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第5話『神の痕跡と、ミスティの秘密』


 朝焼けが、リュノ村を包む。静かな朝だ。だけど──俺の心は、全然静かじゃなかった。


 昨日出会った銀髪の少女・ミスティの言葉が、ずっと頭から離れない。


> 「あなたの体には、神の痕跡がある──神域に触れてる」




 ……俺にそんなヤバいもんが?



---


 宿屋の朝食をとり終えた俺とラナは、また村の見回りに出た。今日は何も起きないでほしい──そう願いながら歩く。


「昨日のあの子……絶対普通の子じゃなかったよね」


「うん。てか“監視する”とか言ってたけど、まさか村に来てたり──」


「来てる」


 すぐ隣の柵の上に、ミスティは座っていた。無表情で、足をぶらぶらさせながら。


「本当に監視してるのかよ……!」


「当たり前」


「いや当たり前って……お前、何者なんだよ」


 俺がそう言うと、ミスティは静かにフードを外した。冷たい風が銀の髪を揺らす。


「私は、“灰の観測者”──神に近い存在を記録し、見守る者。あなたの中に、神の痕跡がある。放っておくと、いずれ世界に影響する」


「な、なんか急にスケールでかい話になってない!?」


「影響というより……引き寄せる、かもね。異形を。神獣を。混沌を」


「俺、平和に暮らしたいんだけど……」


 俺の叫びは、空しく風に流された。



---



 その後、ミスティも一緒に村を回ることに。というか、勝手に付いてきた。しかも──


「ハルト、これ持って」


「うわっ、ミスティ、手ぇ繋ぐなって!」


「魔力の流れを確認したいの。これが一番早い」


「は、はずせってば! ラナに見られたら──」


「見てるわよ」


 振り返ると、ラナが無言で睨んでいた。


 怖い。いや、本当に怖い。


「は、誤解だラナ!これはその、魔力の流れを──」


「ふーん。じゃあ、さっさと終わらせて」


 ラナの声が凍っていた。


 やばい。これ、ほんとに平穏な日々なのか?



---


 その日、俺たちは村の外れで小さな廃祠はいしを見つけた。誰も管理してない神殿のような建物。苔むした石柱と崩れた天井。


「……ここ、妙に気になる」


 ミスティが真剣な顔になる。


「神の痕跡が、濃い。たぶん、あなたの力が引き寄せてる」


 祠の中へ入ると、そこには古びた石版があった。ひび割れたその中央に、光る文字が浮かんでいた。


> 【ここに“神喰い”が封じられし】




「“神喰い”? 物騒な名前だな……」


 そのとき──


 祠全体が震えた。


「来る!」


 ミスティの声と同時に、地面が割れた。そこから這い出てきたのは、灰色の甲殻をまとった異形の獣。人間の顔をかたどったような仮面をつけている。


「グォォォォオオ──!」


「こ、こんなやばそうなの、俺無理無理!!」


「戦わなくていい。ハルト、あなたの魔力、解放して!」


「できないって言ってるだろ!」


「じゃあ──こうする!」


 ミスティが俺の手に触れ、詠唱を始めた。


「《灰色の静寂よ、神の痕跡を開け》──!」


 ビキィィッ!!


 空気が割れた。


 俺の体から、光が吹き出した。金と銀の粒子が舞い、祠の天井が一瞬で消し飛ぶ。


 怪物が、その場で動きを止めた。


「……ハルト、今のは」


「俺、何もしてないぞ!? 勝手に爆発しただけだ!」


「やっぱり、あなたの中に……神の力がある。しかも、“未覚醒のまま”で」



---



 その晩、村へ戻った俺たちは、宿屋の一室で再び向き合っていた。


「……ハルト、今までは平凡な生活を望んでたんでしょ」


「ああ。なるべく戦いたくないし、危ないの嫌だし」


「でも、それはもう無理かも。あなたは“呼ばれてる”。この世界に」


 ミスティの言葉は、妙に重かった。


 ……俺は、ただの一般人じゃなかったのか?


 ただの異世界転生者でもないのか?


 でも、やっぱり俺は言いたい。


「……それでも俺は、のんびり暮らしたい」


 ミスティは静かに目を細めて、小さく笑った。


「なら、守るしかないわね。あなたの平穏、私が一緒に」


「え……」


「ラナだけに任せるの、危なっかしいから」


「なんかムカつくんだけど!?」


 そう言いながらも、ラナの頬は少し赤く染まっていた。


 神の力。神喰い。灰の観測者──


 世界の謎が少しずつ姿を現してくる。


 でも今はまだ、俺はただの一般人でいたい。




「面白かった!」




「続きが気になる、読みたい!」




「今後どうなるの!!」




と思ったら




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