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第2話「勘違いされている」

 岡田優基高校1年生。男ではあるが、きれいに整った小顔で初見ではまず女に間違われる。身長は今年になってようやく151cmと、150cmの大台に乗ったところ。同年齢女子の平均身長よりも小さい上に女顔。普段は意識して低い声を出しているが、地声は女で通用してしまう中性的な声である。名前もやや中性的なのもだめ押し状態。故に私服だと女子中学生、下手すると女子小学生に間違われる。

 普段もせいぜい挨拶をする程度でそれ程接点がある訳ではないが、クラスメイトである斉藤麻美も優基の事を女の子だと勘違いしている上に、優基だとは気付いていないようだ。いきなり話しかけられたので、優基は地声でリアクションを起こしてしまったのも大きい。

「あの、いえ、大丈夫ですから……」

「このままだと風邪引くから。さっきの様子からしてまだ家まで距離あるでしょ?ほら、行くわよ」

「え、あの、ちょっと!」

 抗議しようにも麻美に手を握られて引きずるようにして歩いていく優基。

「ここよ。近いでしょ?」

 歩き始めて1分経っただろうか、この近辺ではありふれた2階建ての一軒家だった。

「ほらほら、早く」

「あの、ちょっと!」

 結局男だと言えないまま、麻美によって強引に家に連れ込まれた。そして玄関で買い物した物を「生物もあるね?一旦預かるから」と奪われてしまったので、大人しく玄関で待つ事にする。もうこうなったらタオルで身体を拭いて雨が止むのを待つか、傘を貸して貰おう。

 幸い麻美はすぐタオルを持ってきてくれたので大人しく身体を拭く事にする。あらかた身体を拭き終わったタイミングで麻美が戻ってきた。

「大体拭けたね。私の昔ので悪いけど着替え持ってきたよ。シャワーも浴びる?」

「あ、いえ着替えだけで十分です」

「そう? まぁ入って。着替えはしたいでしょ?」

「……ではお言葉に甘えます」

 麻美に続いて中に入っていき、そのまま廊下を進んでいく。

「じゃあ脱衣所はここだから。はい、これ着替えね」

「すみません。お借りします」

 学校のアイドルから服を借りるとか、もし他の男子にバレたら大変なことになりそうだ。

「そんなに堅くならなくていいから。私は2階の部屋にいるから、何かあったら来ていいからね」

 そう言って麻美は脱衣所から出ていった。年頃の女の子がいるお陰か脱衣所は鍵が掛けられるようになっているので、有り難く利用する。優基の事を女の子だと勘違いしている以上、急に入ってきて男だとバレるのも拙いし。ひとまず軽く拭いたとはいえ完全に雨を吸ったトレーナーとズボンを脱いで身体を拭いていく。下着の方は――ギリギリセーフ。

「さて、着替えはこれか……」

 そういえば麻美さんは何を持ってきたのだろうか。突然連れ込まれた衝撃が大きくて確認してなかった。上は色こそパステルピンクだったがトレーナー。そして下は青の――うん、スカートですね。この形状は確かプリーツスカートだったか。そういえば女の子だと思われてましたね。

「さてどうするか」

 勿論男である以上スカートに抵抗がある。とは言え雨で濡れているズボンをもう一度穿くのも抵抗がある。少し迷って優基はスカートを穿く事にした。濡れたズボンを穿くより今はとりあえずスカートを穿いて、麻美さんに別の物を出して貰おうと考えたからだ。勿論スカート姿には抵抗があるが、そのまま外に出る訳でも無いので我慢する。ふと鏡に映る自分を見ると胸こそ無いものの、可愛らしい少女の姿があった。……勿論今の自分の姿だけど。

「ひとまず他のを出して貰おう」

 足元が非常に心許ないが、麻美さんの部屋に行くことにした。でもこれが後戻り出来ない事態を生み出す事になる。

1回「Only One」の更新(7日)を挟みまして、次回は10日更新です。

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