25 サンマをきれいに食えるやつって尊敬しないか?
「サンマをきれいに食えるやつって尊敬しないか?」
「やぶからぼうに。急になにを言い出すのだ」
「七輪でサンマを焼いてもらおうと思ってな」
神社に帰ったらサンマを食べよう。そう決めた。
「……おおっ、サンマだ。鋭いサンマだ……数があまりに多くはないか?」
「Wie bitte, was ist das denn?(え、なんだこれーっ?)」
「お嬢様、ドイツ語が出ています。ベイトボールのようですね。イワシが群れになって泳ぐような姿を刀剣のような魚が行っているとは。あれに挑むには勇気かバカさが必要だ。なあ、後者よ」
「そのとおりです、ボス。あれも倒し方があって一撃で倒すことはできるんだよ。ただ、せっかくだし楽しまないと損だろう?」
空中を泳ぐ巨大な魚影。サンマが群れを成しクジラほどの大きさになって固まっている。
ただのサンマではなく、しっかりとモンスターとしての攻撃力を増している。腹と頭が鋭い刃となり輝いていた。
ボスモンスター特有の魔力が赤黒い光。サンマの目は赤く光り、赤黒い魔力光に照らされながら怪しく漂っていた。
「見てのとおりサンマの魚群がボスだ。このレベル帯ではめずらしくギミックを搭載してる。エンカウントしたらボール状になって、数千匹単位で上空を迂回する部隊が出てくるんだ。五月雨のように降ってくる凶器の雨を避けるか、盾でふせぐか剣で迎撃する。ところで咲耶、抹茶って何口ぐらいで飲むんだ?」
「むっ、流派にもよるものだ。三口半ぐらいが目安になることが多いだろう。まったく、いったい何の質問なのだ?」
「ソーリアン・アビスの倒し方が『抹茶』って言われてんだよな。上空を反時計まわりに二周してから俺らめがけて突っ込んでくる。それが三回あって、最後に残った半分ぐらいを倒しきるんだよ」
「……くだらぬ」
「くだらんって言うな! あいつはロマンボスなんだぞ。あの中には特別な個体が二体いる。一体は本体。もう一体が、よく見るとサンマの群れの中にそっくりな秋刀魚手裏剣ってユニーク武器が混ざってて、プレイヤーがつかむとゲットできるんだ」
「おまえの情報はどこから来てるんだ……? サンマ掴みのプロってなんなのだ。川で秋鮭を取る熊さんではないか」
「ふふっ、熊さん。サクヤは熊さん好きだからなーっ。サンマを掴めばいいことがあるかもしれないんだね。おもしろいっ」
シュシュシュと口で言いながらシャドーサンマ掴みをしているアルヴィ。やる気は十分だ。
「サンマ掴みはプロの所業だぞ。あのサンマは見た目以上に鋭くてな。触れるだけでダメージが入る。一回目は俺が見せる。二回目以降入れそうなら声をかけるからはいってきてくれ」
「うむ。よろしく頼む」
「わかったよっ。気をつけるんだよーっ」
「おら、サンマ! 皮がパリっと弾けるまで炭焼きにしてやるよッ!」




