授業と悪の予兆
何故か分からないが、この学校では現世の学校同様数学やらなんやらを勉強するらしい。
魔法の勉強とかするんじゃないのか?と思ったが、それもするらしい。
だから、高校なのにやる内容は中学の内容だったりする。
成績が下の上だった俺でも、流石に中学の内容なら一度やってるから上位に入れそうだ。
今は数学の授業中。俺から見たらめちゃくちゃ簡単な計算問題でも、斜め前の席のエルは頭を抱えて悩んでいる。
あっ、こいつ、バカか。
あれだな、運動バカってやつ。訓練の様子をみてるとそうとしか思えん。
まぁ、俺もスポーツテストの成績は毎回学校一だったから似たようなもんだな。
そんなことより、さっきから嫌な感じがする。なんなんだ、この気配。気のせいであってほしいが、五感が俺に直接危険を伝えている。
だんだん寒気がしてきた。このままじゃまともに授業が受けられそうにない。
「す、すみません。俺、ちょっと気分悪いので保健室で休んできます」
「えっ、大丈夫?ゆっくり休んでね」
優しい担任のアメノウズメ先生で助かった。
俺は全感覚を研ぎ澄まし、嫌な感じがする方向へ足を運んだ。
ここは……大広間。あのでかいシャンデリアがある場所だ。
ちょうどシャンデリアの真下に、妖しく黒光りする玉が浮いていた。
あの嫌な感じがそれらしい。
俺は好奇心で、その玉に近づき、触れてしまった。
その瞬間、玉が輝きを増し、俺の右手に取り込まれてしまった。