第四章 悪鬼邂逅 13
十三
翌週の、日曜日。
相変わらず、京都の空は雨模様だった。
榎は居間で畳に横たわり、椿は窓際に頬杖を突いて、仄暗い空を、憂鬱そうに眺めていた。
「まーだ、梅雨は明けないのねぇ。全然、いいお天気にならないわぁ」
「あーもう、退屈で気が狂いそうだぁ」
「こら、まぁた二人してゴロゴロしとるんかいな。ちょっとは家の中でも、しゃんとしとらな。ほんまに悪鬼の仲間にされてしまうで!」
だらけた若者に大人の叱咤が飛ぶ。木蓮はめげずに、何度も榎たちに注意を促してきた。
だが、同じ脅し文句をいつまでも甘んじて受けている二人ではない。顔を見合わせて、にんまりと笑いあった。
「平気だもん。悪鬼の仲間になんて、ならないもん。ねー、えのちゃん」
「悪鬼がきたって、やっつけてやりますから、問題なしですよ!」
「二人とも、急にえらい、強気やなぁ?」
以前とは違う迫力ある返答を受けて、木蓮は唖然とした顔で二人を交互に見つめていた。
狐に摘まれた顔をして、居間を去っていった木蓮を見届けてから、榎は口を開いた。
「妖怪や悪鬼とか、あたしたちにはまだ良く分からないものが、京都には沢山いる。麿もまだ、あたしたちに話していない秘密を沢山持っているのかもしれない。でも、今は無理に知らなくてもいいのかもね」
「えのちゃんは、不満に思わないの? 情報を出し惜しみされて」
椿は、月麿の態度が気に入らない様子だった。榎だってすべてに納得しているわけではないが、月麿は、榎たちには理解できないほどの重荷を背負っているのかもしれないと考え始めていた。
今の榎たちの実力では、まだ肩も貸せない段階なのだろうと自覚もしていた。
「嫌だけれど、麿にもきっと事情があるんだ。仲間が全員揃えば、きっと全部、教えてくれるよ。とにかくもっと強くなって、残りの四季姫を探そう」
榎が意気込むと、椿も頷いた。
「えのちゃんの言う通りね。仲間が増えれば、多勢に無勢だものね。麿ちゃんを脅して吐かせるくらい、わけないわよね」
椿の発想は、榎の考えとは少し違うが。榎は苦笑いを浮かべつつ、拳を握る椿を見ていた。




