第十六話 おじさん、歓喜する。
あれから、5匹のアリを倒し順調にレベルアップを果たし、徐々に蟻塚に近づいて行くが近付けば近付く程に蟻の魔物の密度が上がり単体のアリを発見することが難しくなった事で、一旦蟻塚を目指す事を止め安全な距離まで離れる事にする。
「アリを倒してても、レベルは上がるけどドロップは蜜と甲殻ばっかりか」
蟻塚も気にはなるが近付くのもアリの【魔物】の密度が濃すぎて危険そうだ。今は危険を冒す必要はない。ただし蟻塚の中に階段が無い事を心のどこかで祈りながらになるのだが。
遠目に見えただけだが蟻塚のさらに遠方に森らしき景色が見えた事も、蟻塚を諦めた一因ではあるのだ。林なのか森なのか、はたまた密林なのか、遠目に見えただけでは判断できない景色ではあるが、一縷の望みをかけて向かう価値はあるとみる。
そうと決めれば、かなり大回りして蟻塚を迂回するが、その道中でもアリの【魔物】とは遭遇した。攻略法が確立されておりレベルアップに伴い身体能力も著しく上昇してるおかげで、苦も無く倒し森の目前までやって来る事が出来た。ここまでに遭遇したアリの魔物3匹は、すべて美味しく倒させて頂き、順調に糧とさせてもらった。
[ステータス]
【名前】:阪本 仁
【年齢】:44
【性別】:男性
【レベル】:342
【状態】:バツ1
【善悪値】:86
【性格】:おだやか
【結婚可能人数】:5人まで
【生命値】:75668
【魔力値】:74385
【筋力値】:29555
【体力値】:24415
【器用度】:28270
【敏捷度】:17990
【知力値】:20560
【精神力】:25700
【 運 】:67
《スキル》:造形術Lv67
《固有スキル》:[異空間創造作製Lv2]
《加護》:[女神様方の寵愛]
[簡易表示]
【性格値】の数値により、簡易表示は【銀色文字】で表示されます。
【名前】:おじさん
【レベル】:342
【状態】:良好
「うーん、順調にレベルアップ出来てるけど、レベル表示がされてなかった時と比べて、とんでもない数値になってるよな。
アリの魔物の動きにも目を見張るものはないし、順調ではあるんだが、全ては女神様方の恩恵なんだろうな。
悪く考えれば、加護を貰えなければ既に詰んでた可能性が大きいんだよな」
能力値増加に感謝しながらも足を進め森の手前まで移動する事が出来た。森の外周部より中の様子を伺うも特段何かがあるようには思えなかったので、足を踏み入れてみる事にした。
森に入ってしばらく注意深く辺りを見回しながら進んでいると、至る所に見た事も無いキノコ類や、木の実が目に入る。
「まぁ、見た事がないキノコ類と思案してもここ14、5年は自炊していないので、知識に無いだけかも知れないがねっと。これは食えるのだろうかキノコ類は怖いと言うし、どうしたものか・・・数量だけで言えば結構な量が手に入りそうではあるのは事実なんだよな・・・」
どうしたものかと思考を巡らせながら辺りを覗っていると自分の記憶に一致する果実が目に入る。
「これは柿?こっちはさくらんぼ?おいおい、季節関係ないのかよ?」
恐る恐る手を伸ばして触れてみると。
【柿 Lv137】
【サクランボ Lv137】
「名称は分かるのか。食べれるのだろうか?」
「う~ん、これを持って帰って食べるとなって食べれませんでしたじゃ可哀そうだし、毒見してから持って帰るか」
そう判断しておもむろに、サクランボを一つ口に放り込み咀嚼する。
「うまっ!」
「なにこれ、めっちゃ甘酸っぱくて美味いやん」
「柿も試そう、どうか渋柿じゃありませんようにっと」
そう呟きながら、一口齧ると
!!!!!?????
「うっまっ!これもメチャクチャ甘くて美味しいぞ。
これは収穫できるだけ収穫して持ち帰ろう、嬢ちゃん達喜ぶぞ!」
そして滅茶苦茶頑張って収穫した。キノコも知ってる名前のキノコだけ集めた。
【ブナシメジ Lv137】
【エリンギ Lv137】
【ヒラタケ Lv137】
【オオツガダケ Lv137】
【カエンダケ Lv137】
【ベニテングタケ Lv137】
「6種類のキノコが聞いた事ある名前と判明したのだが、食用なのは、ブナシメジ、エリンギしか分らん。ヒラタケも食べれる様な事を以前働いてた農家の人に教えてもらった記憶はあれど、不確かだし止めとこか」
と言う事で、ブナシメジとエリンギの2種類だけ採れるだけ採って荷物置き場へと収めるのであった。
「この森は食材の宝庫か!」
そう叫んでしまったのも、収穫するだけ収穫し終わった後の事である。何気なく掴んだ植物の蔦がポップアップしたのだ。
【自然薯 Lv137】
「これは掘らねば。もちろん他にも無いか探すでしょ!」
血眼になって捜し歩いた事で、3本もの自然薯をゲットする事が出来て、気分もホクホクしていたのだが、草木の裂け目から割と距離があるが、大型の四足獣が目に入った事を切っ掛けに気持ちを引き締め、気付かれないように距離を取り、しばらく息を潜め思案する。
「最初は熊か何かかと思ったが、巨躯ではあるがあれは、鹿か?」
そう、立派な体躯に驚いて距離を取ったが、よくよく見てみると鹿のフォルムと一致する事に気が付いたが、一部違って居た。
立派な角がどう見ても、自分が知ってる鹿とは隔絶した形状なんだよな。東洋の剣とでも言うべきかそんな感じの形をしている角が四方へ伸びている。
「【ダンジョン】の動物の角は武器の形状をしてないと駄目なんかね?」
その様な【魔物】との遭遇も接敵する事もなくやり過ごし、その後も順調に食材探しを続けると大きな川を発見し、川向こうの崖と言うか壁と言うかの場所に上に向かう階段を発見し歓喜するのであったが。
「あれは、階段だよな・・・階段の発見は嬉しいが、この川をどう渡ったものか・・・」
川幅は見た感じで1㎞はありそうで飛び越える事はまず不可能だろう。そして水深だが川岸から10数メートルぐらいまでは川底が見えているが、その先は川底が見えなくなってるのを見るに、そこそこの水深がある事が一目で分かった。
そしてもう一つ問題があった。川を見渡す限り【魔物】の存在がちらほらと視認できる事だ。
「あれは、ワニか?それにしてはデカいが。泳ぎは得意でも流石に泳ぐのは無理がありそうだな。魚型の【魔物】が居ないとも限らないし、水中であのワニと戦うとか無理。」
「それ以前に、ワニデカすぎるやろ・・・」
そう呟きたくなるぐらい大きなワニが視界に入ったのだ。
ワニの全長が20mぐらいあるのだ。水中で体高は分からないが自分の背丈よりも高いのではないかと思える。
「眺めていてもどうにもならないし、とりあえず夕方時だろうから一旦嬢ちゃん達に食材を届けて休みながら考えるか。
何とかして向こう岸へ行く方法を探さないとな」
そう考えもって夕方頃だろうと、一旦ここで子供たちの所へ戻る事にする。新食材と共に嬢ちゃん達用に蜜の欠片も持って行って、マイちゃんが見てない所でコッソリと渡そうと準備しゲートを開く。
「ただいま。今日も無事だよ。そろそろ夕飯の準備時間だと思って一回戻ってきたよ!」
「「「おかえりなさい」」」
「おうちゃん、おかーりー」
マイちゃんまで出迎えてくれて、ほっこりするー。
「特に問題ない?」
「はい、昼から少し遊んでお昼寝とかしてました。ちょっとすることが無くて暇なのがしんどいですね」
「だろうねー、忙しい時は何もしたくなくてゆっくりしたいのに、いざしてみると逆にしんどいんだよね。ここには、テレビもなければ娯楽らしい娯楽もないもんね。
レベル上げは順調に進んでるから、出来るだけ早く上目指すね!」
「「「はい」」」
「無理はしないでくださいね」
「分かってるよ、安全第一で進んでるよ(笑」
「後は、食材を数点見つけましたーパチパチパチ」
そう言いながら、ジャーンと効果音を口にしながら、柿、さくらんぼ、エリンギ、ブナシメジ、自然薯をお披露目する!
「「「わー、さくらんぼだー」」」
「もう毒見はしてあるから、食べて良いよ!」
「あっまーい。これめちゃくちゃ美味しいんですけど!」
「すっごい美味しいね」
「うんうん、ホッペ落ちちゃいそう!」
「美味しいです」
「マイちゃんとチーちゃんも食べようね」
「たべゆ、たべゆー」
お姉ちゃんたちが美味しそうに食べてるのを見て、マイちゃんも目をキラキラさせながら、拙い口調で食べると言ってるのを眺めながら、温かい気持ちにさせてもらえるのであった。
「それじゃ、食べようね。おじちゃんが食べさせてあげるね」
そう言って、種だけ取り除いてマイちゃんのお口に放り込んであげ、チーちゃん用には潰した果肉を皮と種を取り除きお口に含ませてあげた。
「おいちーねー」
マイちゃんとチーちゃんが二人で美味しいねと微笑みあってるのを見ながら、ほんわかするのであった。
その後ほかの食材も確認しつつ、ナツちゃんと共に夕食の準備に取り掛かり、久しぶりに肉と人参以外も口にでき、僅かばかりに満足するのであった。その時に蜜の欠片をナツちゃんに渡しコッソリ食べるように言付けておく。
「それじゃ軽く汗流してから、チビちゃんの面倒見るから嬢ちゃん達もゆっくりしてね」
その後水浴びしてから、マイちゃんとチーちゃんと遊んで寝かしつけるのであった。
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日本時間のAM3時過ぎに一つの速報が政府に届いたのを皮切りに続々と世界各地から生還者の情報が寄せられ、政府はそれを深夜にも関わらず即発表した。
[神]の試練発生から4日目、世界各地の【ダンジョン】から飛び出すように人々が脱出してきたのだ。その数43名。
ポーランドの、ワルシャワ
ウクライナの、キエフ
アイルランドの、ダブリン
インドの、ニューデリー
モンゴルの、ウランバートル
チリの、サンティアゴ
ドミニカ共和国の、サントドミンゴ
アメリカ合衆国の、サンフランシスコ、シカゴ、ハワイ島
ベトナムのハノイ
11カ所の【ダンジョン】より13歳から48歳までの男女合わせて43名の生還が報じられ、瞬く間に情報が世界を駆け巡った。
明け方から続いた速報は朝を迎えても続き、速報が落ち着いた頃には、11カ所の【ダンジョン】から43名の脱出が報じられ、その後の続報を待ち望んだが、得られた情報は酷いものであった。
手足を無くした重傷者が多数で、次いで精神を壊した者、脱出の安堵で息を引き取る者。ほぼ全ての生還者が何らかの障害を負っていた。
そのような者達から得られる情報など皆無に等しく、話を聞けた生還者から得られたのは既出の情報が大半を占めた。
新たに得られた情報と言えば、どうやって落下した人が殺されたのか、どうやって脱出するために形振り構わず逃げに徹したのか、脱出までの苦労の全容が公開された。
その中の情報でも、【魔物】の情報として種類の報告があり、人型、獣型、植物型、昆虫型等が居た事が報告され、人型の【魔物】は特に残虐であると。
緑黒い色をした肌の小人や、人より大きな体躯の蜘蛛や、腕が4本もある熊などが報告されたが、中でも一番関心を寄せたのが、恐竜の様な大型の爬虫類が居た事だ。
そしてまた、【ダンジョン】内より持ち帰られた一見普通の《石》が受け渡し時に持ち帰った本人以外に持ち上げる事が出来なかった事も追記された。
《石》は今後研究機関に運ばれてあらゆる検査を予定されてるとのこと。
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日本国首相官邸サイド
「国内の結界の表示はどうなってますか?」
「はい、確認した所変化は無いようです。」
「両方共ですか?」
「そうです。兵庫県の方は1と0を繰り返す現象もそのまま起こってるようで、結界が黒くなる事もないようです」
「そうですか。それで生還者が出た国の発表はその後なにか進展はありましたか?」
「いえ。各国領事館から返ってくる返答はどれも、最初の情報以外は無いとの事です」
「何かを隠されてるのか、それとも本当に事実だけを公表したのか、分かりかねますね」
「持ち出されたと言う【ダンジョン】の《石》のその後は何か分かりましたか?」
「いえ、検査するのも持ち出した本人しか持ち上げる事が出来ない品ですので、苦労されてるようで、検査機器にセットするだけでも一苦労との事です」
「分かってる事と言えば、まずは石の重量測定をした結果は、重量は0との事です」
「0ですか?持ち上げる事も出来ない重量物の重さが無い?」
「はい。重量計に置いた瞬間に測定出来ないらしいです」
「後は、液体の中へ入れて体積を測った所、体積すら計測不能だったそうです」
「液体が溢れる事も無かったとでもおっしゃりたいのでしょうか?」
「そのようです」
「次に、X線を用いて鉱石の構造解析検査も実施されましたがX線も透過せず、内部構造を把握する事も出来て無いようですので、地上の鉱物との比較で類似鉱物を探すのも不可能だったそうです」
「要するに、持てないだけしか分かってないと?」
「そうなりますね。【ダンジョン】生還者しか持てない事から、推測では【ステータス】か【レベル】を取得した者のみが取り扱えるのかもと報告されてますね」
「それと、脱出直後にお亡くなりになった2名の方の司法解剖の結果も、検査不能との事です」
「不能とはどう言う事でしょうか?」
「言葉の通りです。検査機器が一切使えず、皮膚を切り裂く事も出来なければ、採血の為の注射針すら刺さらないとの事です。レントゲンや音波測定も不可能だったそうですよ」
「【ダンジョン】産の《石》と同じというわけですね?」
「そのようで」
「亡骸はそのまま土葬されたそうですが、我が国であれば火葬です。こうなってくると火葬も出来るのか怪しい所ですね」
「・・・・・」
「こうなって来ると、我が国にも生還者が出て欲しい所ですね」
「そうですね。自衛隊員に期待するしかございませんが、無事に出て来てくれる事を祈っておきます」
「あと、民間人男性の方の過熱報道はどうしますか?」
「ああ、あれは異常なほど過熱報道がなされてるようですね。まるで犯罪者扱いにまでなってきてますね」
「ここらで、報道機関に注意しておきますか?」
「そうですね。民放各社はそれぞれにお任せしましょう。報道を頭から押さえつけるのも難しいですし」
「わかりました」
そう言って磯部内閣総理大臣と官房長官の会話は誰も耳にする事なく事実確認だけが行われるのであった。
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「こんばんは、夕方18時のNEWS18のお時間です。」
「【ダンジョン】関係のニュースからお伝えしたいと思います」
「本日未明より続いてた脱出者情報は昼前には落ち着きを取り戻し、今現在【ダンジョン】結界の表示にも変化が無い事が判明しています」
「それでは、ここまでで分かっている脱出者情報を纏めて行きたいと思います」
1、11カ所の【ダンジョン】より43名の男女の脱出者が出た事。
2、脱出者年齢は、13歳から48歳までである事。
3、どの脱出者も酷い負傷を負っている事。
4、2名の脱出者が脱出直後にお亡くなりになった事。
5、【ダンジョン】より持ち出された《石》が存在すること。
「以上の5つが今回もたらせられた情報ですね。それではコメンテーターさん方のご意見をお聞きしたいと思います。まずは椿さん何か御座いますでしょうか?」
「そうですね。私の得ている情報も少ないのですが、26歳の男性と41歳の女性が脱出直後にお亡くなりになったという事ですね。26歳の男性は体の負傷が激しく、失血死だろうとの事です。41歳の女性は体には大きな損傷は無く、心的な物と考えられてるようです」
「えっと、先程からだろうとか考えられるとか、確定はされてないのでしょうか?」
「ええ、何しろ司法解剖が出来なかったと聞き及んでいますので」
「それは宗教的にとか遺族のお考えの元で、司法解剖がなされなかったって事でしょうか?」
「いえ、そこはまだハッキリしていませんので、これ以上は発言を控えさせていただきたい」
「そうですか。ありがとうございます」
「では生還者さんの情報はこの辺にしときまして、【ダンジョン】より持ち出されたと言う《石》についてお聞きしたいと思います」
「この《石》ですが、あまりにも不思議な物だったようですね?」
「そうですね。シカゴの【ダンジョン】より生還させれた男性がポケットに持っていた物ですが、今現在は調査の真っ最中ですね」
「発表されてるだけで、持ち上げる事が出来ないそうですよ、持ち帰った本人以外は」
「どういう事なのでしょう?」
「分かりませんが、発表通りにお伝えすると、重くて持ち上がらないそうです」
「今発表されてる事はそれだけで、石の種類等はまだ発表されてませんので、続報を待つしか無いでしょう」
「ありがとうございます。続報を待ちましょう」
「続きまして、国内の【ダンジョン】についてですが、こちらは政府発表でも何も変化がないとのことですね」
「そうですね。兵庫県側の【ダンジョン】では【結界】への表示が1と0を繰り返してるそうですが、それだけですね」
「こちらも続報をお待ちしましょう。無事に脱出される事を願っております」
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マイちゃんとチーちゃんが寝静まった頃、おじさんは嬢ちゃん達へ声をかけ上の階に行く為の階段と疑われる階段を見つけたと報告し、今後の対策を練るのであった。
「まだ近付けて無いんだけど、上に向かう階段らしき物を遠目ではあるけど見つけたよ」
「ほんとに!」
「うん。ただね川の向こう岸で川には大型の【魔物】の姿があるから、渡る方法を今の所悩んでるんだよね」
「そうなんだ。それじゃ泳いでは無理なんだね」
「そうだね。距離だけで言えば泳げる距離なんだけど、【魔物】の存在がね厄介だなと思ってる」
「その大きな【魔物】以外にも水中にも居るかもしれないもんね」
「そこで、筏でも作って渡るか、渡れそうな場所を探して川の上流と下流を調べるかで悩んでるけど、どっちが良いと思う」
「船を造るのが良いと思う!」
「私は上流を調べるのが良いと思います、上流だと川幅も狭くなってると思うし」
「筏で渡ってる最中に襲われるのは怖いから、私も調べた結果どうにもならなければ筏かな」
ミサキちゃんは造船派でサクラちゃんとナツちゃんは上流探索派と。
「ふむ、船を造るには、技術が無いし船に関する知識もそうないから、筏が精一杯かなと思うね。となると筏での渡河は危険性が高いと言う事で、調査後の最終手段で良いかな?」
「「「うん」」」
「それじゃ、明日はその方向で朝から調べてみるね。また何か分かったら報告するよ。今夜は寝るね」
「「「はーい」」」
この時、おじさんは明日からの探索が激動の時を迎える事を知る由もなかったのである。