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転生ゲームあらまの6

一発逆転チャンスの中身は

それぞれ違ったものだったけど

まさか俺は勇者様って・・・

しかも最弱!

言われてみれば俺の人生負け組だし。

最後に一発かましてやるっ!

俺100回は死んだ。

最初から3回目くらいまで剣も振れずに。

今はやっと剣でレイピアの剣を止めてる。

うわっ抑えてられないっ、あ、また駄目だぁ、

コイツめちゃくちゃ強くて何も効かないじゃん、

俺素人だし手加減してくれても良いじゃん。


そうこうして300回は殺された。

首は勿論胴体真っ二つなんて当たり前。

果てには縦一文字で左右に離れていく

なんてのにも5回はくらっていた。

これ大魔王の倒され方だよね?

痛みはあるけど直ぐ生き返るので

直ぐにレイピアが襲って来る。

俺本当に勇者?


「はーい777回目ですよー。

まだまだヨワヨワかなっと」

777回殺しているのはあなたなんですが・・・

一応少しはさまにはなって来たけど相変わらず手加減なしの鬼メイド。

この人あの異世界で生活してた?

とか考えてたら火球が飛んで来て778回目死亡・・・

でも殺され方が剣や格闘ではなくなってきた。

俺も火球とか吹雪とか出したい。

生き返った瞬間、ちょっと待ってーと叫んで

魔法が使えるのか聞いたら

「あ、忘れてた。ちょっと休憩がてら魔法のお勉強タイム」

と満面の笑みで誤魔化して来た。

そして魔法理論というヤツを教えてもらい

火球の出し方を教えてもらう。

魔法の概念って無かったけど何故か知っていたかのように

魔法が使える様になった。

鬼メイド改め女教師メイド、やれば出来るじゃん。

「後は自分のイメージを具現化するんだよ。さぁ実戦練習っ!」

コイツやっぱそっちの方がお好きなのね。

直後、俺は強烈な吹雪で凍りつき779回めの死亡を迎えた。

防御魔法教えてねーだろ鬼メイド!


思えば周りのせいとか社会のせいとか理由をつけて

賢く回避という逃亡ばかりしていたな、俺。

こうやって真剣にやり抜けない事ばかりで。

みっともねーな、中学3年のあの時までこんなみっともねー人生になるなんて思ってなかった。

努力すればなんでも出来る!

そう思って、毎日練習してた野球。

後輩にあっさりレギュラーの座を取られた、お前は見込みが無いからと。

才能が無いんだと痛感して希望が持てなくなった。

不完全燃焼で部活を引退した俺は受験にも失敗。

あの頃からだな、俺の人生こんなもんだとか言うようになったのも。

勇者様なら今度こそ努力だって信じたい。


多分1000回は殺されたと思うけど、こっちの攻撃も当たるようになってきた。

時々、「良いねぇ!その調子!」とか言う鬼メイド。

でもちょっと気を緩めると爆裂呪文が飛んでくる。なんでもありかコイツ。と思いつつ魔法で反射させる俺。

この状況、互角に戦ってると言っても良いんじゃね。


・・・

レイピアの斬撃はもう当たらなくなっていた。

魔法は同時に発動して斬撃の合間にぶつかり合う。

僅かな隙を見つけては色々な攻撃を試してみる。

斬撃、炎、氷、爆風、石つぶて、これでも駄目か。

ふと思ったけど、アイツがやった事ない事やったらどうだろう?

そう思って後ろに下がる。斬撃・魔法・超高速の同時攻撃を想像する。

駄目だ、まだ届かない。ならばもっともっともっと早く重く強く。

とにかく我武者羅に戦っていた。

気が付いた時には鬼メイドが傷だらけで座り込んでいた。

「よく頑張ったね、無我の境地ってとこかな。

私を倒すことが出来たね。1059回死んだ痛みにも良く耐えたね、偉い!」

満身創痍のレイピアに剣を向けてやっと降参した時、

感謝しか無かった。

「ありがとうございました。」と言って頭を下げる。

「うん!」とニッコリした途端にジェットコースターの様なシャッフル。気が付いたら3人でテーブルを囲んで待っている。

「待ちくたびれたんですけどぉ」と言ってさっさと

座るように催促された。

目の前にはやや小さい杯がある。

何処かで見たような・・・

みんな杯を前にお互いの表情を見ていた。

彼女は、何処か寂しげな表情と何か悟ったような不思議な感じ。

JKは、何処かスッキリした表情。

小学生は、優しい顔だけどなんか凛々しく見えた。

俺はどう見えてるのかな。


上空から

「お揃いですね。」

ピエロが降りて来て初めて真面目な表情で語る。

全員ドン引きな俺達を他所に続ける。

「これで本当に終わりです。

拙いわたくしめにお付き合いいただきありがとうございました。

盃の中身を飲み干していただくと転生扉の間へ転移されます。」

皆んな杯に触れてみると中の水を見つめる。

彼女が

「なんだか皆さんとはずっと前から知り合いだった気がします。これでお別れですが、その・・・ありがとう、」

と名残り惜しそうに微笑んだ。

「俺、佐藤頼士。違う世界でも頑張って。」

「あ、僕も佐藤、佐藤麗音、勘違いしてるみたいだけど、男だから。」

マジかっ!どうも俺だけ勘違いしてたらしい。

真っ赤になっていた俺の顔を見ながら

「やっぱりぃ言った通りだったしょ。

あたしは今中未亜。お姫様になってもし皆んなに出会えたら、豪華なお食事させてあげる。」

あわてて

「わ、わたし、月奈。です、御影月奈。

私も皆んなに会いたいです。」

「じゃあ、再会を夢みて。」

皆んな盃を目の前に掲げた。

「かんぱーいっ!」

転生扉には

とてもシンプルだった。

1という数字と

剣が交差した紋様

白い扉。

さぁ勇者して異世界救うぞ!

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