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第7話「姉妹関係、始めました」

「所で今日はどうしたの?何か用があるみたいだったけど」

 洗面所で手洗いを済ませ、先に麻美さんの部屋にいく。部屋には前回は無かったミニテーブルとクッションが用意されていた。麻美さんはお茶とお菓子を用意してきたようだ。

「金曜日の事を改めてお礼に。それと貸していただいた服を返しに来ました」

 そう言ってカバンから服を取り出す。

「気にしなくても良かったのに。そう言えば体調は大丈夫だった? 風邪とかは平気だった?」

「あ、それは大丈夫でした。昨日も問題なく過ごしてましたよ」

「なら良かった。後は服だったね。持ってきたから優ちゃんの荷物が多いかったのかな?そう言えば金曜日は言って無かったかもしれないけど、あの服は優ちゃんにあげるつもりで出したんだよ?」

「……え?」

 (一応優とは)初対面なのに、服をあげようとしていたのか? 生地の感じからして安物でも無いはずだけど。

「だってもう私には小さくて着られないのよ?お気に入りだったから残していたけど、着られる人がいるなら使って欲しいからね」

「そうでしたか……」

「うん。だから優ちゃんは服の事気にしないでいいからね」

「分かりました。では大切に使いますね」

 麻美さんの私服をゲット!……勿論女物だけど。

「所で優ちゃん。口調はもう少し変えられないかな?」

「口調……ですか?」

「そう。勿論本当は他人だし私が年上だから普通なら優ちゃんの口調で正しいんだけど、姉妹ならもっと砕けた――それこそ友達みたいに話して欲しいなぁ~って」

 まぁそうじゃないかと思いました。でもこれまで殆ど女子との交流が無かった身としては非常に正直ハードルが高いんですが。

「ええと……正直困惑の方が強いのですが、なるべく頑張ってみます……えっと、麻美お姉ちゃん、これからどうします?」

 ちょっと上目遣いで(身長差で自然となっている面もある)尋ねてみる。

「優ちゃん可愛い……ってトリップしている場合じゃないわね。特にこれといって何かしたいとは無いんだけど……あ、さっき服を出すときに横に置いた箱は何?」

「あ、忘れてました。お礼にドーナツ作って来たんです」

 そう言って麻美さんに箱を手渡す。

「気にしなくて良かったのに~。あ、美味しそう」

 箱を開けて中身を見て麻美さんが一言。取りあえず苦手な物では無いようだ。

「久々なのでちょっと不安でしたけど、作ってから食べてみたので味は大丈夫だとは思いますが……」

「うん。……味も問題無いよ……って作った?」

 麻美さんは一口食べてから尋ねてきた。

「あ、はい。時間も無かったので簡単な物しか作れませんでしたけど」

「ドーナツって作れるの!?」

「ホットケーキミックスがあればそこまで難しくは無いですよ。材料を混ぜて揚げるだけですから」

「もしかして他にも料理出来るの?」

「昔から母親の料理を手伝っていましたし、レシピがあれば大抵は作れますよ。まぁ必要に迫られて覚えたところもありますけど」

「必要に迫られてって?」

「実は……」

 麻美さんに現状実質一人暮らしであることを説明する事にした。

「えっと、優ちゃんは料理だけじゃなくて掃除や洗濯もしていると」

「そうですよ?」

 さすがに毎日しっかり……とは言えないが、しないとあっという間に家の中が大変な事になってしまうので。

「優ちゃん小学生なのに私よりしっかりしているわ……」

 本当は同級生ですけどね。まあそれでも高校生で自立している人は殆どいないだろうしかなりレアだとは思うが。

「必要最低限程度しか両親は振り込まないので、毎回外食したり総菜買っていたら家計が持ちませんから。一人なのであんまり手間が掛かる物は作りませんけどね。簡単な物ならある程度作れます」

 どうせ食べるのは自分だけ――というのもあるが、食材の都合によるのが大きい。日持ちのする物(調味料や乾物)を除き、汎用性の無い食材は一人暮らしでは使い切れないのだ。

「結構スパルタだとは思うけどしっかりしているわね。……ねぇ優ちゃん、ちょっとお願いしても良いかしら?」

 麻美さんからのお願いの内容を聞いて優基は引き受ける事にした。

次回は21日の更新です。

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