第九話 火魔法と料理 所に寄り 世界情勢
「ナツちゃんの〔料理スキル〕の確認は後でしようね。次は、火魔法のスキルブックだけど、誰が覚える?」
「はい、はーい!、覚えたいでーす」
サクラちゃんが覚えたいと手を挙げている。
「ミサキちゃんとハルちゃんはそれで良い?」
「うん、いいよぉー」
「は、はぃ」
ミサキちゃんとハルちゃんはサクラちゃんが覚える事に反対じゃ無い様なので、サクラちゃんに【スキルブック:火魔法Lv1】を箱から取り出して手渡す。
「ミサキ、ハルちゃん、ありがとうね」
サクラちゃんが嬉しそうにして、ミサキちゃんとハルちゃんにお礼を言ってる。
「で・では、読みますね、えい」
なんだかとても気合が入ってるサクラちゃんが、掛け声と共に本を開いた後にナツちゃんの時と同じように本から光の玉が浮き上がってきて、サクラちゃんの胸の辺りにスゥっと吸い込まれる様に消えて行った。
「わわわ、覚えれたみたい」
少し驚いた風のサクラちゃんが、ステータスを確認したのだろう、火魔法を覚えたと伝えてきた。
「二人ともスキルの使い方は分かる?」
「「はい」」
「光の玉が入って来ると同時に頭の中に使い方も入ってきました。」
「おじさんの〔造形術〕の時と同じだね。さて、二人に〔スキル〕を覚えて貰ったのが何故かわかるかな?」
「「うーうん???」」
同じタイミングで首を横に振ってるのを見て、小動物が愛くるしく首を振る動画を思い出してもの凄く和む感じがしたが、気持ちを入れ替えて。
「あそこの竈を使って、【ドロップアイテム】のお肉を調理して貰おうと思ってだよ。〔造形術〕を覚えた後に作った鍋モドキがあったでしょ、ナイフモドキも作ってあるので、これで少しは調理が出来るんじゃ無いかと思ってね。
あと人参も手に入ったから、茹でて潰してあげるとチーちゃん用の離乳食にも使えるからね。」
「「なるほどー」」
「丁度お昼ぐらいだし、一緒に食べる物を考えてみようか?」
良い時間だし提案してみる。
「「はーい」」
「ミサキちゃんとハルちゃんは、マイちゃんとチーちゃんを見ててね、今からご飯の準備をしてみるよ。」
「わかったー」
「はぃ」
「それじゃあ、ナツちゃんはこのお肉と人参とおじさんのリュックサックに入ってる食べ物で作れそうな物をスキル〔料理Lv1〕を使って考えてみて。サクラちゃんは、おじさんと竈の所まで行って〔火魔法Lv1〕の使用方法を考えてみようか。今まで食べたりして出たゴミとおじさんのTシャツの端切れなんかを燃料にして竈に火を熾そう」
「うん」
「はい」
二人が元気よく返事してくれたので、ナツちゃんにリュックサックを預けて、宝箱内からお肉の塊と人参を自分が竈の近くまで持って、サクラちゃんに燃やせそうなゴミを集めて来てもらって一緒に移動する。ナツちゃんに献立を頼むにしても【ドロップアイテム】のお肉や人参はいまだに持ち上げる事が出来ないだろうしね。
「火魔法ってどんな感じで使えるのかな?」
「うんーっと、〔着火〕〔放火〕の2種類が使えるみたいです、〔着火〕はチャッカマンみたいな感じで火を着けれる感じで、〔放火〕の方は火の塊りを放り投げる感じで使えるようです」
「そっか、んじゃ〔着火〕をこのゴミに使ってみてくれる?」
「はぃ、やってみますね。」
「着火」
サクラちゃんが、右手を前に出して「着火」と唱えると目標にしたゴミに火が着いた。
「おおお、凄い」
「わわわ、火が出ました」
自分で出しといて驚く姿が可愛らしい。
「だね、そういう魔法なんでしょ。・・・」(苦笑
サクラちゃんが自分で出したのに、めちゃくちゃ驚いてて、ついつい呆れてしまったが、そこもまたほっこりする。
「よし、〔放火〕はこの空間で使うのは危ないかもしれないから、【ダンジョン】から脱出出来る迄は、着火の魔法だけで調理の際に活躍してもらう感じで良いかな?そのうち魔法のレベルも上がって違う魔法も使える様になるだろうしね」
「分かりました、調理の際の火熾しを担当しますね」
うんうん、サクラちゃんも私の目的をしっかりと理解してくれたようで安心する。
「おじさん、鍋の他にも鉄板で良いから作れる?ステーキ焼くのにあると便利なの」
ナツちゃんがステーキを焼いてくれるそうだ、楽しみだ。
「ほぃほぃ、作って来るね。」
大急ぎで荷物置き場の空間へ移動して残ってる鉄棒の支柱を2本とも使って、〔造形術〕で塗装や錆を分離して縦1メートル横2メートルの鉄板と小さ目の鍋を作成する、BBQやるみたいでワクワクする。
「ただいま、鉄板作ってきたよ」
戻ったと告げたとたんに、お肉カットの要請が飛んできた。
「おじさん、モモ肉をカットしてくれるー?重くて動かせないの!!!」
「いいよぉー、どんな感じにカットする?」
「2センチ角位のサイコロ状にしたやつと、後はステーキみたいに焼いて食べようと思うから、ステーキ用もお願い。」
「りょーかい」
ナツちゃんに言われた様に、【サーベルデスラビットのモモ肉】をカットするためにモモ肉が包まれていたフィルム状の物を剥がす際に、脳裏に言葉が飛び込んできた。
【保存用フィルムを剥がした部分の品質は徐々に劣化しますので、早めに御賞味ください、またフィルムで包まれている部分の品質は劣化しませんので、フィルムを剥がすまでは最高の状態を保持します。】
驚いて手が止まる。
「おじさん、どうしたの?」
動きが止まってしまった自分に、ナツちゃんが不思議に思い声を掛けてきたので、説明するよりも確認してもらう方が早いだろうと、モモ肉のフィルムを切る部分まで剥がしてみてと場所を代わる。
「お、おじさん、頭の中に女性っぽい声が聞こえたよ、フィルムを剥がさない限り新鮮なままなんだね、人参もそうなのかな?」
「これも、同じフィルムで1本1本が包まれてるよね?」
「おじさんにも、人参の事までは分からないけど、剥いてみたらわかるかもね。でもさ、これで肉が腐るとか心配する事が無くなったよね。」
「そうですね、お肉と人参だけはしばらく食べる量がありますね、味付けが出来ないのは仕方ないけど。」
ナツちゃんと二人で笑い合うと気持ちも少し軽くなった気がする、食料に関しては本当に不安しかなかったのだ。
「さて、お肉も人参もカットしたけど、次はどうする?」
「えっと、鍋にこのレトルトカレーパックを一袋分だけだして水で薄めて一口カットしかお肉と人参を多めに入れて少し煮込んだのと、こっちに竈を追加って出来る?」
「出来るよー」
「それじゃあ2個を並べて用意出来る?鉄板を置いて使いた。」
「ふむチョット待って、大きな竈?キャンプ場とかに有るような鉄板や焼き網を置けるような囲いの竈を設置出来るようだよ。それで良い?」
「えーそんなのが出来るなら、こっちにお願いー」
「どうしてこっちに?」
ナツちゃんが違う場所を指定してきた理由を聞いてみると、成る程と思ってしまった。
「えっと、皆で囲んでBBQみたいに楽しめるから?」
「ああ、そうだね楽しそうだね。でも火の扱いには注意しようね。バケツがまだ無いから消火の時とか注意が必要だよ。」
「んじゃ、【ドロップアイテム】の皮を細かく切って燃やす燃料にしようか。Tシャツの端切れやゴミだけじゃ足り無さそうだし、さっき倒した分のがあるから燃料にして使っちゃおう」
そこまで準備し終わったら自分に出来る事が無くなり、後をナツちゃんとサクラちゃんにお任せして、汗を流すために水浴びすると伝えその場を離れる。
着替えのTシャツとパンツをリュックサックから取り出してハンドタオルを出そうとしたけど見当たらないので、ミサキちゃんに聞いてみると使ったので干してるって事だった。まぁ良いかと小川の中央付近に用意した。浅く広い小川部分で水浴びをし着ていた方のTシャツで体を拭きそのまま水洗いして近場に設置した盛り上がり部分に広げて乾かしておく。
「ふぅ、水浴びだけどさっぱりした。
ただいま。そうだチーちゃん用に人参を煮て柔らかくしたやつも作らないとね」
そう言って、小さ目に作った鍋に水を汲みに行って鉄板の端っこに乗せて煮立たせていき、小さく切った人参を柔らかくなるまで煮るのであった。
「ご飯の用意が出来たね。飲み物は水になるけどなんとか食料の目処が立ったのは良かったよ。
美味しそうだね。ナツちゃんありがとうね。」
「いえ、おじさんが用意してくれたから。」
ナツちゃんが笑顔で答えてくれたので、釣られて穏やかな気持ちになり笑みが漏れた。
「それじゃあ、食べようか、いただきます。」
「「「「いただきます。」」」」
「いちゃじゃきまちゅ」
そう言って手を合わせて食べ始めるのであった。
マイちゃんの「いただきます」に心を鷲掴みされた事は内緒である。
「このカレー味のスープも、ステーキもめちゃくちゃ旨いね」
「うんうん、おいしい!」
「「「「ええええ」」」」
「ど、どういた!?」
突然4人が大騒ぎしだすので、食べた肉が体に悪かったのかと途轍もなく心配してしまう。
4人とも返事しないし、マイちゃんも目の前に手を振りかざしてる。
「大丈夫?何があったの?」
マイちゃんの動きは見覚えがある、この空間に設置した水源の水を飲んだ後の様な動きだ、マイちゃんをじっと見てみると、【レベル】が上がってた?なんで?
「お、おじさん【レベル】が上がった!」
「うん、ステーキを咀嚼して飲み込んだら突然」
「今度は【レベル】が6まで上がったよ、なんで?」
「私も同じ・・・・」
4人とも【レベル】が上がったようだ、それにしてもなんでだ?
【ドロップアイテム】のお肉や人参を食べたからなのか?
【ドロップアイテム】にLv表記があった物は食べる事でも経験値的な物が肉体に吸収される?
「おじさんにも分からないよ。おじさんは只々美味しいお肉を食べただけって感じだったよ。ここの水源の水を飲んだ時と同じ感じでね」
「そうなんだー、ま、いっか」
ミサキちゃんが、お気楽にケラケラ笑ってらっしゃる。
「【レベル】が上がったのは良い事だし、今後も食べ物で上がるのかも知れないし、上がったら教えてね。マイちゃんの動きが、可愛過ぎて、おじさんホッコリするよ。
ねーマイちゃんも【レベル】が上がって良かったね、うりうりギュー」
マイちゃんをギューっと抱きしめて、癒される。
「分からない事を考えても仕方ないし、食べちゃおうよ。食べ終わったら、お肉と人参を少しだけカットしてフィルムに包んでおこうか?おじさんが居ない時でもお腹が減ったら食べる事出来るように。皮も燃料になる様に1枚分は全部細かく切っちゃうね。おじさんが外に出てる時は、ナツちゃんとサクラちゃんで食事の面倒をお願いするね。
お肉も人参も、魔物の皮もさ、加工しちゃうと重くは無くなるようだから、使いやすい様にカットしておけば、使いたい時に使えるでしょ」
そうやって、生活しやすいように提案し何かに協力できてる感じを持たせるようにする。
「チーちゃんもご飯食べようね、甘い人参さんだよー、あーん」
チーちゃんもお腹が空いてたようで、大人しく自分の膝の上に座って、柔らかくした人参を潰した物を美味しそうに食べてくれたのだが、チーちゃんも目の前に何かが出たのか、手をフリフリし始めたので、チーちゃんをじっと見つめてみると、【レベル】が上がっていた。
「チーちゃんも【レベル】が上がったようだ。」
「ほんとだー」
ミサキちゃんがチーちゃんの【レベル】を確認したみたいで、相槌を打ってくれたので序にこの後おじさんは少し休むから二人の面倒を見るのを頼むのと、食事の後片付けもお願いして、柔らかくした地面に移動して、少し休ませて貰う事にした。もちろん嬢ちゃん達が眠くなったら起こすようにも言ってある。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
[神]様からのお告げがあった翌日の夕方頃、2つの大きなニュースが瞬く間に世界中を飛び交った。
一つ目は、中国の上海地方に発生した【ダンジョン】入口を中心に10キロ四方が吹き飛んだとのニュースが速報で入り、その後の中国当局の調べて【ダンジョン】内に落下した中国高官の御令嬢を救出すべく、高官の独自命令でダンジョン入口にミサイルを撃ち込み入口を破壊して侵入を試みようとした結果、ミサイル着弾直後に【ダンジョン】入口を中心に高エネルギーが発生し約10キロ四方へと衝撃波が飛び更地と化したのであったと言う内容の物であった。
続報で流された動画では、高層ビルなどの建造物も基礎や地下駐車場等の地面より下にあった部分を除き地面より上にあった建造物は漏れなく10キロ四方外へ弾き飛ばされており、10キロ四方周辺は瓦礫の山積みとなっており被害の大きさが一目瞭然であり、大勢の人が瓦礫の下敷きになっているとの事。
更にニュースの続報で、高官の身柄は拘束されたものの高官の家族は吹き飛んだ10キロ四方内に住居が有ったため命令を出した高官以外の家族の身柄は発見されず、被害の規模は20万人以上と連絡が取れてないとか確実な被害状況が分からない規模であったと言う。
アメリカの監視衛星からの映像もニュースで流されたが、都市の一部が円形の空白地になった映像が流れたのであった。
二つ目は、韓国南部に出現していた【ダンジョン】から脱出者が1名出たと言うものだ。
脱出した1名が得意気に【ダンジョン】内部の事を語り一躍有名人へとなったと言うものであった。
持ち帰られた情報によると、【ダンジョン】内部には【魔物】が居て倒した際に【レベル】が上がり、この【ダンジョン】内部で初の【魔物】討伐者として【スキル】が選択方式で幾つかの【スキル】から選べたと報告し、選んだスキルが〔スキル:脱出Lv1〕を選択し情報を持ち帰る事を考えて、一緒に落下した人を苦渋の決断で見捨てて脱出してきたと得意気に語ったのだった。
この脱出した韓国人男性は〔スキル:脱出Lv1〕を使って、落下した他の人を見捨て一人で【ダンジョン】の外へ脱出したのは良いものの、持ち帰った情報が【魔物】が居る、【ステータス】があり、【レベル】が上がった事だけであった。しかも[神]様のお告げで既に知らされてた事しか情報が無かったのである。唯一の情報が倒した【魔物】がモグラ型の【魔物】であり、大きさは中型犬サイズであったと。
一時は英雄視されていたこの男性も、逃亡者や同国民を見捨てた者、ついには一緒に落下した恋人まで見捨てていた事が判明し、非難轟々となったのである。
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日本国首相官邸サイド
「総理、【ダンジョン】内に落下した民間人男性の氏名が判明しました、いかが致しましょうか?」
「詳細は?」
「はい、住所不定で氏名は「阪本 仁」44歳、日本各地を転々とし、格安ホテルや民泊にネットカフェなどを渡り歩き、高額なバイトでのその日暮らし生活者のようです。」
「ふむ、今しばらく調査中としときましょう。犯罪者でもあるまいし、早期特定する必要はないでしょう。それとも、その人物は危険思想の持主とか、過去に犯罪履歴があったりしますか?」
「いえ、犯罪履歴は御座いませんが、元妻の親からたった一度の面会で親の家に現れただけでストーカーと通報され追い返されたと言う記録は残っておりますが、ストーカー行為をした事実は存在しません。その場は通報により出動した警察官により追い返されていますが、素直に従い離れた様です。所謂冤罪ってやつですかね。」
「なら問題ないでしょう。今しばらくは静観していましょう。中国上海の映像を見るに【ダンジョン】への攻撃行為は危険極まりないようですしね。当分はそちらと韓国の脱出者の話でマスコミも盛り上がるでしょうし。」
そう言った瞬間に時間が止まるのであった。
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『ごきげんよう、地球と言ってる星に住みし者達よ。』
その瞬間、世界はまたも停止するのであった。
『愚かにもダンジョンへ攻撃をした地域もあり、神の裁きが下された。巻き込まれし強き善き者も数多く居り悔やまれる。』
『そして、初のダンジョン脱出者も出ました。脱出された方にはおめでとうと言わせて頂きますが、一人逃げる方法を選んだのには落胆しました』
『強き善き者の行為では無いと断言させて頂きますが、その選択をした人種も特に悪しき者ではなく強き善き者の因子を持つ者である。今後次第とも言えますが、その人種も【ステータス】を見て既に知っていようから悪しき者に変貌しない事を望みます』
『さて、我が今一度こうして告げに現れたのは何も脱出者に祝辞を述べる為ではない。ダンジョンに落とされ試練に挑む者の地上に残されし者達からの求めが多く、その大半が不安に駆られている様なのでな。
確かにダンジョン内で試練に挑んでる者が無事なのかは、残されし者達にとっては気になるであろう。なのでダンジョンの結界部分にダンジョン内の生存者数だけを表示する様にした。
ダンジョン内の生存者が居なくなったダンジョンの結界は黒くなるようにもした、黒くなった結界には数字が表示される事は無くなるゆえ、結界に数字が表示されている間は、ダンジョン内には生存者が居ると言う事だ』
『全てのダンジョン内部の生存者が居なくなった時点で試練が終了するのは変更が無いゆえ、ダンジョン内部から脱出出来た者から齎される情報を有効活用し、その後の世界への準備を怠らぬように。』
その言葉を最後に時が動き出し、その身に受けていた[神]の圧からも解放されるのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
日本国首相官邸サイド
「今のお告げを聞きましたか。最優先で結界の確認を急ぎなさい」
「はっ、直ちに」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
慌ただしく、内閣情報調査室のメンバーが各方面の確認作業に追われ、速やかに情報を吸い上げて来る。
「報告致します」
「茨城県ひたちなか市の陸上自衛隊勝田駐屯地敷地内のダンジョンの結界には3の数字が表示されているようです」
「すでに3名が犠牲になったと言う事なのでしょうか?」
「分かりませんが、結界には3と表示されてるとの事です」
「・・・・・・・・」
「情報が入りました」
「兵庫県西宮市のダンジョンの結界には、1との表示とのことです」
「・・・・なんてことだ、民間人の落ちたダンジョンの方が犠牲者が多いのか・・・」
絶句してしまい沈黙がだけが流れるのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ニュース速報。
速報です、茨城県ひたちなか市の陸上自衛隊勝田駐屯地敷地内の結界の表示数値は3、兵庫県西宮市のダンジョン結界の表示数値は1。
番組内容を変更して速報をお伝えします、たった今入ってきた情報です。先ほど[神]なる存在よりダンジョン内部の生存者数を知らせる結界表面に表示された数値です。
「茨城県ひたちなか市の陸上自衛隊勝田駐屯地敷地内のダンジョン結界の表示数は3」
「兵庫県西宮市のダンジョン結界の表示数は1」
「このような数値をお知らせしないといけない事を心苦しく思いますが、事実です」
ニュース速報。
兵庫県西宮市のダンジョン結界の表示数が0
「たった今入って来た情報です。兵庫県西宮市のダンジョン結界の表示数が0・・・・・」
「0と表示されているとの事です」
お読みいただきありがとうございました。