ルールの隙
「ちょ、あっちに鬼がいるんだけど!」
誰かが叫んだ。集まっていた生徒が散り散りになって、そしてまとまって下に降りようとした。
しかし、一気に20数人がひとつのドアから下に行こうとしたので、詰まってしまっている。
「やばいね、先生、魔法で壁を登ってくるつもりだよ。オレたちはどうする、朱音」
このままここにいても捕まる。しかし、降りようとしても降りられない。
やはりここは、あの銃を使うしかないのだろうか。
「ちょ、今度は向こうに別の鬼が!大変です!挟まれました!!」
なん・・・だと?
本当だ。西と東、両側の壁から登ってくるつもりだ。
「どっちかは銃で動きを止めるとして、もう片方はどうする?放っておいたら僕達がやられるよ」
おい、エキドナ。ここでいい案は出ないのか?
『うーん、どこかルールの隙をつければいいんだけど』
ルールの隙……。あ、もしかして。
「なあ、エル。お前今、死神の鎌持ってねーか?」
「あ、持ってる!コンパクトサイズに収納して」
よし。ナイスだ。
「それうまいこと使って下まで降りられねーかな?」
「いけるよ!これ、遠距離に対応できるように柄に鎖が付いてるんだ。これを使えばオレたち4人降りるのなんて楽勝だよ」
「よし、じゃあ、西の鬼は銃で停止させて、西側の壁を伝って降りよう」
「なるほど、武器の使用は禁止されていませんからね。朱音様はすごいことを思いつきますね」
「僕も驚いた。なんか、ルールの隙をついてるよな」
まあ、ある人のおかげなんだけどな。