第1話「目が覚めたら異世界でした」
目を覚ましたとき、まず最初に感じたのは、草の匂いだった。
ふかふかの草の上に寝転んでいた俺──佐藤晴人、十七歳。高校二年生、どこにでもいる普通の男子だ。いや、正確には「だった」と言った方がいいかもしれない。
「……んだここ」
頭がぼんやりしている。最後に覚えているのは、バス。下校中にスマホをいじって、画面に夢中になって──ガシャン、って、でかい音がして──
「あれ、死んだ? ……え、もしかしてこれが、転生?」
視界には青い空と白い雲、広がる草原。空気は妙に澄んでいて、やたらと涼しい風が吹いてくる。どこかゲームの世界にでも迷い込んだような、そんな非現実感。
「いやいや、そんなわけ──」
そう言いかけて、俺の視界に現れたのは、空中に浮かぶ、透明なステータス画面だった。
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▼ ステータス
・名前:ハルト・サトウ
・年齢:17
・職業:旅人
・レベル:1
・称号:異界の来訪者/隠された者
・スキル:???(識別不能)
・加護:???(識別不能)
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「……なんだこれ」
もはやテンプレというか、異世界転生モノの読者としてはおなじみの光景ではある。だが、いざ自分がその立場になると、逆に現実味がなくて困る。
「スキルも加護も“???”って。わかんねーじゃん」
タップできそうなところをいろいろ触ってみるが、詳細はまるで開示されない。UI不親切すぎる。
それにしても、妙に体が軽い。疲れもないし、筋肉痛もない。事故で死んだとしたら、これは間違いなく“新しい体”──つまり、本当に転生してしまったのだろう。
「まぁ……死んだのが事実なら、こっちで第二の人生ってのもアリか。あのまま終わるよりはマシかもな」
そんなふうに割り切って考えられるのは、俺が“ちょっとクズ”だからだ。いわゆる執着が薄いというか、まあ……めんどくさいことは避けて生きてきた性格が功を奏してるってやつ。
「とりあえず、水とか、食い物とか、ないかな……」
立ち上がって、少し歩いてみる。草原の中に一本道があり、遠くに小さな建物の影が見える。
──と、そのとき。
「グルル……!」
背後から、低くうなるような声。
「ん?」
振り返った瞬間、俺は確信した。
「あれ絶対ヤバいやつだ」
そこにいたのは、体高2メートルはある黒毛の狼。目が赤く光っているし、牙は剣みたいに鋭い。まるでゲームで見たことがあるような──いや、あれはガチで魔物ってやつだ。
「いやいやいや! 俺まだチュートリアルすら終わってないって!」
武器? ない。魔法? 知らん。スキル? ???だし。詰んだ。俺、詰んだぞ。
狼が咆哮をあげて突進してくる。その勢いに足がすくむ。逃げられない。死んだと思った。
「うわああああああああああああ!!」
叫びながら腕を振り上げた、その瞬間だった。
──ズドンッッ!!!
眩しい閃光とともに、爆風が周囲に吹き荒れ、狼の姿が──消えた。
というか、地面にクレーターできてるんだけど。どういうこと?
「……え?」
俺は、自分の手を見つめる。なんの感触もない。魔法を唱えた覚えも、攻撃した自覚もない。ただ、本能的に「ヤバい」と思って叫んだだけだった。
だが。
ステータス画面がピロンと音を立てて、勝手に更新された。
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▼ 新たな称号を獲得しました
・【魔獣殺し(Ex)】
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「ちょっと待って!? 俺なにもしてないって!」
だが、そんな俺の抗議を無視するように、空から再び機械音声のようなナレーションが響く。
> 『自動戦闘スキル《絶対防衛》が発動しました』
「……絶対防衛? なにそれ? 俺、チートなの?」
誰か答えてくれ、と空を見上げても、返事はなかった。
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そして俺は、いまだに自分が持っている“とんでもない能力”の正体に気づかぬまま、小さな村へと向かうことになる。
──ただ平和に、のんびり暮らしたいだけなのに。
この先、いったいどんな騒動に巻き込まれていくのか。
そのときの俺には、知る由もなかった──。
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