転生ゲーム2
転生することになった俺。
JK蟻さんに小学生とちょっといい感じの仲になった女の子。
どうなるか分からんけどなる様にしかならないし・・・
仰々しい扉一つ。気が付けば水槽たちは消えている。
扉を目の前にしてみんな手を触れようとしなかった。
小学生はピエロがまた飛んでくると思って後ろを振り返る。
女の子は蟻と小声で話していた。
俺は扉の表面を眺めつつどこかに数字が書いてあればこれで終わって
みんな同じ転生先になることだってあり得る
やっぱ扉が一つしかないんだからそういうことかな。
よく見ると細かい細工もある。
って某ブランドバックのロゴやん。
「そ、あのブランド製の扉だよん」
ピエロがドアの向こうからすり抜けてきた。
顔半分だけ
「LVってのはイニシャル、それを家紋のデザインみたいなロゴにして」
次は上半身だけ
「丈夫すぎる旅行鞄がバズって」
ポンと全部飛び出して
「今や泣く子も黙る一流ブランド」
三段オチかよ。しかもドヤ顔。
言われて気づいた女子2人。ドヤ顔がパワーアップしたので益々イラっとする俺。
「ここは選択しないところなの?扉が一つしかないけど・・」
絞り出すように小学生が聞いた。
「あぁ水族館内の選択は終わったよ。だから次。」
全員きょとんとしている。
「さっきから回った水槽や生き物でいくつか選択してもらってたよん。」
そう言いながら扉を開けた。その瞬間真っ白な光に包まれて・・・
小高い丘、爽やかな風、草原がどこまでも続く。
俺たちはと言うと、小さい納屋の前にいた。奥から馬みたいな声が聞こえる。
ピエロ居ないし、転生先?あ、でも全員同じ場所にいる。
「この世界では君たち見えない存在だから。」
声だけ聞こえる。まだ選択の中なんだな。コレ。
小屋からまだあどけない少年が馬を2頭引っ張って出てきた。
「最初に3人一緒に転生したいって言ってた家族の転生先に来たよ。」
その瞬間みんな分かってしまった。
女子二人は一瞬嗚咽に似た声を上げた。
あの時の赤子は少年に、両親は馬になっている。
2頭の馬は少年の後をついてきている。
心なしか少年の顔が暗い。
居ないはずのピエロの声が頭の中に響く。
「あの馬今日戦争用軍馬に徴用されるんだ」
一緒に転生したんだろ?
そんな事ありかよ!
とかグルグル思考が巡る。
「ここは転生してから12年経ってる」
「全く同じ日に同じ家で産まれたけど今日でお別れぇ」
馬が親だったこととか分かっているのか?
そもそも意思疎通とか細かいこと分かんないだろうし。
考えが次から次へと変わっていく。
「で、今回は水族館でボッチしてた君に選択してもらうよ。」
ヤバッ、俺じゃん。
「きみはこの世界の徴用係ぃ〜」
ですよねー
気が付けばいかにも下っ端役人の格好。
目の前にあの少年 がやって来る。
堂々としてるのは馬のみ、そこへ少年の父であろう人が追いついてきた。
「今我が家から出せる馬はこの2頭だけです。」
少年も何か言いたそうだが押し殺してる、見え見えだよ。
俺は徴兵用のプレートを取り付け、手綱を預かり
集合場所へ引っ張るだけの役目。それだけすれば選択が終わる。
でも、「君はこの2頭の事は好きかい?」
聞かずには居られなかった。
大きく頷いて初めてこっちを見た。
馬は少年を見つめている。優しくてあったかい眼差し。
プレートを取り付ける手が震える。
俺は下っ端役人でどうすることもできない。
そう思ってたらお姫様の声。
あんた鬼ぃー
いや、無理無理無理。
役人の記憶を総動員する。
こいつは健康な馬をあと何頭も集めるノルマがあって
クリアしないと帰れません。ってヤツ。
徴用後健康じゃなければ、その場で殺処分もされるらしい。
俺は馬に念じてみた。
健康じゃないふりで良い、すぐにしてくれ!
馬に通じたのか、座り込んで瞳を閉じて脚をピクピク小刻みに揺らしてみせた。
「こりゃ使えない徴用にはー」
と言いかけた途端、もう1人がやって来た。
「そっちはどうだー」と言いながら痙攣してる馬をみるなり、
銃口を向け楽しそうに一頭撃ち殺した。
「駄馬めがっ」
俺がそうさせた・・・
もう一頭も撃ち殺そうとしたので慌てて
「次行かないと終わりませんよ。」と拳銃を抑える。
茫然としてる少年をもう一頭が見つめている。
ごめん本当にごめん。
そう思った途端、何もかも消えて真っ白な空間に姿に戻っていた。
3人もいるし、俺は涙を流してただ立って居た。
隣にあの子が来て手を握ってくれた。
殺されたのは父親の方だったらしい彼女は
死の瞬間、笑って妻と子供を助けてくれてありがとうと聞こえたから
大丈夫だよって震える小さな声で教えてくれた。
「こりゃ酷だったかな」とピエロの声。
「ここからはある世界で1時間過ごしてもらいまーす」
こんな思いをするなんて。
とこれからも色々言いたくなるかも知れませんが、
もうしばらく行く末をお待ちくださいませ。