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地球の管理者が決まりました。  作者: ルドラ
第一章 試練編
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第十四話 おじさん、草原で魔物と遭遇する

 昨夜はチーちゃんを寝かし付けてから、自分も横になり空間内が明るくなるまで寝てしまったのである。


「おはよう」


「「「おはようごうざいます」」」


「一番遅くまで寝ちゃってたようだね、ごめんね」

「「そんなことないですよ。疲れてたんだと思います」」

 サクラちゃんとナツちゃんが二人して疲れが溜まってたんだと気を使ってくれ、その優しさが心に沁みる。


「よし、今日もがんばるぞ!」

 そう言ったとたん、マイちゃんが飛びついて来たので優しく受け止めてあげて、抱き上げる。


「マイちゃんも、おはよう」

「あぃ、おはよぉごじゃいましゅ」


 ああ、朝から心が癒される。

 マイちゃんの頭を優しくナデナデしてから、水場に移動して顔を洗い、うがいをする。


「さてと、皆はもう朝ご飯食べた?」

「はい」


「ごめんね準備手伝えなくて」


「食べたのですが、また全員がレベル7に上がりました」

「ええ、また食べただけで上がったんだ。やっぱり食べ物でも上がるようだね。いくつまで上がるの分からないけど、今の現状じゃ悪い事じゃないし、問題も起きてないよね?」

「はい、大丈夫。」


「それで、加工した食材はまだ余裕ある?」


「そうですね、人参を少しカットしててもらえると助かりますね」

 ナツちゃんが足してて欲しい分を申告してくれたので、量を確認しつつ用意してると、ミサキちゃんがお肉も多めにカットしてて欲しいと訴えて来たので、そちらも加工してしまう。


「こんなもんで良いかな?」

「はい、ありがとうございます」

 人参12本を銀杏切りや、ざく切りにした物と、モモ肉10キロ程を使いやすい様にステーキサイズや一口肉サイズに、焼き肉スタイルの薄切りとに切り分け、保護フィルムに包み直す。

 この保護フィルムなんだが、完全に食材から外しきると短時間で中空に溶ける様にして消えてしまうのだ。

 なので加工する際も一部分をフィルムに接した状態をキープしながら加工して包み直すと鮮度保持の効果が持続するトンデモアイテムなのだ。


「肉と人参以外も欲しいよね。調味料も無いしね・・・」

「そうですね。でも食べ物があるだけマシだと思いますよ」

「だね」


 ナツちゃんと他愛も無い雑談をしつつ食材の準備を終わらせると、【ダンジョン】脱出する為の気持ちに切り替えて、空間から出る準備をする。


「それじゃあ、昼頃には一度戻る様にするね。

 外じゃ時間の経過が分からないから大体での判断なんだけどね。行って来ます」


「「「「行ってらっしゃい」」」」


 我が子と同じぐらいの子に「行ってらっしゃい」と言ってもらえるのは、本当に心が癒される思いをしながら、異空間から外に出る。


「さてと、昨日も一日見飽きた風景だなっと」

 地面に印付けた物を確認して進行方向の再確認をし、最低限の警戒だけしながら草原を突き進む。


 行けども行けども移り変わりの無い景色にウンザリしつつも、足を止めても意味が無い事は明白なので歩みを止める事なく進んで行くと、遥か遠方に10階建てマンション位ありそうな土山が視界に捉える事が出来た。


「何だろうか、ここから見ただけでも結構な高さがある様に見えるし、先端が尖ってるのも不自然にも思えるな」


 慎重に進みつつ近付いて行くと不意に左腕に液体が振りかけられた。左方向を向くとそこには体高50センチほどのアリが居て、ギチギチを音を立てている。


「熱っ・・・」

 左腕に掛けられた液体はどうやら蟻酸だったようで、表皮が焼け付くように熱く火傷の様に表面が焼け爛れて来てる。

 視線を逸らせた一瞬で【魔物】だろうアリが再度液体を噴射してきたのを見逃し、腹部に蟻酸が掛かってしまった。

 腹部を見ると着ていたTシャツが溶け始めていたのを見てマズイと直感で判断し、着ていたTシャツを破り捨て、アリの【魔物】から距離を取る様に一目散に退避するのであった。


「はぁはぁ、もう追って来ないようだな」

 しばらくは追いかけて来ていたアリの【魔物】だったが、全力疾走で逃避したことで距離が離れ、追って来る事を止めたようだった。


 ズキズキヒリヒリと痛む左腕を見ると蟻酸らしき物を吹掛けられた場所が未だにジュクジュクと音と立ててる様な気がする程にブクブク泡立っていた。


「アリの【魔物】だったし、これって蟻酸ってやつだよな。皮膚が溶けてるようだし。一旦、蟻酸を洗い流さないと悪化し続けそうだな」


 そう思って荷物置き場の空間に入り水場で左腕に掛けられた蟻酸を洗い流すも、左腕の肘から下部分の結構な範囲が火傷したようになってしまってた。表皮が溶けて真皮だろう位置まで剝き出しになってしまってる部分もあり、血が滲んでいて痛々しい見た目になってしまった。

 レベルが上がってここまで溶けるんだから、落下直後に彷徨い歩いてたらこの蟻酸だけで即死してたのかもな。

 腹に食らった蟻酸に関しては即座にTシャツを脱ぎ去った事により、皮膚にまで付着した蟻酸は無かったようで、被害を回避できたのは幸運だろう。


「そうだ、ポーションがあったし効果を確かめておこうか」

 そう思ったものの、こんな怪我した状態で嬢ちゃん達の所に戻るのも気が引ける。


「仕方ない、こんな怪我した姿を見せるのは気が引けるが、これも現実だし受け入れてもらうしかないかなぁ。

 でもなぁ3日目で怪我とかしたのを受け止められるかな。

 これが原因で情緒不安定になっちゃっても可哀想だしな・・・」


 とりあえず、異空間内に繋がるゲートを出して、頭だけ突っ込んで呼び掛けてポーションを持って来てもらおう。


「おーい、誰か近くに居るかーい」

「はーい、おっちゃんどうしたの?」


「おお、ミサキちゃんか、ちょっとね箱の中に仕舞ってたポーション瓶を取ってきて欲しいだけど良いかな?」

「いいよぉー2本とも取ってくる?」

「うん、よろしく」


 取りに行こうとしていたミサキちゃんを呼び止めて、干してるTシャツも持って来てと頼む。


「はい、取って来たよ!」

「ありがとう」


 右手を突き入れて片手で受け取り、お礼を言ってから行って来るねと伝えゲートから顔を抜き出し、もう一度荷物置き場の空間に入り直し、【上級ヒーリングポーション】を左腕に恐る恐るチョロチョロと振りかけてみると、滴り落ちた水滴が一瞬で左腕全体へと広がり淡く発光しだした次の瞬間には傷口が泡立ったようになり、火傷跡もなく綺麗な皮膚になってヒリヒリジンジンと感じていた痛みも嘘のように消え去っていた。


「凄いな!」

 つい叫んでしまったがそれも仕方が無いだろう。地上で病院に通院して治療したところで、治療終了までに数週間は通院しながら安静にさせられ、さっきの火傷跡の様な傷は完治したとしても、ケロイドの様な傷跡が残り皮膚も引っ張られるような引きつる様な感じでしか治らないはずだしな。


「これが地上で出回れば医療体制が劇的に変化するだろうな。しかも傷を癒すのに僅かな量しか使ってないし、瓶にはまだ半分以上残ってる」


 とりあえず、これは荷物置き場の空間に保管してと。


「さて、レベル上げするつもりだったし、2日ぶりに出会えた【魔物】を無視するのは得策では無いよな」


 慎重に接近して様子を伺いつつと計画を立て、地上に向けての糧になって貰いましょうかねと気合を入れるのであった。


 荷物置き場の空間を出た自分は、逃避してきた方向に視線を向け慎重に土山がある方向へと足を進めた。

 今思えば、あの土山は蟻塚だったのだろう。あの形はテレビで見た事のある蟻塚と形だけは一致する事を思い出す。だが大きさだけは自分の知る常識の外にあるだろう。

 あのような10階建て相当の蟻塚など見聞きした事すらない。

 まぁ自分の知識不足でそのような大規模な蟻塚が地球の何処かには存在しているのかも知れないが、自分の記憶にはない!

 それに、あのサイズの蟻も知識不足な自分の脳には情報が入ってはいない。てかあのサイズの蟻が地球上に存在していたとしたら脅威だろう。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ミサキ、おじさんなんだったの?」

 サクラちゃんがミサキちゃんに、おじさんが呼び掛けた事が何だったのか聞いてきた。


「うん、ポーション瓶を2本とも取って来てって事だったんだけどね」

「どうかしたの?」

「入ってくる金色のゲートからね、頭だけ突っ込んで声掛けてきて、ポーション瓶とTシャツを受け取るときも片腕だけで受け取ってったから、おかしいなって思ったの」

 答えたミサキちゃんも、おじさんの受け取る態度から違和感を覚えていたようで、不思議がっていたようだ。

 

「それって、おじさんは怪我でもしたって事なのかな?」

「うーん、分かんないのよね、元気そうだったしさ」

「そっかぁー、戻ってきたら聞いてみようか」

「そうだね、そうしよう」


 二人でおじさんの行動に違和感を覚えながらも、おじさんの態度に切迫したものが感じられなかったことでとりあえずは、安堵しつつも何があったのかを聞き出そうと決意するのであった。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 嬢ちゃん2人がそんな会話をしてるなんて知る由も無く、おじさんは蟻塚に向かって一層と慎重に進んでいる所であった。


「いたいた、さっきの個体よりは小さいのかな?」

 視線の先50メートル位の位置に一匹のシングルサイズのパイプベット位の大きさの蟻が草花を口先の顎で噛み砕いてる様子だ。


「ふむふむ、日本に多くいる蟻のタイプで針を持たない種類の様だな。蟻酸を浴びせかけて攻撃してきた事だしひとまずは安心かな。

 世界に多く分布するような針を持つタイプだと、針で刺して蟻酸を注入してくるらしいから厄介度が変わるし攻撃手段も増えるわけだしな。

 それにしても、あの大きな顎は脅威だな。蟻って巨大化すると異常に迫力が増すな・・・」


 さて、どうしたものかと思案するもこれと言って蟻の生態に詳しいわけでもなく、テレビ番組で知り得た程度の知識しか無い訳だが、良案は思い浮かばなかった。


「追いかけられた感じでは移動速度はそれほどでも無かったし自分の方が逃げ足は速かった訳だが、吹き付けられた蟻酸は皮膚に直接付着すると表皮を溶かす脅威はあったし、見るからにあの大顎で挟まれると手足位は軽く切断されかねない」


 どうしたものかと考えを巡らせるも遠距離攻撃の手段も無いし、接近するしかないかと覚悟を決めて恐る恐ると慎重に近付いて行きつつ、その一匹しか居ないのか仲間とリンクしているのかとか思いついてしまい足が止まる。


「そうか仲間を呼ばれる可能性もあるし、見えてないだけで他の蟻が近くに居る可能性もあるんだったな。ただ蟻塚からは結構な距離があるし取り合えず引っ張り出すか」


 方針を決め姿を見せた後に来た道を蟻の追尾を引き離してしまわない距離を保ちつつ他の蟻が一緒に追って来ないかも確認してから戦うのが最善策だろう。


「よし」

 意を決して目視できてる蟻に接近し姿を見せ反応を見てから一定の距離を保ちつつ後退し、他の蟻が追って来ないかを確認するも、どうやら一匹だけの様で他の蟻が出て来る事は無かったのでここで戦闘を開始する事にした。


「ギチギチギチ」

 蟻が威嚇する様に大顎を嚙合わせる。


「待ちのスタイルだと蟻酸を浴びせかけられるだろうし、こっちから行く!」

 向かい合い距離が詰まった所でこっちから急接近し先制攻撃に打って出る。


「蟻と言えば、踏み付け!」

 軽くジャンプし両足でアリの腹部より後方を踏み付けるようにスタンプ攻撃をかますと、蟻も接近した自分目掛けて蟻酸を吐きかけて来るもこちらの移動速度の方が速く、蟻酸は宙に吐き出されたままに重力に引かれるように地面へと落ちて行き、自分の攻撃は見事にヒットする事になった。


「ギャギャグゥゥゥ」

 見事に蟻の腹部の一番細くなってる位置に勢いよく両足スタンプで着地する事に成功するが、蟻の甲殻とでも言えば良いのか、割と硬い手応え(足応え?)を感じつつも踏みつぶすに至らなかった事に残念な思いをしつつ。

 その腹部を足場に跳躍し蟻の背後へと距離を取り、振り向きざまにポケットに突っこんだままだった、こぶし大の鉱石を蟻の一番最後尾の腹部目掛けて全力投球する。


「ドッパッ」「グギャギャァァァ」

 投擲された鉱石は見事に最後尾の腹部へと直撃すると、蟻の体の中で一番柔らかかったのだろう、直撃した腹部が弾けとんだ。


「うげ、気持ち悪りぃ」

 最後尾の腹部を失ったにも関わらずその動きを止めずにこちらに振り向き、蟻酸を飛ばして来るもこちらは安全な距離まで離れていたので、自分の手前で地面へと吸い込まれていった蟻酸は草花をジュウジュウを音を立てながら溶解していた。


「踏みつけじゃあの甲殻を潰す事は無理そうだな」

 そうなると取れる手は一手に絞られる、荷物置き場にしてる異空間からデスラビットの角を取り出し両手で構え対峙する。


 油断せずに蟻酸攻撃を警戒しつつ距離をジワジワと詰めると、先にアリが蟻酸を発射してきたので慌てて横に飛び退き回避に成功するも、その間隙を突いてアリが急接近して大きな顎で挟もうとしてきた。


「挟まれてたまるかよ!」

そう叫びながら両手で持ったデスラビットの角で大顎の片方を叩きつけるように叩いて何とか挟まれるのを阻止し体勢を立て直す事に成功し、逆に大顎を叩かれて体勢を崩したアリ目掛けて飛び上がり頭上よりデスラビットの角でアリの頭部を串刺しにしようと突き立ててみたものの、頭部の甲殻を僅かばかり砕き取る程度で貫通までは実現できなかった。


「クッソ堅ってなぁ~」

 これはあれか、ラノベとかでも度々描写されてた、昆虫系は関節以外が狙うべきじゃ無いってのは結構的を射いた考えだったって事だったんだな、やるな数多あるライトノベル作家さん方!。

 などと戦闘以外の事を考えれる位には落ち着いてるようだな。

「さて如何したものか、ラノベ作家さん方に倣い関節狙いで行くのが良いですかね。とは言え、ラノベ小説の主人公さんみたいに一撃で頭部と腹部の関節を刈り取るとか出来んわな(汗」


 色々考えてても、相手は待ってくれず、蟻酸を飛ばしてきては接近して来たりぶちかまし宜しく突撃して来たりと、血気盛んですわ。


「って事で、主人公でもなんでもない只のおっさんに出来る事は、アリさんの機動力を奪いつくしていくしか無い訳なんですよっと!」


 執拗に吐き出される蟻酸と共にの突撃を回避し続けつつ、アリの足を削っていく作業に没頭した結果、運よく足の関節部に対し水平にデスラビットの角の刃が当たれば切り離せるだけの切れ味は有る様で、左前の触覚と前足、右の一番後ろの足を切断するに至った分けだが、何分足が6本有る事でそこまで機動力が落ちたとは思えない。

 また触覚を切れば動きが悪くなるだろうと思って居たのだがそんな事も全くなく動きに問題が出てるようには思えない。


「少年時代にアリの触覚をちぎった時はその場をぐるぐる周るだけの行動だったのに、流石は【魔物】って事ですか。しっかりとその複眼でこっちを視認してるようやな。かと言ってやる事に変わりは無いんですよっと!」


 そう呟きながら左中足を切断する事に成功する。簡単に成功したように思ってみたが、切断するまでに数回の攻防が有った事は紛れもない事実だ。


「よし、これで著しく機動力が落ちたぞ。先程から蟻酸も吐かなくなってたし、そろそろ打ち止めなのかね?」


 その後数回の攻防の後とうとう左片側の全ての足を切り落とし立ってられなくなったアリの頭部を腹部から切り離すことに成功する。


「ん?これでもまだ死んで無いの?」

 驚いた事に頭部を切り離しただけではアリは【魔素】だか【魔力】だかに還元されずそのまま痙攣するように各部が動いてる。


「どうすれば倒せるんだろうか、とりあえず頭部や腹部をひっくり返して軟そうな所を突き刺しまくってみるか。」

 頭部や腹部を矢鱈滅多に突き刺しまくっていると、ようやく青黒い粒子となって消えて行ったと同時にレベルアップのログが流れるので有った。


「はぁはぁ、こいつは結構苦労するなぁ~。とりあえず、レベルも上がったし確認しとくか。」


[ステータス]


【名前】:阪本 仁

【年齢】:44

【性別】:男性

【レベル】:267

【状態】:バツ1

【善悪値】:81

【性格】:おだやか

【結婚可能人数】:5人まで


【生命値】:59074

【魔力値】:58073


【筋力値】:23086

【体力値】:19071

【器用度】:22083

【敏捷度】:14053

【知力値】:16060

【精神力】:20075

【 運 】:67


 《スキル》:造形術Lv67

 《固有スキル》:[異空間創造作製Lv2]

 《加護》:[女神様方の寵愛]


[簡易表示]


【善悪値】の数値により、簡易表示は【銀色文字】で表示されます。

【名前】:おじさん

【レベル】:267

【状態】:疲労


「ふふふ、やっぱり女神様方の加護の能力補正ブースト値はとんでもないようだな。上昇公式が分からないからどれくらい補正反映されてるのかさっぱりだし、レベルも一気に上がりすぎて1レベル上昇時の上昇幅が判断しにくい。暗算でなんて計算しきれる感じでもない。

 考えても頭痛してきそうだし、感謝だけしてよう。ありがとうございます」


【デスアーミーアントソルジャーの大顎x2 Lv685】

【デスアーミーアントソルジャーの甲殻x2 Lv685】

【デスアーミーアントソルジャーの蟻蜜2kg Lv685】


 アリの消えた所には、ドロップアイテムが転がっていたので拾って確認してみると


「甘味キターーーーーー。嬢ちゃん達喜ぶぞ!」


 ワクワクしながらドロップ品を拾い荷物置き場に仕舞って行くが、レベルアップのおかげかそこまで重量を感じなくなってきていた。


「さて、このまま嬢ちゃん達の所へ戻って甘味で喜ばせてあげたいが、たった1匹倒しただけで戻るのもなんだかなぁ~とは思うが、それでもやっぱり戻っちゃうんだよなぁ~」


 と言う事で、蟻蜜を手に持ち戻ることにした。


「ただいま~」


「「「「おかえりなさい」」」」


「おじさん、さっきポーション取りに来てTシャツまで取らせたのはなんで?」

「え!ああ、そっかそっか、そんな事もあったね」


 少し惚けながらちょっと蟻の酸攻撃を受けちゃってね、左腕の皮膚が少しただれちゃったのとTシャツが溶けちゃったんだよねと、言いながらもう大丈夫だよと左腕を見せて安心させる事に成功するのであった。


「それよりさ、これ見てよ、甘味だよ!」


「「「「甘味!?」」」」

「そう、これね持てないだろうから置くよ!」


「うわー蟻蜜???これ食べれるの?」


「さ・さぁ~、蜜って書いてる位だし甘いんじゃないかなとか思ったんだけど、食べれないんかな?」


 これで食べれなかったら、糠喜びさせただけじゃん、どしよぉ~(汗汗

「とりあえず、フィルムを少し剥いておじさんが舐めてみるね?」


「大丈夫なのかなー、お腹壊したりしないかな?」

 サクラちゃんが心配そうにしてるので安心させる為にポーションを用意する様に伝える。


「それじゃポーション取ってくるから待っててね。それならお腹壊しても何かあっても、なんとかなるでしょ?」


「うん、分かったよ、食べれたら嬉しいもんね!」

 そう言ってミサキちゃんが微笑んでくれてるので、ちょっと行ってくると空間を出て行ってポーションを手に取り戻ってくるのであった。


「ただいまね。それじゃ早速試してみるね?」

「「「「う・うん」」」」


 ドキドキしながらフィルムを少し剥くと中から、黄金色の塊が出てきたので、指で掬ってみようとしたが粘度はそれほどなく、モチモチしたグミの様な触感だったので、指でつまんで一欠けら千切って口に放り込むと、何とも言えない甘さが口の中を駆け回ったのである。


「甘っまーー。めちゃくちゃ甘い。これは体に悪そうだから止めとこう!」


そう言った瞬間、子供たちから非難轟轟と苦情の嵐が吹き荒れたのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] そういえば食事でレベルアップするのはお告げでありましたけど、みんな聞き逃してたり忘れてたりですか? 初めての食事でも今話でもお告げがなかった感じになってます。
[良い点] 面白いです [気になる点] 第十二話で【レベル】:238になっているのでアリを倒して【レベル】:239だと「レベルも一気に上がりすぎて」にはなっていません
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