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寒い日のバー
その日俺は行きつけのバーで静かに呑んでいた。会社の飲み会で疲弊した心を休めるためだ。
客は俺を含めて4人、全員カウンターに詰めている。テーブル席には誰もいない。
仄かに暗い、そして程よく静かな静かな、落ち着く空間。時々、マスターや隣席の人(初対面)との会話も弾む。バーというのは、本当に不思議な空間だ。
そして、運命の五人目の客が、ドアを開けて入店してきた。
「いやーマスター久しぶり。外すごいわ。めちゃくちゃ吹雪いてる。ホットバタードラムお願い。」
その一言が、店の空気を一瞬で変えた。
「マスター、俺もホットバタードラムを」
「俺も」
「私も」
「俺も」
そうして、店のバターは一瞬で品切になったのだった……




