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第8話「料理はじめました」

お願いは料理でした。

 台所に移動して手を洗い借りたエプロンを装備。麻美さんもエプロンを着けて優基の横にいる。早い話、料理を教えて欲しいとの事だった。因みに麻美さんの両親は共に美容師で、休日は余程の事が無い限り出勤しているとか。

「ひとまず無難に炒飯と味噌汁位にしましょうか」

 現状である食材かつ比較的簡単な物を作る事にする。麻美さんの料理経験は殆ど家庭科の授業程度との事なので、余り複雑な工程は無い物だ。

食材の使用許可は取ったので冷蔵庫から玉葱、ハム、じゃがいも、油揚げ、長葱を取り出す。

「玉葱は半分に切って皮を剥いて片方はみじん切り、もう片方はくし切りにします。ハムは1×3cm位に切って下さい。3枚あれば足りると思います」

「は、はい。頑張ります」

「じゃがいもは皮を剥いて5mm厚程の銀杏切りに。もう少し厚くても大丈夫ですけど、火の通りが悪くなるので時間が掛かります」

 麻美さんに指示を出している内に油揚げを取り出し、小さめのボールに入れて油抜きをしておく。そして長葱を10cm程切り、それを2mm程の輪切りにして半分はそのまま味噌汁用に、残りは炒飯に入れる用にみじん切りにする。

「優ちゃんやっぱり手慣れてるね。いつから料理してるの?」

「えっと手伝いレベルなら幼稚園の頃からですね。6歳の誕生日の時に包丁買って貰った覚えがありますし」

「そんなに前から!?」

「色んな人に驚かれますけど、包丁は扱いさえ間違えなければ危険は無いですよ」

 その為優基は基本的な切り方は分かるし、レシピさえあれば初めて作る料理でも殆ど作れる。強いて言えば魚を捌くのは苦手だが、一人暮らしだと手間の方が多くなってしまうので捌いてある物を買っているだけで、一応3枚卸も出来る。

「姉失格かも……」

「でも見る限り手際は良いですよ? 経験が無いだけだと思うので、数をこなせば問題無いと思います」

 実際切り方の質問は無かったし、今の作業も間違ってない。包丁の持ち方も正しいし、切るペースは遅いけど、それは慣れてくれば自然と速くなる。

「だと良いけど……と切り終わったよ」

「はい、大丈夫そうですね。では先に味噌汁から作りましょうか」

 麻美さんに片手鍋と、普段味噌汁を入れているお椀を持ってきて貰う。その間に味噌を確認。……普段優基が使っているのと同じタイプだ。これなら楽だ。

「優ちゃん、持って来たよ~」

「有難うございます。う~ん、このサイズお椀なら3人分だと水は600ml位ですね。じゃがいもとくし切りにした玉葱を入れて火にかけて下さい」

 麻美さんは鍋に水と具材を入れて火にかける。

「そういえば出汁は良いの?」

 ここで予想通りの質問が麻美さんから出た。……出汁の必要性に気付くのだから料理はすぐに上達しそうだ。

「鰹節や昆布、煮干しとか使って取るのが一般的ですが、味噌が出汁入りですからね」

「へぇ~そんなのあるんだ」

「共働きだったり一人暮らしが多くなってますから結構需要はあるみたいです。私も普段このタイプの味噌を使ってますから」

 はっきり言って少人数(特に一人)だと出汁から作ると手間が多くなって非効率というのもある。大量に作る方が楽なのだ。

「じゃがいもに火が通ったら味噌を入れますが……すみません、スプーンと小皿を持ってきてもらえますか? 小皿は刺身の醤油皿程度で構いません」

「分かった。ちょっと待ってて」

 麻美さんに物を持ってきてもらう間に火の通りを確認。……うん、じゃがいもの状態からして火は通ったみたいだ。

「持ってきたよ」

「有難うございます。ここで味噌を入れます。1人分当たり大さじ1杯程度が目安ですが、味噌の種類や具材、味の好みで量を調節します。少し少なめに入れて、味を見ながら調節します」

 麻美さんからスプーンを受け取って必要量の半分程味噌を掬いお玉に入れて溶かし始める。

「味噌は直接鍋には入れず、このようにお玉に入れて溶かすと良いですよ。やってみて下さい」

 そう言って先程とは気持ち少なめに味噌を入れたお玉を麻美さんに手渡す。一度やり方を見せたので不安も無い。

「そうです。では一度味を見ましょう」

 少量お玉で掬って小皿に入れて味を確認する。

「お……私個人的の感覚ではもう少し味噌を足すと良いと思いますが……この辺は味の好みにもよりますし、何より普段食べている麻美お姉ちゃんが判断して下さい」

「……私が?」

「勿論私が調節しても良いですが、家毎に味は微妙に違います。今後も作りたいなら少しでも経験を積んだ方が良いですよ」

 まぁ使っている味噌が同じなので味に大差は無いだろうけど、それでも味の濃さの差はあったりする。もう一度掬って麻美さんに小皿を手渡す。……あ、今気付いたけどこれ間接キスになるかも。

「う~ん、ちょっと薄いかな?」

「薄いと感じたのなら少し味噌を足して下さいね」

「……えっと、足す量はどの位?」

 不安げに麻美さんがたずねる。まぁそうなるよね。

「う~ん、私の感覚では後小さじ1杯程度でしょうか?」

「小さじ1杯……」

「この辺の匙加減は経験を積まないと無理ですね。不安なら少しずつ足しながら味を見て下さい。その時は良く混ぜないと濃さに差が出てしまうので注意して下さいね」

 混ぜるのが不十分だと薄いと思って足したら実はもう充分でした――なんて事もある。何より経験あるのみだ。

「では油抜きをしていた油揚げを1cm幅程で切って入れて下さい。最後に長葱を入れて少し混ぜたら完成ですね」

 多少手間取ったけど、どうにか味噌汁は無事完成となりそうだ。


 因みに作中にもあるように味付けとかは各好みによるのであくまでも参考で。切り方とかおかしな描写があったら教えて頂けると有り難いです。私個人の料理の腕は、レシピがあればそこそこ作れますが、頻繁には作らない程度なので。ここは実家暮らしの強みですね。最近は週1~2度程料理をすることになってます。昼にピーマンの肉詰めを作りました。

 次回は28日更新です。恐らく10話まで更新の後、「Only One」の再開となる見込みです。

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