世にも不思議な劇団参上!(ニールの過去編その1)裏
やっと、主人公と仲間達が登場し始めました。裏です。こちらがシリアスなアクションパートになっていく予定です。最強チートな戦いはこれから少しかかるので、しばらくお待ちください。
『また何か、ニールの奴が、ボケっとしてやがるな。まぁ、次のブルバームでは少しはゆっくりできるはずだからしかたがないか。』『あっちもあっちで、相変わらず絵かきですか。…よくもまぁ飽きないですねぇ。ある意味で感心しますよ。』『こっちの兄妹は何時もの如く無言の男と多弁な女の構図で妹が時折相槌を打つ兄に話しかけ、結局のところ一人で自己完結で話を終わらせる。…ふむ、普段通りだね。』と独り思う。
『全く、団長の私が一番気を抜きたいのに、何故に周りに気を使わなけらばいけないのだ?というか、いくら大型連結馬車でも荷物が充満しているんだ。この人数では、意外と狭いんだよ!場所をとりすぎるなぁ!』と心の内でぼやきながら、「おぉ~いバスカー!!そろそろかぁ~。」と御者席に居る操獣師に声をかけた。「あぁ、もう少しで町の外門が見えるはずだ。後ろの奴らにも伝えてくれ!」とみょ~に老成した若い男が手綱を引きながら答えた。私は喇叭の形をした「伝道管」を手にして「そろそろ到着だ、起きているか?準備しろよ?」と話しかけた。後部の車両に繋がっている金属管に声が通り、「アイヨ~みんな起きてるアルネ!準備は万端、後は御覧ジロです!」と変な口調の女の声が別の「伝道管」から聞こえた。『フゥ~やれやれ、またかリーファン。日も登らない早朝から健康のためだといって、変な体操を寝ている奴らに無理やりやらすなよ。』とまたぼやくはめになったなと少し落ち込みながらも、町の人々に対してお披露目の準備を他の団員に促す。
「ほらほら、お前たちもそろそろ周りを片付けて準備しろよ。外門を潜れば、すぐに客引きの行進をするんだからな。」と小さいながらもすごく通る声で後にたむろっている。団員達を叱咤した。「・・・了解。」「┐(´∀`)┌ハイハイ」「…めんどくさい寝てていい?」「あと少しでいい感じに仕上がったのに・・・。」「わかりました。」「お前らなぁ~。ちょっとはニールを見習えよ。例え口先だけの返事だとしても、ちょっとはさぁ敬ってくれよ!俺団長なんだよ?てかさぁ~。寝るなよクーン!お前の人形はいい客引きになるんだから。」さっきから独りでブツブツと独り言をつぶやきながら、分厚い本を読みふけっている全身薄灰色のローブをまとったいかにも魔女って女に話しかけた。「…チィ!わかったわよ。」ブツブツ独り言をつぶやきながら女は自らのトランクを開け中から幾つもの人形を取り出していった。
「ふむ、クーンが準備をし始めたか。こちらも準備だな。」先程から絵を書いていた長髪丸眼鏡の男が手元の鞄から営業用の有名人の似顔絵を用意しだした。「みんな大変だねぇ~。その点ぼくとアニィは着替えるだけだし、楽なもんだよ。」先程から無言の男と独りで喋っていた女が衣装へと着替えていった。そんなとろろで、「あのぅ団長。」とニールが一言。「うん?」振り向くと「すみませんが口先だけじゃないです。僕にとって【仕事】は生きること。何時でも真剣です。」と先ほどの失言を正した。「悪い悪いただの冗談だよ!お前が【仕事】に対しては人並み以上の拘りがあることは解っているから。周りの忠告に利用させてもらっただけだから気にするな。」と苦笑しながら謝った。「まぁ、解っていたんですけどね。拘りというか、譲れない部分だったんで、ついムキになってしまいました。」とこちらも苦笑していた。
『そうか、もうあれから1年を過ぎようとしているんだな。・・・あの少年と出会ってから、まさかこんなふうになるなんては思いもしなかったな。』再び外を眺めているニールを視線に捉えながら物思いにふけった。「団長!セス団長!何ぼさっとしてるんです!団長の方こそ準備してくださいよ!」御者席よりバスカーが声かけてきた。「おぉ、すまんすまん、すぐに用意するよ。」私は今回の演目が書かれたビラを取り出し周りに配っていった。「何時もの如く、後ろのやつらにも渡しといてくれ。」「はいよ!」「わかりました」私が声かけると変な兄妹とニールが返事を返した。「さぁ、外門が見えてきたぞ!「木漏れ日の庭先」一座の【新興業】の始まりだぞ!」と威勢良く気勢を上げた監督・脚本を手掛けるセス団長でした。・・・(続)
裏は基本的に視点をニール以外で行います。誰が担当するかはその時次第になります。