもおじさんの悪評を訂正しようと躍起になって流しまくるも、空に浮かんだ回収率ってのが、71%で止まってから一切進まなくなった。
それを見たみんなが実感したのはSNSで適当な事を拡散させる怖さを。
私の両親も、SNSで訪れて書き込んだ先を細かく探し出しては訂正文を書いて回ったけど、アカウント凍結があったり、既読が付かなかったりと、回収するのに苦労してるようだ、回収率も82%で止まったままで頭を抱えてる。
たった2か月で拡散した事が取り返しの付かない結果になってしまっていた。
お母さんは、拡散したSNSの訂正の書き込み作業の他に、おじさんの母親の遺族に会いに行っては、会ってもくれない日々を送っている。
謝罪文をしたためた手紙を投函するも、投函口から回収される事もなく、集合投函口近くのごみ箱に封も切らずにそのまま捨てられてる手紙が毎日山の様に捨てられてるだけだって。
大勢の人が、おじさんの母親を追い詰めて死なせちゃった様で、自業自得だよね。
考えてみたらそうだよね、私が遺族の立場だったら、絶対に会わないし、今更したためられた文を見ようとも思わないだろう。
謝罪なんて生きている内にするもんだ。
そして、私の方にも政府やマスコミが接触を図り、【ダンジョン】での事を聞こうとしてくるのだが、普通の会話や挨拶は成立するのに、日常会話に【ダンジョン】の事が含まれそうになった瞬間、相手の口が声を発せなくなってしまうの。
それは、私の両親や兄弟達にも同じで、【ダンジョン】の情報を求めてくる人達は、徹底して声が出せなくなると言う事。そして手紙で質問状を目の前で渡された際にはなんと、紙に印刷されている文章が一瞬で消え去ったのだ、〔神〕様も徹底してくれてる。
【ダンジョン】の情報を得るために、ハルが誘拐されそうになった事もあったが、ハルに触ることが出来ずすごい勢いで吹っ飛ばされた男性を目撃したそうだ。
そのような状況が続き、マスコミ関係者や政府関係者内で、この不可思議状況が浸透したのか、今では誰も接触する事無く、平和な日常を満喫している。
ハルの件だけは、〔神〕様の仕業か、【結婚可能人数】の効果なのかは、微妙に分かってない。
というのも、【ステータス】が導入された日から、男女間の営みをしようとすると弾け飛ばされるとニュースでも取り上げられていたからだ。
自分も何も考えずになら、男性に触れる事は出来る。おじさんにも触れる事は出来たし、いつもの男性友人達とも触れ合えるが、そこに少しばかり恋心的なものや触れる喜びの様な感情が入ってしまうと、弾かれるのだ。
弾かれると言ったが、そこに悪意の感情が含まれないとちょっと押し返される感じの弾かれ方でビックリするぐらいで済むが、悪意が含まれた行動の場合は数メートルもの距離を吹っ飛ばされて、巻き添えを食らい怪我をする人も出ていた。
おかげで、通勤電車は今では男女別々の乗車が決められたし、路線バスも男女別々の運行になった。当初の様に混合で乗車した際に吹っ飛びまくってけが人が大勢出たからね。
しかも、痴漢だけが吹っ飛ぶのではなく、盗撮を試みた人物まで吹っ飛んだのである。性的興味を持っての男女間の接近は絶対のルールで弾かれるようだ。
〔神〕様は徹底して、弱い者に子を残して欲しくないようだし、悪意ある魂の持ち主は徹底して排除したいようだ。
そしてもうじき、〔神〕様が言ったように三ヶ月目が来る。新しい【ダンジョン】が誕生して、第2幕の開幕となるようだ。
政府は、慌てて【ダンジョン】に入って良いのは15歳以上と取り決めた。15歳以下の子供に凄惨な姿を見せたくはないのだろうと、ニュースでの見解だ。
私は、状況をみて【ダンジョン】に入ろうかと考えている。食料の供給率が安定しないのであれば、戦える自分も兄弟を食べさせる為に協力するべきだと思うし、私達4人はおじさんに【スキル】を幾つも貰っていた。
私は【ダンジョン】で役に立つからと、〈探知〉と〈水魔法〉と〈土魔法〉と〈衝撃耐性〉と言う【スキル】を追加で覚えさせてもらった。〈料理〉だけがスキルレベルが上がってるが〈水魔法〉と〈衝撃耐性〉も、おじさんの異空間内で訓練して少しばかりスキルレベルを上げる事が出来た。
もちろん私だけが〈スキル〉を貰った訳じゃない、サクラもミサキもハルもそれぞれ役立ちそうな〈スキル〉を貰っていた。
確か、サクラが〈探知〉と〈風魔法〉と〈衝撃耐性〉と〈病気耐性〉を覚えたはず。私がサクラは昔から病気がちなんだよねって言った事がおじさんに決意させたようだった。
ミサキは、〈探知〉と〈水魔法〉と〈衝撃耐性〉と〈毒耐性〉と〈短剣術〉と〈盾術〉を覚えさせられてたな。
なんでミサキだけ6個もって聞くと、おじさんは短剣術と盾術ってセットみたいな物だし、それにほら、なんでもホイホイと口に入れて食べちゃうミサキちゃんには毒耐性も持ってないと不安で仕方ないとね、苦笑い気味に答えてくれたっけな。
最後にハルだけど、〈探知〉と〈火魔法〉と〈回復魔法〉と〈衝撃耐性〉のスキルを覚えさせて貰ってた、その時のおじさんったら、ハルちゃんにはなんだか回復魔法って感じじゃない?って笑ってたっけ。
もちろん、私たちが〈スキル〉を得ているのは両親すら知らない。教えていないし目の前では使ってないから、〈料理〉スキルだけは自動で発動しちゃってるから美味しい料理が作れて楽しいけどね。
おじさんと約束した、美味しい料理が出来たら食べてねって約束も実行されてない。
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坂元 岬 視点
私も、未だにおじさんとは再会出来てない。
あの会場から出ていく後ろ姿を見たのが最後で、政府の人に聞いてみても前日に泊まったホテルの部屋に会見場で着ていた背広や用意してくれと頼まれてた着替え一式が部屋の中にそのまま残されてた。
ロビーでは世話になったとの一言だけで、後は松本さんにお任せするとの事でホテルから出て行ってしまったらしい。
その際にホテル従業員で会見中継を見ていた人が、子供達が無事に出て来た事で謝罪しようとしたらしいが、「うるさい、だまれ」と一蹴されて話も聞いて貰えなかったらしい。
それに、私の両親と祖父母も、おじさんの母親を死に追いやった一人との事で、謝罪に訪れるも門前払いされて、会話さえ出来てないそうだ。
学校でも、私達は浮いている感じがしてしまう。
話しかけてくる子は【ダンジョン】の事が聞きたいんだろうけど、聞こうとした瞬間に声が出せなくなると言う、〔神〕様の強制力が働くからだ。
そのせいでもあって、気軽な会話が途絶えがちになり何とも言えない雰囲気になるからだ。
それに、私達の【レベル】も影響してる。体育の時間では今現在の現実離れした運動性能を発揮してしまうからだ。50m走で3秒台で走るなんて、とんでもなさ過ぎる。
いろんな高校から特待生として来てくれないかとの声も掛かっているが、高校ってのが現実的に意識できない。〔神〕様の言った第2幕開始まで、もう少しなのだ。
第2幕では、死ぬ人も大勢出るだろうな。だって周りを見渡せば【黒色表示】が大半で【赤色表示】もそれなりに目につく。
【黒色表示】の者では『自転車の二人乗り常習者』や『自転車のスマホ操作しながら運転常習者』や『自転車でのイヤホン利用常習者』や『信号無視常習者』や『いじめ主導』や『いじめ加担』等が、学生の中では大半を占めて居た。
中には【赤色表示】で『阪本仁の母親を死に追いやった一人』と付いてしまってる同級生や上級生も多く居た。
その中でも注目を集めたのは、教師で人気もあり爽やかさを前面に売り出して信頼してる者も多く居た先生が、『未成年者の盗撮常習者』と表示されて保護者会で紛糾し警察が来ては捜査逮捕されるという事件まで発展した。
もうじき、第2幕の開始時期で【ダンジョン】が増えて入れるようになるが、乗り越えられるんだろうか心配だ。
おじさんが大怪我を負うような【ダンジョン】で、能力にマイナス補正を受けて、生き残って行けるのだろうかと心配になる。
それに、すっごく驚いたんだけど、【赤色表示】が多かった職業がなんと、検事、弁護士、裁判官、と正義を執行してる人たちが一番屑だった事が驚きの一番上に来たかな。
あとは、今を報告出来る事があるとするなら、食事が美味しいと思えなくなってしまった。【ダンジョン】産の食材で作った料理だったのが理由か、ナツちゃんの料理スキルで作られていたからかは、分からないが大好きだったスイーツ店のシュークリームが美味しいと思えなくなってしまって、少し残念だよ。
ニュースではおじさんの捜索をしてるようだが、異空間に入っていれば絶対に見つかる事もない。
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山之内 桜 視点
あの会見から両親とはギクシャクしてしまった。おじさんは望んで居なかったはずなのにどうしても頭上に表示される物を読んでしまうと、歩み寄れなくなってしまった。
それに、両親も反省し謝罪行動を起こすも一向に100%まで到達していない、頑張って居るのだろうが86%で止まってしまってる。
おじさんの母親の遺族に会いに行けども会えた事はない、話を聞くにおじさんの母親を責めに行った時は室内に迎え入れられて真剣に話を聞き、お嬢さん方を見捨ててしまったとしたら本当に申し訳無い事をしたと謝罪の言葉まで口にして深く頭を下げて居たそうだ。
それが今では、インターフォンは居留守で仕事に行くのを待ち構えて話しかけるも、お話しする事はありませんと取り付く島も無いという状態だという。
とある男性が、お孫さんと思われる少年に突撃したが、おばあちゃんが死ぬ原因を作ってしまった一人ですと謝罪した瞬間に、おにいちゃんがおばあちゃんを殺した人なの?と聞き返され言葉を失うしかなかったそうだ。
お孫さんは、あんなに優しかったおばあちゃんを殺した人を絶対に許さないと言って、走り去ってしまって、警察に不審者に声を掛けられたと通報までされ、地域放送でも小学生が成人男性に話しかけられる事案があった為、用心してくださいと流されたそうだ。
それらの事に苛立った人が、SNSで謝りに行ってるのに会ってもくれず話すら聞きもしない遺族に対して文句を書き込んだ瞬間に、魂の浄化まで100億年を突破しましたと脳内に聞こえたそうだ。
それを書き込んで、不満でも遺族の愚痴をSNSに投稿するべきじゃないと指摘するも書き込んだ文章は拡散され続け、魂の浄化に必要な罰は200億年掛かりますと脳内告知が来たそうで、最後に絶望しかないと書き込んだきり、その人がネット上に現れることは無かった。
今も書き込んだ事は拡散が続けられていてるので、200億年処ではなくなってるんじゃないだろうか?
拡散してる人も多分気付いて無いと思うけど、【善悪値】は下がり続けてると思うな。
この結果が【善悪値】の説明にもある通り、上限も下限も無い事が実証された事だろう。
私は家に居たくなくて、【ダンジョン】近くの公園でベンチに座っていると、懐かしい声が聞こえてきて、顔を上げると、マイちゃんとチーちゃんが走り寄ってくるのが見えた。
「こんにちは、マイちゃんもチーちゃんも元気?」
「うん、げんきいっぱいだよ」
「うん、げんちー」
チーちゃんまでたどたどしく話すようになってた。
「ママとお出かけだったのかな?」
「そうだよ、ママとチーちゃんとね、お出かけしてたの」
「マイちゃんもチーちゃんも、少し大きくなった?」
「ちんちょうのびたのー」
「あぃー」
そっかーと、頭をなでなでしてあげて暫くは二人と過ごしていたが、突然マイちゃんチーちゃんのママから話しかけられた。
「えっと、山之内さんのお嬢さんでしたね、マイとチサの母親です」
「あ、えっと、山之内桜です、こんにちは」
「あの、つかぬ事をお聞きしますが、あれ以来阪本さんや、坂本さんの母親の遺族の方とはお会いできてますか?」
「いえ、両親も足しげくお会いしに行ってますが、門前払いされてるようですね。おじさんは探してみましたが一切見かける事も無かったです」
「そうですか、なんで報道を信じて死ぬまで責め立ててしまったのか、今では後悔しかないです」
その言いざまにムカつきを覚え少し棘のある言い方をしてしまったかも知れない。
「そうですね。おじさんはマイちゃんチーちゃんをとっても大事に見守って、チーちゃんが夜泣きした時も誰よりも真っ先に起きてオムツ擬きですけど、確認したりお腹を空かせてないかも確認して、チーちゃんが寝るまで横抱きにゆらゆらして朝まで抱っこしてる事も良くありましたよ。それに会見の時も見たでしょ、左手先が無かったのを。【魔物】に食い千切られて治す手段があるにも関わらず、私たちやマイちゃんチーちゃんに何かあったら困るからと、断固として薬を使わなかったんですよ。結局脱出しても治す事が無かったぐらい優しいおじさんだったよ。
そんなおじさんの母親を殺したんだから、簡単に許されるなんて思わない方が良いですよ」
「・・・・・・・」
少し涙目になってるママさんを置いて
「あ、ちょっと言いすぎましたね。それでは私はこれで、マイちゃんチーちゃんまたね」
マイちゃんチーちゃんの頭を撫でながらバイバイするのであった。
「はぁ、言いすぎちゃったな」
逃げる様にその場を後にするのであった。
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あっという間に会見の日から三ヶ月が経った。
その瞬間、時が止まり〔神〕様からの啓示が頭の中に流れてきた。
『お待たせした、地球に【ダンジョン】を追加導入する準備が整ったので、今より2日後に至る所に【ダンジョン】が発生する。自分が入れる【ダンジョン】の国に移動したいものは願えば目の前に移動できる空間が開かれるが一度きりの一方通行だ』
『【ダンジョン】に入り食材や建材を手に入れなければ、住む場も崩れ去ると今一度理解しろ』
『【ダンジョン】で手に入る食材だが、取得者が【白色表示】の者だと、それ以下の色の者は食べる事が出来ないと言っておくぞ、くれぐれも自分で頑張って集めるように』
『【ダンジョン】で死ぬとしばらくは遺体が残るが数時間で【ダンジョン】に吸収される。またそれを利用して【ダンジョン】内で殺人行為を行えば、即座に【ダンジョン】に食われる事になるので、悪人は心して挑め。中には赤子にも負けるような【ステータス】にまで下がってしまってる者も居るが、我々の知った事ではない』
『最後におまけで良い情報を教えておいてやろう、【ダンジョン】から取れる食材は食材レベルの20分の1まで【レベル】を上げる効果があるが、それが完全に適用されるのは【白色表示】以上からである。【灰色表示】者からは効果低下で【黒色表示】者は微効果を発揮し、【赤色表示】者には、効果は超微効果へと修正した』
『差別だとの声も聞こえるが、これは差別ではない、選別であり区別である』
『我々はゴミには権利を与える事はほぼない』
『おじさんの子供たちを守るために起こした行動で、我々は考えを改める事ができたので、おじさんへは感謝しかない』
『もう少しで、ゴミにまで恩恵を与えてしまう所であったが、修正も間に合いあと2日後に第2幕の開幕である』
『楽しめる者は存分に冒険を楽しみ、強き善き魂へと邁進してほしい』
〔神〕様のその言葉を最後に時が動き出した。
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内閣総理大臣官邸
「とうとう始まるようだな、それで阪本との接触は出来たのか?」
「いえまったく痕跡を追う事すら出来ていません」
「まったく忌々しい」
「そうはおっしゃられましても、我々も贖罪を進めませんとこのままでは、生き残るのも難しいのではないでしょうか?」
「ふん、食料など自衛隊に集めさせれば良い」
「それですが、上位の色表示者が集めた食材は我々は食べる事が出来ないようですが?」
「何を言ってるのかね?そんなもの同じ色の自衛隊員を導入して集めさせれば良いではないか?」
「それほどの量が手に入るのでしょうか?」
「それはわからん、ほんとに忌々しい」
磯部首相が苦虫を噛み潰した様な表情で言い捨てる。
「今のうちに、表示色毎に部隊を再編成し、食料調達部隊を作り上げろ。民間人にも配れるようにしたい所だが、どれだけの量が手に入るのか未定だと告知も出来ん」
「まだ三ヶ月は動植物の隔離までの期間がありますし、概念の上書きも三ヶ月の猶予がございますので、【ダンジョン】が解放されたら急ぎ中に入り確認作業に当たらせます」
「そうだな、我が国はまだ初級【ダンジョン】からあるようだから、いきなり中難易度の【ダンジョン】しかない国よりは有利に進められるだろう。急ぎ色々と調査検証し有効活用出来るように、組織編成も視野に入れて動け。
あの発表された概念だと、電気を作る事も、電波を送受信する事も出来なくなるとしか思えない。
化石燃料や鉱物も星の内部に戻されると考えると、車も電車も船に飛行機も動かなくなるって事だぞ。まず間違いなく流通と情報伝達が麻痺するだろう」
「いや、一昔前のように【ダンジョン】を中心にした集落規模にまで落ち込む可能性も考えられる。何としても、生き残るぞ」
それを聞いた官房長官は贖罪が終了しない今、生き残れる可能性などあり得るのだろうかと考えるも、頭を振って考えを振り払うのであった。
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その頃の注目人物の今
おじさんは、当初は【ダンジョン】の結界を突っ切り、自分の作り出す異空間内部で落ち込んだ気分のまま過ごして居たが、完全に一人になり保護しないといけない子供達とも別れた事が切っ掛けで、【ダンジョン】を楽しもうって気分になっていた。
1階層に有ると言う転移魔方陣を探し、100階層までを一気に移動し、守護竜のドラゴンさんとしばらく何でもない事の会話を楽しんで、ドラゴンさんの生え変わった鱗や髭等を貰い荷物置き場に適当に放り込むと、下の階層を楽しんでくるよと言い残し、ドラゴンさんの所をお暇するのであった。
順調に110階層120階層130階層の転移魔方陣をアクティベートし、2か月前にやりすぎてしまった蟻塚を目にするのであるが、その姿は2か月前とは大いに違い半分以上が崩れ落ちてしまっているのであった。
「ふぅ、ここまで来るのに7日とは転移魔方陣って楽だねっと」
そうボヤキながらも、目にも止まらぬ速さでフィールド中を駆け抜け下の階層への階段を探し歩くも、懐かしき森に入ったおじさんは、大好物の自然薯を探しつつ食べれる物を手当たり次第に荷物置き場に詰め込んで行くのであった。
そうこうしながらも、現在は144階層まで降りてくる階段で、時が止まり〔神〕様のお告げがなされたのを機に、140階層まで引き返し1階層に転移して出口前で異空間に入り寛ぎながらその時が来るのを待つのであった。
読んで頂き大変感謝しております。