新しい友人
「俺らきょうは金ねーんだよォ。ちょっと後輩は金出せよオラァ」
俺の今の状況を説明しよう。
学校に行こうと思ったらカツアゲされそうになった。
ちなみにエルのやつは用事があるとか言って先に行った。
こういう時は体温を上げてダウンさせるのが俺のいつものやり方だ。
こいつらだって例外じゃない。いつもの俺の体温上げをお見舞いしてやった。
そしたらあらびっくり。不良の体か燃えてしまっているではないか。
「な、なんだこれ、熱い!クソォ!生意気なやつめ!」
朱色の炎が相手の体にまとわりついて離れない。俺はただ体温を上げようとしただけなんだが。
さっきから風を起こして炎を消そうとしているようだが、炎はだんだん増していく。
うわ、俺こんなに強くなってんの?でも、これはこれで色々めんどくさそうだ。
「お、覚えてろよ〜」
情けない捨て台詞を残し、噴水まで走っていった。
もう体温上げは止めたのに、まだ熱いのか?
いかんいかん、遅刻する。俺は走って学校に行った。
俺は昔から、この謎の赤い髪が嫌いだった。まぁ、周りが黒髪か茶髪しかいないからかなり目立つしな。
とにかく、俺はこの若干女っぽい顔より、赤髪と赤い目がとても嫌だった。
そして今、先生が入ってくるのを待っている間に、俺に絡んできたのは、
水色の髪の男だ。
「へー、朱音って言うの?女みてーな名前だな」
このイケメンが、あのヤマタノオロチを倒したスサノオノミコトの後継者(自称)、北海大洋。
「女みたいで悪かったな」
「いや、いい名前なんじゃね?」
初対面からかなり馴れ馴れしいイケメンだが、話しやすくて良い奴だと思う。雰囲気が。
「朱音様……やっと会えた……」
そう言って俺に飛びついてきたのは、赤紫色の髪をポニーテールにしたクール美少女だ。
えっ?俺は初対面なんだけど?とは言えるはずもなく。
「えっと……君は?」
「あ、あの時はお互い名乗りませんでしたものね。私は十五夜月華、夜の神ツクヨミの後継者です」
俺は全然しらんけど、ツクヨミの後継者ってことはすごいやつなんじゃないか?
「へぇー、ツクヨミの後継者ってことは、僕の姉になるわけかな?」
そう言って馴れ馴れしく話しかけたのは大洋。
「うるさいです。話しかけないでください」
「辛辣ゥ!」
どうやら俺以外にはツン100%でいくらしい。
そんな感じでうるさい俺の周りを顔を膨らませて見ているのがエル。なんだこいつ。可愛いな。
「ちょっと、オレを無視しないでくれるかな?」
お、可愛く怒ってる。っていうか、こいつは男子のブレザーを着ているから男子なのか?でもなぁ、男子だと認めたくない!
「お、ごめんごめん。僕は大洋。君は?」
「オレはただの死神の後継者さ。朱音はエルって呼んでるけどね」
「じゃあエル、宜しくな」
こいつはコミュ力の塊なのか?
「よろしく。朱音様に手を出したら許しませんよ。朱音様は私の恩人なんですから」
身に覚えがないんだが。
「まあ手を出すことは無いよ。相部屋だけどね」
なんでこいつは挑発するんだ?
「じゃあ部屋を分けてもらうように校長先生に言いに行ってきます」
行ってしまった。もうチャイム鳴るのに。
「おいエル、お前のせいで月華が行っちまったが」
「なんのこと?知らないよ」
とぼけた。
「月華ちゃんはツンデレさんなんだね」
「俺にはデレデレさんだがな」
と、3人で談笑しているとチャイムが鳴った。エルと大洋は走って自分の席に着いた。
ちなみに、このクラス、1年C組の担任は、芸能の神、アメノウズメ先生だった。