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世にも不思議な劇団参上!(ニールの過去編その3)

遅くなりました。いろいろ家庭の事情等で投稿が遅くなりました。この一ヶ月はしばらく忙しいので投稿も遅れることになりそうです。…(´Д`;)ヾ ドウモスミマセン。

 『ふう、やれやれ間に合ったよ。人気の勇者・英雄クラスの似顔絵はすぐ売り切れるからなぁ~。あと画材の補給もしなきゃいけない。…はぁ~まったく、ゆっくり絵も描けない…。』と思いながらも、結局、先程まで好きに風景画を描いていた男がいる。隣じゃ「魔女」がブツブツ独り言をつぶやきながら「人形」を手にしてチェックを入れている。男が「魔女」に「クーン、そっちは済んだのかい?」と声をかけると、「あぁ、なんとかほつれも見当たらない、いつでも出せるな。お前こそ、どうなんだ?ウォルター。」とぶっきら棒に返事を返してきた。…相変わらず、無愛想な人だ。男の方は「僕かい?僕は何時もの如くすぐに終わったよ。新作じゃなければ、複写するだけだから『造形師クリエイター』の職業ジョブ技能スキルで一発作成で済むからね。」…相変わらず、ゆるいな、間が抜けているというべきなのか?こっちまで気が抜けてしまうのはあの人の人徳なのかもしれない?少し緊張気味な部分があったニールはそのやりとりで落ち着きを取り戻して、自らの準備を整えた後、再び馬車の外を眺めていた。

  

 『でも、あの人なんだよなぁ~。今の僕があるのは、あの人のおかげなのは確かなんだよな…。』後ろを向くと、まだ二人して実のない話を駄弁だべりながら気を抜いていた。…『もう一年になるけれど、本当にあんなんでいいなんて…。真面目でいるのが馬鹿らしく思うな。』いい意味で真面目、悪くて堅苦しい性格だった僕にとって、あの人は規格外でありえない存在だった。おかげで僕も、人にとっては扱い易い性格を矯正することが出来て、利用される事のない自分を手に入れた。…「ウォルター・V・ライヴァールド」僕がこの劇団で初めて言葉を交わした人で、僕の人生に変革を与えてくれた人。少しいや、かなり変わった絵描きでおっちょこちょいな男性。そして性格はどことなく憎めない人。


 (回想) 『あの時は、全てがつまんなかった毎日だったな。だから暇つぶしのために此処に覗きに来たのが始まりだった。そして、僕はあの人に会ったんだ。このちょっと不思議で変わった絵描きに…。』  

 …あれから五日後の5月18日、あの劇団が来国してから初めての「神の休息」 いわゆる休日が明日やってくる。明日は多くの人だかりになるだろう。僕は目立つのも嫌だけど、ギュウギュウの人混みも好きではないので、休前日の今日、学校帰りに冷やかし気分でやって来た。…まだ、準備中だった。…早く来すぎたようだ。自分でも気づかない位に楽しみにしていたみたいだ。(…この頃の僕は、どこか第三者的な物の見方をしていて、どこか冷めた心持ちなヤツだった。)これは自分でも驚く様な珍事といっていいものだ。(…まったく、この頃の僕ときたらこんな調子で、まるで人形みたいだな。)何もする事もないので、広場の周りをぐるりと散歩がてらにぷらぷら歩いていたら、木陰で絵描きがカンバスを立てて絵を書いていて、周りに小さな子ども達がそれを眺めているようだ。


『あれは、確か劇団の中の一人のひとだったな。絵描きなのか…。僕もちょっと覗かせて貰おうかな。』

  

 絵描きの背後に回って、邪魔しないようにそっと近づいてみると…。振り向きもせずに絵描きが、


「フッ、そんなに気を使わなくてもいいよ。これは只のデッサンだからね。趣味の範囲だよ、商売ものとは違うから…。」


と話しかけてきた。僕はおもわずビックリして後ろに一歩さがったら、足を取られて尻餅をついてしまった。 


 「ウワッ!!!」「ドスン。」「イッツッテェ~ェ。」尻を擦り、ゆっくり立ち上がった僕に、


 「ハハッ、どうやらおどかせてしまったようだね。いやっすまないすまない!(笑)」と絵描きは、後ろを向いて軽く頭を下げた。

 

 「おや?あなたは確か入国日に大通りで僕達のパレードを見ていましたね。今日は御見物ですかな?」


なんとも暢気な口調で話しかけてきてくれた。


「えっ!まさか、あの人集ひとだかりで僕を見つけたなんて冗談でしょう?彼処あそこには大勢の人数がいたので、僕もその一人だと当てずっぽうに言ったんでしょう?」


 なかば、営業用のお世辞せいじなんだろうと、こちらも愛想良く冗談交じりな口調で返したら。


 「いえいえ、ちゃんと覚えていますよ。あれは、大通りから中央広場へ入る道の境目、大通り寄りの東側の雑貨問屋の前で、最奥の方から紙袋を抱えたままで私達を遠目で眺めていましたね。」と切り返され、


 はっきりと僕だとわかっているようだった。いかにも当然のような事だとでもいっているかのように平然と返事したことに改めて驚かされた。


 「…本当にあの人集ひとだかりで、僕を認識出来たんですか…。」それ以外何も言えなかった…。


 『何この人、スペック高すぎ!一体どんな視野を持ってれば、そんな真似できるのだろう?』


 『…できないことはないんだが、不特定多数の人間から一定の波長の人物を絞り込むようなスキルは存在する。しかし、不特定多数の人間から、元々記憶にもない人物を特定するような事は、すべての記録から情報を一から調べ上げるようなもので、今まで見聞きしてきた全ての記憶を忘れていない事とトテツモナイ広大な視野を持ち続ける必要性がある。こんなのスキルはおろかタレントでも聞いたことはない。ユニークなんだろうか?…』


『…ていうか、なんで見知らぬ赤の他人の僕の事を認識しているんだろうか?…』


 頭の中に【?】が無数に湧き出て、何が何だかよく分かない状況に陥った。


 「ははぁ~。どうやら、何故?君のことを認識しているのかわからないんだろう?…簡単なことさ、僕は絵描き。常にモチーフを探し続けるのは職業病、初めての町に入ったときは頭の中で街の風景をデッサンしてるのさ。その中で絵のポイントになるものの一つに君が当てはまっていたんだよ。」


と笑顔で疑問に答えてくれた。


「絵のポイント?僕が?何故です?」さらに【?】が増えて聞き返した。


「絵というものはねぇ、全体を漠然とかけばいいんじゃないんだ。たとえ、風景画でもいくつかのポイントが必要なんだよ。ポイントってのは引き締めるためのもので、気になるもの印象的なもののことさ。君がポイントになったのは、君のいたところには大人ばかり集まっていて子供は君一人ぐらいしかいなかったからだよ。その様子に違和感はなかったけれど、印象深いものはあったんだ。」と丁寧に説明してくれた。


 僕は『印象的ねぇ…。』とまだイマイチ納得できなかったけれど、絵描きの常識はそういうものなんだと強引に理解することにして、この絵描きに興味がでてきたので、開演の前まで他の子供達と一緒にに絵描きのデッサンを眺めることにした。もう少し話ができるかもと思いながら…。(続)


なんか、長い前フリみたいですみません。もう少し我慢してください過去と現在をリンクさせることなんで、時間がかかってしまうんです。

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