第7話 繰り返されるは罪と罰〜sideレイジナ〜
今日の仕事も魔人の討伐だった。魔人かどうかの確認と実践練習を兼ねて、【見破り】の魔導を発動した。
シュージという名前が頭の中に浮かんできた。こちらの世界でもいる名前なので、なんら不思議ではない。だけど、シュウ君のような気がして思わず聞いた。
「君が魔族か?」
目を閉じているので細かい情報を手に入れる事ができないが、酷く衰弱しているのはわかる。
「声が出せない程衰弱しているのか。ん?」
なんだろう。何処かで会った事があるような気がする。本人なのだろうか?聞いてみよう。
「一応聞くがお前の名前はシュージか?」
コクリと頷いたのを見て、【治癒】を発動させる。治した感じからするとあと1時間遅ければ死んでいた。大量出血に餓死寸前であった事がどんな扱いを受けたのかを物語った。
魔導を完了した魔力が散り去ると、シュージは初めて目を開いた。やはり、情報はある程度しか手に入らない。ようやく手に入った情報を繋ぎ合わせる。『白石秀司』である証拠にはならないが、私と歳が同じ事と日本人で転移して来た事は分かった。
日本人で、同い年。『しゅうじ』という名前に(男にしては)長髪。どうしても、しゅう君と重ねてしまう。
してはいけない事なのに
一番してはいけないのに
『彼に重ねて』
しまっている。
嗚呼、神さま
もし私に罪を償えと
いっているのなら
こんな方法になど
しないでください。
死を見るたびに熱い涙を流す方が
胸に開いた冷たい穴の方が
八熱地獄の業火に焼かれるより
八寒地獄の寒さに震えるより
よっぽど堪え難いのです。
だからどうか
彼が死ぬところを見せないで。
私は何度でも償いますから
『彼』も、『彼に似た誰か』も
殺さないでください
私が身代わりになりますから
今だけ『彼』の代わりだとしても
見逃してください。
今だけ彼の側に居させてください。
今だけでも許してください。
罰は受けますから。
どうかどうか
身代わりだとしても
手放したくないと思う
愚かな私を
見逃してください。
ここが孤地獄なら
どれ程まで
良かったでしょう。
ただ1人の
囚人の為に作られた
地獄の処刑場なら
ただの幻だと
気にすることも
なかったのに。
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