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俺の進む道  作者: 静
8/8

報酬

朝になって村を出発しようとしたが壁にぶち当たった


「どうしたものか…」

「……だいぶ大きいですもんね」


そう、ラミアは持って帰るには大きすぎるのだ

基本的に討伐依頼は討伐対象の遺体を持って帰ることで討伐を証明とする

なので大型の獣やモンスターの場合はあらかじめ持ち帰る手段として馬車などを手配、準備する

だが今回は


「まさかラミアとは予想してなかったからな」

「でも流石に猫車では無理ですよ……」


さてどうしたものか……

幸い町との距離はそこまで離れていない

となれば


「引きずって持って帰るか」

「……正気ですか?」

「来た時の3倍くらい時間はかかるだろうが大丈夫だろう」

「……私が町の門番なら絶対に町に入れませんね」


それは困る

町での生活資金のために討伐したのだ

まぁ大丈夫だろう


「ほかに方法はない。馬車が通りかかるのを待つのも無理がある」

「……ではいったん町に戻っては」

「その間に獣に食い散らかされてはかなわない」

「……そうですか」


ラミアは確かに重いがひこずって行くなら何とかなるだろう


「じゃあ帰るか」

「……はい。何か荷物をお持ちしましょうか?」

「食料をお願いできるか?血濡れのパンなんぞ食いたくない」


レアに食料を渡し、そのままラミアの尻尾を担いだ

力を込めて引っ張ると


「思ったより軽いな」

「……それを軽いといえるガイル様が信じられません」


実際そうなのだから何も言えない

まぁ町まで運ぶのだ

軽いに越したことはない





「やっと門が見えてきたな…どうして傭兵が並んでるんだ?」

「……町の外の人が伝えたのでしょう。叫び声をあげて走っていきましたから」

「まぁ、ラミアは死んでいるのだし問題ないだろう」

「…ご自分の姿を見てみてください。血にまみれてますよ…髪も乱れて」


ここまでこの巨体を運んできたのだ

死体の血もつくし、汗をかいて髪も乱れる

これはしょうがないことだ


「流石に攻撃はされない……よな?」

「……大丈夫だと思います。…たぶん」


近づくと見たことのある顔…忘れようのないやつがいた


「おい……どういうことだ」

「どういうことだじゃないですよ。血まみれの人が怪物と一緒に町に向かってるって報告があればこうもなりますよ」

「これは討伐対象だよ。村人が行方不明になってた原因はこいつだ」

「そうだとしても一報入れてください。担いでくるなんて非常識すぎるでしょう」


ほかに手段がなかったんだ、ラミアを倒せたんだし大目に見てくれ


「そもそもどうやったらラミアと出会うんですか?この辺りにはいないモンスターですよ?」

「不思議なことにこの辺りまで来ていたんだ。俺に聞かれても困る」

「……最近は隣国で戦争が長引いています。戦火から逃げてきたのかもしれませんね」


そんなことが起きていたのか

とはいえ小耳にも入ってこないということは影響は少ないのだろう


「というか、報酬はどうなるんだ?ラミアなんだ、少しは弾んでもらえると助かるんだが」

「報酬自体は変化しないですよ。ただ解体して素材を売れば結果的にはかなりの額になるはずです。ラミアなんて相当貴重ですからね」


なるほど…それはありだな


「分かった。解体はギルドで手配してくれるのか?」

「はい。ギルドと契約している職人に頼むことになります。手数料はかかりますが…」

「かまわん。どうせあてもないしな」


解体職人なんて知り合いはいない

一から探す手間がかかるならそのくらいいいだろう


「素材はすべて売却なさいますか?」

「どういう意味だ」

「モンスターは基本的にすべて売却しますが、ラミアほどのモンスターとなれば武器の素材くらいはあるかもしれないので、使えそうなものは取っておいて武器の職人に自分で発注をかける場合があるんです」

「大剣が作れるくらいの素材が出るのか?」

「大剣ですか?私は職人ではないので何とも言えませんが…流石に体験は無理ではないかと。ラミアの骨から作られる武器としては非常に硬い背骨を使って大槍や太刀などの細長い武器が多いです」

「そうか…とりあえずまた考えておくから使えそうなものは取っておいてもらうように伝えてくれ」


今の大剣は奴隷の時から使っているボロだ

手入れもろくにしてないため、刃こぼれもひどい


「というか、背骨はそんなに硬かったのか…」


確かに、背骨は折った記憶がない

折っていたのは周りの小さな骨だったのかもしれない


「割と奇跡に近い勝ちだったのかもな」

「ガイルさん。報酬の用意ができました。今回の依頼報酬、王国金貨40枚になります」


金貨40枚とはかなりの額だな

貨幣の価値がぴんと来ない俺にもすごさがわかる


「実害が出ていてかつ、情報が不明慮でしたからね。というか、依頼書に書いてあったのですが……」


全く見ていなかった

何も考えずに依頼を選んでいたんだな


「はぁ…一般的な家庭で年収金貨17、8枚ですのでものすごい額ですよ」

「なるほど…当分困らなそうだな」

「そりゃそうですよ。ここにさらに素材の売却代が上乗せなので一財産ですね」


今回はいろんな意味でラッキーだったな



誤字脱字、意見等あればお願いします。

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