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短編置き場  作者: らいず
3/7

発覚

 終わりだ…。ばれちまったばれちまったばれちまった!

 …殺される!

「おう…ちょっとこっち来いや」

 殺される!!!?

「あ…」

「おい、こっちこいっつってんのが――」

「うわああああああああああああ!?」

 にげるしか…にげるしかない!

 まずはここから出ないと…。でもそんな事したら、もっと…。いや、でもけっきょくもうダメなんだ。なら行くしかない!

「おいこら待て!」

 重いトビラを開け、おれは外へと抜け出した。


 追って、来てるか…?

 いや、まちがいなく追って来るはずだ。ならどこへ行けば…。おれの知っている場所なんて、そう多くない。それに、おれが知ってるところになんて行ったら、あいつもぜったいさがしに来る。

 …知らない方に行くしかない。

 暗い…。どっちを向いてもカベがあって、ここがどこなのか、もうわからない。

 それでも…進むしかない。できるだけ…遠くへ!

「―――らああ!」

 !?

 うそだろ…。近くにいる!

 なんで…なんでわかるんだよ。もう、けっこう進んだはずなのに!

 もっと…もっと速く…。って、さっきからせいいっぱい走ってるっての!

「居やがったなこのやろう!」

「う、うわあああああああ!?」

「なんって声出しやがる! 静かにしやがれ!」

 何か…何か!

 …! これで!

 ぐうぜん足元にあった石を拾い上げ、投げつける。その石はねらった通りにとんで――。

「ふん!」

 しかし、それはよけられてしまった。

 なんで当たらないんだ! こんなに近くから投げたのに!!

「おいてめえ…」

 や、やばい……。

「今の…なんだ?」

 やばいやばいやばいやばいやばい。

「良い度胸だ…。許されると思ってんのかてめえええええええ!?」

「ああああああああ!?」

 ! このスキマ…。おれなら入れる!

「おい!」

 さくの下を通って、おれはまた走り出した。

「くそっ…」

 だいたい、なんでばれたんだ!?

 これまで上手くやってきた。一回もばれたことなんてなかったのに。

 そう、さっき…。あいつの…後ろに確か…。

 …そうだ!

 あいつがばらしたんだ…。それしか考えられない。うらぎったなあ~~~。

 にしても…もう、本当にどこかわからない。い、いやだから、もう戻れないんだって。もう、二度と…。

「見つけたぞおらあ!」

「わあ!?」

「もう容赦しないからなこんの~!」

「はなせ! はなしやがれクソやろう!!」

「この…っ」

 くそ…こいつさえ…こいつさえいなけりゃ…!

「だからなんて事言いやがるんだ! “親”に向かって!!」

 大きな手が、おれへと近づいてきた。

「いってえええええええ!」

「ああもう声がでかいんだよ! 通報でもされたらどうすんだ」

「でけえのはてめえもだろうがってえええええ!?」

 このゴリラが…。またなぐりやがった!

「まて! おれはわるくないぞ! やってない! あいつがうそついたんだっ!」

「はぁ~。妹のせいにして恥ずかしくないのかい」

「おれはやってねえ!」

「ほんっとしょうがないやつだ…。ほら帰るよ。泣きそうな顔しちゃってまあ」

「ないてねえ!!」

「うるせえ手間かけさせんな。帰ったら説教の続きだからな」

「…くそ」

 いつかやり返してやる。

 でも。

 悔しいけど…。

 しかたないから、今日のところは帰ってやる。

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