5話 翼は自然災害の如く
次の日
教室に行くとクラス内の会話から御剣先輩からの被害にあった者への謝罪が行われた事と言う事が話題になっている。
それと、黒幕だと思われる暴動は連絡も断ち、姿を完全に消して居たらしい。
因みに昨日、一段落した溜先生が、警察の魔法科の人達と話し合い魔法女王が関わっていた事実を伏せ、魔法科の人達が処理した事にしてくれていたらしい。
何とも気が利いている。
そう言う話になっているので、安心して居たのだが………
どうにもクラス内で魔法女王の話が出ているのが気になる。
話を更に聞いて行くと、どうやらあの中に居た1人が、溜先生が騒ぎを収める前に、電話で友人に魔法女王が現れ場を収めた事を話し、それがまた別の友人へどんどんと拡大して行ったらしい。
誰がそんな事をしたかは分からないが、その事があったであろう時間に僕と一緒に居て話に花を咲かせていた陽狐ちゃんがしたと言うは無い。
でも実際面倒臭い事になったものだ、
一晩で学校全体にまで話が広まっているのだ。
これ程の騒ぎになる事は分かっていたので、
姿を消す事にしていたのに。
「おっはよぉ!!みんなぁっ」
おっと、翼が登校してきた。
頼む翼余計な事を言わないで、
もっと大変な事になるから。
「ん?魔法女王?それってお姉ちゃんの事だよねぇ、お姉ちゃんがどうかしたのぉ?」
………………。
言ったよこの人、やったよこの人。
そして僕の願いはフラグだったのか?
フラグ回収してしまったのか?
そして案の定、場の空気が固まる。
「翼ちゃん……今なんて?」
驚き言葉に詰まりそうになりながらクラスの1人がそう聞く。
「え〜とぉ。お姉ちゃんがどうかしたの?って言ったよ〜。」
「エッ。エーーー!!??」
そんな翼の意外な爆弾発言に、
その場のほぼ全員が驚き声を上げる。
「って事は、翼ちゃんと魔法女王は姉妹?」
驚愕しながら撃田君が最終確認をする。
「姉妹って言うか、双子だよ?」
「ふっ…双子ぉー?
って事は魔法女王は私達と同い年だったんだ。」
双子、そして同い年と言う事に対して時田さんが更に驚いて居た。
それにしてもかなりまずい状況になった。
個人情報流出所の話じゃ無いよ、翼ぁ。
しかし、翼が僕がここにいる事に気が付いていないのがここに来て生きているとは。
気が付いていたら僕の体質までバレる所だった、それでもここで僕が出て翼の発言を制止出来ないのが厄介である。
昨日の内に翼に会って、釘を刺しておくべきだった。
「翼ちゃんあのさ、1個聞いていい?
魔法女王の体質はどんな物なの?」
「えっとね、『性別変化』だよ?」
おっと翼選手っ!!ここでサヨナラホームランだぁぁぁーー!!
などとヤケになって心の中で実況してしまった。
だが、記憶を書き換える魔法とか言う都合のいい物は存在しないので、最早どうする事も出来ない。
完全に詰んだ…………
「ちょっと待って?ねぇ…ほぼその可能性は無いと思うけど、その体質…双子…同じ苗字……
それって磨琴君の事じゃない?」
うぇっ!?
時田さんからそんな事を言われるとは思わなかった、ヒントはあったけど、少しの可能性を見逃して下さいませんかそうですか。
「そんな訳なかろうが?阿呆かお前は。
そんな魔力の低い者と比べられる魔法女王様が可哀想じゃ」
もうダメかと思ったけど、陽狐ちゃんが、表向きの態度を崩さずにフォローを入れてくれる。
やっぱツンとデレの高低差が激しい。
「んーーー?」
翼がこちらをじーっと見て考えている。
「あっ!ホントだ、お姉ちゃんだぁー!!ひっさしぶり〜同じ学校だったんだね〜」
あーもーこれで完全にバレた。
どうにでもなぁれっ!!
「もうお手上げだよ、翼………
って言うか時田さんでトドメ刺された、
時田さんホントどんな推理力持ってるのさ…」
「え?って事はまさかホントに磨琴君が、お姉ちゃん…つまりは魔法女王なの?」
「え?」
「え?」
お互いに驚く。
「もしかして時田さん適当に言ってた?」
「えーと。…………」
図星だった様だ。
それはともかくクラス内が騒めき出す。
すぅー、ふぅー。
覚悟を決め、深呼吸をし、『体温調整』の魔法を解く。
「この姿では初めまして。
魔法女王の朝日奈磨琴です。
私が正体を明かしてなかった理由は、
別に私自身は知られても構わないけれど、
昔、つまり姿を消してたと言われていた時も実は私が近くに居ると知るだけでみんな私を見ようとして来る人が押し寄せるので、騒ぎになり、周りの関係無い人に迷惑を掛けていたからです。
そして人が集まる前にそこから身を引いたりして居ただけなんだけども、
なので私自身は別に隠すつもりはもう無いので、一つだけお願いがあるとすれば、できるだけ騒ぎにはしないで下さい。
あと、翼貴女さぁ、私が居るって知ったら周りがどうなるか分かってるでしょ?
それに私と翼が姉妹だって知ったらもっとややこしくなるでしょ?お互いに有名人だから余計にさぁ?」
「だって騒ぎになるって普通の事じゃないの〜?」
そっか…忘れてた、翼はいつもプライベートで歩くだけで騒ぎになるんだった…
そんな子にこんな事言っても無駄だね。
「失礼する」
そんな声と同時に溜先生が来た教室へと入って来た。
「やっぱりか、朝日奈、お前これはどう言うつもりだ?バレたのか?」
「それが………」
起きた事を溜先生に話した。
そうすると……
「お前ら、この事はこのクラスの秘密にしておけ?
こうやってクラス内にバレただけで、こんな騒ぎなんだ、全校生徒が知ったらお前らの想像以上に騒ぎになるぞ、それと、朝日奈?
お前魔力大分抑えられて居るのつもりだろうが別の階まで若干漏れていたぞ、この魔力は焔辺りのせいにでもしておく。それでいいな?」
最後に溜先生は担任の篠原先生に「失礼した。」と一言言い去って行った。
そして陽狐ちゃんはむくっと顔を膨らませ真っ赤になっていた。その顔は私の役に立てて嬉しいと言う感情と何故か自分が悪者にされて居て、不満な感情が混ざった複雑な顔をしていた。
そんな事があり、休み時間に色んな人に声を掛けられ色んな話しを。
そして、陽狐ちゃんとも話した。
「磨琴様、良かったら休日に妾と、どこか行っては来れないかのぉ?」
「私もぉ〜」
そうして結局数人の女子が集まる事になった。
その中にはもちろん陽狐ちゃん、そして当然のごとく翼、時田さんや猫条さんも居た、それともう1人、今回私の正体を知っていたのに反応も含め全く、会話に入って来ていない能登さん。
それにしても女子だけか、これは僕も女の子として行かないと浮いてしまう。
どうにか変装して行こう。
ここまで今まで少し考えてた所をかなり直したものを書いてましたが、この先から全く考えてなかったので、少し投稿が遅れるかも知れませんが、出来るだけ頑張ります。