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一人百物語 動物編

サワサワ

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/18


もう三十年以上も昔の事。

会社で気分が悪くなり、救急車で運ばれる騒ぎを起こした事があった。

救急病院でお世話になった後、帰宅すると再び気分が悪くなったので、ソファに横になった。

いつの間にかそのまま眠ってしまった。

それからふと気付くと、私は何だか綺麗な原っぱの様なところに寝ていた。

目は開けられなかったが、何故か周りは見えた。

それに私は、これは夢だ、と思った。

私の頭のあたりには当時亡くなって半年程経っていた愛犬龍之介が座り、私を見下ろしいた。

どこか近くで川が流れている様なサワサワという音がしていた。

また妙なところに来てるんだな、早く目を覚まさないと、とは思ったが、龍がいてくれるのなら大丈夫だろうとも思っていた。

それからしばらくして目が覚めた。

私は原っぱではなくやはりソファの上で寝ていた。

当時は真夏で、その日も随分暑かった。しかし、私の身体は冷えきっていて、目を覚ますと同時に身震いした。

見れば鳥肌までたっていた。

寝ていた部屋にはクーラーも扇風機も無かった。

窓が開いていて、傾きだすにはまだ少し早い陽の光が射し込み、蝉がやかましいくらいに鳴いていた。

やはり私は妙なところにいっていたらしい?

あの川の音は

三途の川の流れる音だったのだろうか。

私がおかしなところに行かない様、龍は見張ってくれていたのだろうか。




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