第4話『のんびり警備クエスト、のはずだったのに』
「平和な村の警備、ですか?」
「ええ、魔物の出現率も低くて、危険度もほとんどゼロ。初心者向けのお仕事よ」
ギルドの受付嬢・ミリアがそう言って出してきたのは、紙に書かれた依頼書だった。
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《依頼内容》
【村の周辺警備】
・場所:リュノ村(トアリスから徒歩1時間)
・内容:村の周囲を一日数回、軽く巡回してもらうだけ
・報酬:2銀貨/日
・推奨ランク:旅人級~
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「……うん、まさに“のんびり”って感じだな」
これなら俺でもできそうだ。ていうか、むしろこれ以外やりたくない。
「じゃ、受けます」
「OK! ラナちゃんも付き添ってくれるって言ってたわよ。仲良しさんねぇ~」
「な、なんで余計なこと言うんですかミリアさん」
「んふふ。がんばってね、“未来の勇者様”♪」
やめてくれ。勇者とか、そーゆーのは遠慮したい。というか違うから。
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◆
そして翌日。俺とラナは、リュノ村の入り口に立っていた。
「ほんとに、何もないな……」
周囲はただの畑と森。家は十軒ほど。とても静かな村だった。
村長さんらしきおじいちゃんに挨拶をして、さっそく巡回に出る。木製の柵の周りをぐるっと回るだけの簡単なお仕事──のはずだった。
しかし──
「……ん?」
林の奥、微かに気配がした。
「ラナ、ちょっと下がって」
「えっ、どうしたの?」
「たぶん、また“なんか”来た」
予感というか、本能的な“警報”みたいなものが鳴っている。前にもこれで狼を吹き飛ばした。今回も──
ガサッ。
木々の間から現れたのは、黒いフードの少女だった。
小柄で、白い肌に銀色の髪。年は俺と同じか少し下くらい。片手には杖。魔法使い、かもしれない。
「……あなた、変な力を持ってる」
いきなりそう言われた。
「は? いきなり何?」
「私、“魔力視”ができるの。あなたの身体……普通じゃない。魔力が、暴れてる」
は? 魔力が暴れてる?
「え、俺、魔力とか全然使ってないんだけど……」
「だから異常なの。普通は制御されてるはずなのに、あなたは──溢れっぱなし。しかも……神域に触れてる」
なにそれ。怖い。
「ちょ、ちょっと落ち着こうか。名前は?」
「ミスティ」
フードを取った少女は、綺麗な銀髪に金色の瞳を持っていた。冷たい表情だけど、美しい──まるで人形のような少女だった。
「私は……“それ”を探してた。ずっと」
「“それ”?」
「神の干渉痕。それを持ってる存在。あなた、きっと──」
「待ったあぁぁぁ!!」
その瞬間、ラナが割って入った。
「ちょっと、あんた誰なの!? ハルトに何してるの!?」
「……ただ、調べてただけ」
「ハルトに近づかないで!」
ラナが少し怒っているのが、なんだか新鮮だった。普段はあんなに優しいのに。
「ラナ……」
「ハルトはね、そういう……変なことに巻き込まれるような人じゃないの! のんびり暮らしたいだけなんだから!」
正論。ほんとそれ。
するとミスティは、少しだけ目を伏せ、ため息をついた。
「……わかった。しばらく監視するだけにする」
「監視するんかい」
こうして、謎の少女ミスティはその場を去った。
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◆
その晩、リュノ村の宿屋に泊まることになった俺たち。
ラナと並んで夕食を食べながら、俺はさっきのことを思い返していた。
「……ラナ、ありがとうな。かばってくれて」
「べ、別に……当然でしょ。私、ハルトのこと……」
その言葉の続きを、ラナは飲み込んだ。
「……心配してるだけ」
「……うん、ありがとな」
あったかいスープの湯気が、ちょっとだけ、心に染みた。
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▼ 新たな称号を獲得しました
・【守られし者】
・【平穏を望む者】
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だが、俺の平穏な日々は──
きっと、まだ始まったばかりだった。
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