ネコと少女
(彼女はよく笑う。)
(ボクは彼女のそんな暗い闇の中でさえ照らしだしてしまえそうな、その笑顔が...大好きだったーーー)
「あら、ネコさん。今日も来てくれたの?ふふっ、皆勤賞だねっ!じゃあ、そんなネコさんにはー.....はいっ、どうぞ!」
(そう言って彼女がバックから取り出したのは小さな鈴の付いた赤いリボンだった。)
「にゃあん?」
「これはね、ネコさんと私が友達ですよーって証なの。気に入ってくれると良いんだけど...」
「にゃあん!」
「ふふっ、喜んでくれたみたいでよかった。じゃあ付けてあげるね。」
(彼女は花の花弁に触れるかのように優しくリボンをボクの首に付けてくれた。)
(ボクはそんな彼女とのゆったりとした時間が大好きで、なんだかこれ以上にはない程の幸福感を感じていた。)
ーーーでも、そんな日は長くは続かなかったーーー
(ある日を境に彼女は姿を現さなくなった。)
(来る日も、来る日も。)
(ボクはただもう一度彼女に会いたくて会いたくて...。)
(彼女を待ち続けた。)
((ネコさん。))
(最初は悲しかった。恨んだりもした。)
(だけど、彼女のあの優しい声を思い出す度に彼女に会いたい気持ちでいっぱいになった。)
(あの声を、あの笑顔を、あの優しさを...)
(もう一度。もう一度だけでいい。)
(あぁ...神様。もし、もしも本当に居るなら...お願いです。ボクのイノチをあげます。だから、彼女に1目だけでもいい、会わせて下さい。)
((これはね、ネコさんと私が友達ですよーって証なの。))
(ボクは...ボクは...)
((ふふっ、喜んでくれたみたいで良かった。))
(.......................。)
(彼女はよく笑う。)
(ボクは彼女のそんな暗い闇の中でさえ照らしだしてしまえそうなそんな笑顔が...大好きだったーーー)