「歯磨きの噺」
皆さま、ちゃんと歯は磨いてますか? 今回はそんな歯磨きの話です。(短いですが)
「歯磨きの噺」
例にもよって茶色いよれよれのコートを着た彼女は盛大に頭頂にあるアホ毛と長い黒髪をなびかせ、後ろに乗っている僕はその髪の流れに巻き込まれんと顔を横にずらしている。僕らを乗せたバイク(サイドカー付き)はオレンジ色に染まった空の下、平原の道を走っていた。そのまましばらく走っていると、小川のような物がある河原を見つけたので今夜はそこで野宿することにした。
そして夕食を済ませたあと、僕はリュックから歯磨き用のブラシとコップを取り出す。
「ねぇ、そういえばカトレアは歯を磨かないの?」
「え?」と薪で温まっていたカトレアは頭を上げた。
「う~ん。旅に出てから磨いたのは……ちょっとしかないや」
「うそでしょ?」僕は信じられないようにハハ、と笑う。
「でも、虫歯できないしさぁ、面倒だし、やんないんだよね」
「じゃあほら、予備貸してあげるから。歯磨きしなよ」と、リュックの中からもう一本ブラシを取り出して手渡した。
「うー。めんどい」
カトレアはしぶしぶブラシを受け取った。心なしかトレードマークのアホ毛も萎えているように見えた。
「ほら、磨こう」
僕はカトレアを連れて小川のほとりに立ち、歯を磨き始める。それにならうようにカトレアも磨き始める。
シャカシャカシャカ……
「うっ、痛っ!」
カトレアが頬に手を添える。
「ん、どした?」
僕がカトレアの口の中を覗き込むと奥歯の一部が黒くなっていた。
「あっ、虫歯」
「え、うそ……」
「じゃあ、次のポリスに歯医者があったらそこに行かないとな」
そのあと、次に寄ったポリスにあった歯医者に無理やり連れて行ったのは言うまでもない。
これのジャンル、ファンタジーにしたのですが、あってるでしょうか? もし、間違っていたりしたらコメントお願いします。