エルの作戦
俺たち4人は、無事に鎖を伝って校舎から降りることが出来た。
あいつらは多分ほぼ全滅だろうな。
それはともかく、残り時間もわずか。逃げ切れば勝利だ。
だが、銃はない。もう油断は出来ない。少なくとも、大将だけは絶対に生き残らないと。
残り時間は5分。あと5分逃げ切れば勝利。だが、この逃避中はそんなに甘くない。
突然、鬼が死角から現れた。
普通なら一瞬で捕まるが、やはりあいつらは反応が速い。
即座に向きを変え、走って逃げた。
しかし、相手は魔法が使える。反応の速さで逃げ切れるわけがない。
もうダメかと思った、その瞬間―。
分岐する道に来た。
俺達は、1秒にも満たない間、目配せをした。
そして、俺、エル、大洋の3人と、月華に分かれた。
きっと2人で1人の大将を守っているだろう。
そう、鬼は思ったのか、俺達3人の方を追ってきた。
もちろん、俺達は呆気なく捕まった。
「あれ、大将を捕まえたはずなのに……どうしてゲームが終わらないの?」
鬼が呆然と立ち尽くしている。
「難しい話じゃないですよ。さっき1人で囮になろうとしたやつが、大将だったってだけです。」
そう、始まってすぐ、エルが提唱したこの作戦。
「や、やられた……」
そう言って鬼は膝をついた。
そこで、試合終了を告げるホイッスルが鳴った。
逃避中、逃避成功チーム、大将、十五夜月華。
俺達は、逃避成功ということで、学食1食無料券を貰った。
ちなみに、最後の鬼はアメノウズメ先生だったらしい。