世にも不思議な劇団参上!(ニールの過去編その1)
いよいよ、本編の始まりです。ニールの日記が表舞台とすれば、その裏でニールの知らない裏舞台も始まります。どうか皆さんよろしくお願いいたします。
5月の10日(風の日) 天気は薄曇りで湿度は低め、そよ風が吹いていて過ごし易いです。
『今日は、ブルバームの町に入る予定です。前の学校で出された宿題を提出して、暫くの間、この町の学校に通わせてもらう手続きをしなければなりません。来月の頭まではこの町に滞在するので、いろいろやる事があります。まあ、僕は1番下っ端なので、自分のこと以外は雑用係なんで、言われたことをするだけです。』
あぁ、申し遅れました。僕の名前は、ニール・I・ファグナー。今年で13歳の劇団員見習いです。僕の生まれ故郷は、はるか東の果てにある群衆列島の中にある。「サイカ」という小国です。この群衆列島という土地柄が狭いくせに、起伏にとんでいて、まぁ~住みにくいったらありゃしない。その上、みょ~に戦闘狂みたいな奴らが多く住んでいて、常駐戦場状態なんです。ただでさえ「サイカ」は小国で近隣諸国の顔色を伺いながら、交易を主業とした商業国家で成り立っているので腰が低い人ばかりなんです。かくいう僕の実家も、小さいながら商家を営んでいて、僕自身も人の顔色を伺うことと太鼓持ちに関しては自信があります。
そんな僕がなんで劇団員見習いなんてやっているのかというと、僕が三男坊でゆくゆくは独立しなきゃいけなかったのと、自分を殺して生き続ける生活に嫌気が差していたことと、何よりもこの移動劇団「木漏れ日の庭先」一座に出会ったことが最大の理由なんです。あぁ、商売自体は嫌いじゃないんですよ。胸糞悪いゲス野郎に太鼓持ちをすることが嫌だったんです。売りたくない人にまで売らなきゃいけない様な生活が苦痛で、学校でも格上の商家や得意先の子供にまで太鼓持ちしなきゃいけないから、ストレスが溜まり放題だった。そんな最中、僕の町にやってきたのが彼らだった。・・・(次回に続く)・・・
後述・「サイカ」が何故に他国から侵略されないかといえば、周りの国々が牽制し合っていて、尚且つ「サイカ」自体が中立交易国家なのでここが潰れると周りの国々も経済的に困ってしまうからです。