災難
登録を済ませ、カウンターまで戻ってくると
「お嬢ちゃん、こんなとこでひとりか?」
「よかったら俺らとパーティー組まねぇか」
「優しく教えてやるからよぉ」
レアが見るからにガラの悪そうな傭兵たちに絡まれていた
「……」
「黙ってるってことはいいってことだよな?」
近くの席の椅子を引っ張ってきて座る
最初は割って入り、助けるつもりだったかが……
「…くそ虫が」
レアは殺気を放っており、どう戦うか気になったのだ
いざとなれば助けに入るが
「よしじゃあさっそく…」
「…ふっ!!」
「ごふぁ!!」
奇麗に決まった。体格差を生かした急所への一撃
「そこだけはどうやっても鍛えられないかあなぁ」
レアに金的を食らった傭兵はうずくまりそのまま気絶しまったようだ
「こいつ!!」
「女だと思って優しくしてりゃあ!!」
ここでは三人で囲んで無理やりパーティーに誘う事を優しいというらしい
残りの男二人は同時にレアに向かって取り押さえにかかった
流石に同時に来られるときついかと思うが……
「ぐぁああ」
近くのテーブルに置いてあった塩をどうやら握りこんでたようだ
怒りに満ちたその目はしっかり見開かれてレアを見ていたはずだ
「くそった…ぐぉお」
「この野郎!!」
不運にも目に塩が入ってしまい悶絶していた男も奇麗な蹴りを食らい気絶してしまった
だがそこで最後に残った男はついに腰の剣を抜いた
レアはなおも戦う気だったようだが
「流石に剣まで抜いちゃ、黙って見てるわけにはいかないな」
「あぁん?なんだよてめぇ!!邪魔すんなら…」
「邪魔ならもちろんするさ。女相手に剣まで抜いたんだ。覚悟決めろよ」
「くそ!!てめぇから…」
「……どうした?来ないのか」
男は最初は息巻いて向かってこようとしたものの、こちらに来る手前で立ち止まった
男と俺との体格差は歴然で、おまけにこちらは大剣を背負っているのだ
「お前が来なくても俺は行くがな」
「くそが!!うぉおお!!!」
男は真正面から剣を振り上げて襲い掛かってきた
だが…
「ありがとう。そう来てくれたほうがやりやすい」
「ぐぎゃ」
半身を引いて剣を躱し、そのままこぶしを顔面に叩き込んだ
男はそのまま後ろに吹き飛んで気絶した
「レア大丈夫か?」
「……ありがとうございます、ガイル様」
「お前にも後で武器を用意する。自分の身はそれで守れるだろう」
レアは身体能力が高いとは思っていたが、戦闘の才もありそうだ
「とはいえこんな少女を戦場に立たせていいものか迷うがな」
「私は気にしませんが…」
磨けばいいとこまでできそうだし、本人も戦場に立つことを何とも思っていなさそうだ
今度、訓練でもつけてやるのもいいかも知れない
「とはいえだいぶ我流だがな」
まぁそれは今後の課題として考えるとしようか
すぐにでも討伐依頼を受けて出発するつもりがとんだ始まり方だ
誤字脱字、意見等あればお願いします。