表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

第3話『ギルドと、チートがバレそうな件』


「お、お前……何者だ?」


 そう言ったのは、村長だった。


 魔物騒動のあと、俺は村の広場に連れてこられ、椅子に座らされ、囲まれていた。まるで裁判か、尋問か、ってレベルで大人たちの視線が突き刺さる。


 でもその視線は、疑いというよりも、畏敬──つまり、尊敬とか、畏れとか、そういう雰囲気だった。


「何者って……ただの旅人ですよ。たまたま運が良かっただけです」


 俺はできるだけ控えめに答える。


 俺がしたことといえば、光で敵を吹き飛ばしただけ。それがどうやって起きたのかは、いまだにわかっていない。操作方法もないし、意識して出したわけでもない。


「魔物を一瞬で……いや、魔術師でも難しいぞ。しかも無詠唱で、あんな規模の魔法……」


 村の騎士らしきおっさんが唸る。


「……ラナ嬢の話によると、“加護が識別不能”とか?」


 「らしいです」


 俺がそう答えると、今度は村人たちがざわめき出す。


「神の使いか?」「いや、勇者なのでは?」「魔王と戦える存在かも……!」


 ──おいおい。やめてくれ。


「いえ、ちがいますから! マジで、旅人ですから!」


 そんな俺の必死の否定に、ラナだけがくすっと笑っていた。


「まあまあ、ハルトはハルト。いい人だってことは、私が保証するよ」


 ありがとう、ラナ。でも君の笑顔がフラグに見えてしかたない。



---



 翌日、俺はラナに連れられて、隣の町まで足を伸ばすことになった。


「ちょっと遠いけど、この辺では唯一の冒険者ギルドがあるの。身分証とか、スキルの調査もしてくれるよ」


「冒険者……俺、やれるかな」


「心配しなくていいよ。登録するだけなら簡単だし。ほら、ハルトって魔物も倒せるし」


 それを“俺の実力”って思われるのが一番困るのだが、今さら否定しても信じてもらえない。


 そして俺たちは、のんびりした牛車に揺られ、半日かけて町にたどり着いた。



---


 町の名前は「トアリス」。石造りの壁に囲まれた中規模の町で、村よりは人も多く、建物もしっかりしている。


 そして、ラナが案内してくれた建物──冒険者ギルド──は、木製の大扉が目印の、ちょっとゴツい建物だった。


「いらっしゃい! ……あら?」


 受付にいたのは、赤髪ポニーテールの女性。年は二十代後半くらいで、元気で気さくな雰囲気を持っている。


「おや、ラナちゃん。今日はどうしたの?」


「この人、登録をお願いしたくて! ハルトっていうの」


「はじめまして、ハルトです。いちおう旅人ってことで……」


 受付嬢はにっこり笑い、「オーケー」と言った。


「登録には簡単なスキルチェックがあるけど、痛くもかゆくもないから安心して。こっち来て」



---



 俺は、ギルド奥の部屋に通され、そこに置かれた“鑑定の水晶”と呼ばれる球体に手をかざすように言われた。


「スキルとか加護の確認ができるの。名前とか職業も、ある程度なら反映されるよ」


「へえ……」


 恐る恐る手をかざす。水晶が淡く光り始め、やがて文字が浮かび上がった。



---


▼【鑑定結果】

・名前:ハルト・サトウ

・職業:旅人(???)

・加護:神域の干渉(識別不能)

・スキル:オートアブソープション(説明不能)/絶対防衛(説明不能)



---


「え、なにこれ……?」


「……ッ!」


 受付嬢が息をのむ。


「……これ、ギルド長に報告案件かも。加護もスキルも識別不能、しかも“神域”って……普通じゃないわ」


「普通がいいんですけど!」


 やばい、バレた。やっぱり俺、普通じゃないんだ。



---



 そのあと、正式にギルド登録は完了した。ギルドカード(身分証)も発行されて、いちおう“旅人級冒険者”という身分ができた。


 とはいえ、受付嬢──名前はミリアさん──はやたらと目を輝かせながら言ってきた。


「ハルト君、しばらくこの町に滞在してもらえる? 冒険者としての実力を、ぜひ見たいわ」


「……俺、ただ平和に暮らしたいだけなんですが……」


「それなら、田舎の警備クエストとかどう? 安全だし、報酬も出るわよ?」


 つまり逃がしてくれないらしい。


 そしてその帰り道。


「……すごいね、ハルト。識別不能って、そんなに特別なことだったんだ」


「はは……全然実感ないけどね。俺、なにも自分でしてないし」


「でも、村を救ってくれたのは事実だし。私も……助けられた」


 そう言って、ラナは少しだけ照れたように微笑んだ。


「……ありがとう、ハルト」


 風が吹いて、ラナの耳が揺れた。


 ──ああ、俺、ほんとに異世界に来たんだな。


 そんな実感が、ようやく胸の奥に湧いてきた。



「面白かった!」




「続きが気になる、読みたい!」




「今後どうなるの!!」




と思ったら




下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。




面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!




ブックマークもいただけると本当にうれしいです。




何卒よろしくお願いいたします。




あと、感想もお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ