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七瀬真波は乗り越えたい  作者: エリーゼ
第二章

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021 ぶっちぎりでイカれた初心者・5

 さて、戻ってきたわね、チュートリアルに。

 本来なら煉獄のミノタウロスから2分間逃げ続け、さっさとチュートリアルを終えるべきなんだけどね。今回はそうもいかないのよ!

 このチュートリアル待機マップに籠もるメリットは非常に多くて、まずここは他人に見られる心配がない。そして誰に邪魔されることもなく、基本的な武器種は揃っているし、それが使い放題! レベルの高いモンスターとは何度でも戦闘が出来るから、相手にも困ることはない!


『【普通の両手槍】【普通の両手斧】【普通の両手槌】をセット、【普通の両手斧】を装備しました』

「やっぱり、まずはこれよね~……」


 そういうわけで、まずはいつもの三点セットから。この武器の組み合わせが一番しっくり来るのよ。あるなら両手棒とか大砲とか刀とかも使いたいけど、あれは基本的な武器じゃないからなのか、ここには置いてないのよね~……。とりあえず、これで獄ミノを…………。


「…………これじゃ前と変わらないわね」


 うーん、これじゃ前回と同じだし、何も変わらないわ。同じ相手と戦うのは別に良いけど、同じことの繰り返しになるのはあんまり好きじゃないわ。常に何かしらの新しい要素を取り入れたい……。でも、これ以外でハンマーぴょんぴょん丸をするにはどうすれば良いのかしら? いや、まずはそこから変えるべき? ハンマーぴょんぴょん丸以外で倒す方法を考えるとか、普通の人ならまず選択しない武器の組み合わせで挑むとか!! 普通じゃ選択しない組み合わせ…………あ! そうだ!


「出来るかな……?」

『【普通の両手槍】【普通の両手槍】【普通の両手槌】をセット、【普通の両手槍】を装備しました』

「お~……」


 あ、ここの装備って同じ武器を複数持つことも出来るんだ。いや、そりゃそうだよね。そうじゃないと左右に短剣を2本セットとか出来ないもんね! だからって槍を別のスロットに2本装備して、ここからどうするのって話なんだけど……。いやでも、ほら、なんか出来るかもしれないじゃない……?


『【下段振り下ろし】を発動』

「ん~……レベル1だとやっぱり、地上始動で振り下ろしだけではジャンプに繋がらないのよね」


 槍だけではやっぱり、2段ジャンプに繋がらないんだよね~……。レベル1だとステータスが足りなくて、反動もたりなければジャンプ力も足りない。これだと…………ん? そもそも、2段ジャンプのために、どうして下段振り下ろしをする必要があるんだっけ? これって、両手斧とか両手槌の反動が大きいから、これならジャンプ出来るやーってことでやってただけで、別に何が何でもこの下段振り下ろしを始動にする必要はないのでは?

 

 ――――それこそ、棒高跳びみたいに自力で高く飛べば、そこからジャンプ出来るよね?


「…………ほっ!! わぁ!? あ~とっと!!」


 思いついて早速試してみたけど、自力でやろうとすると動作が安定しないんだったわ。強制モーションは必ず同じ動作で実行されるメリットがあるから、それで強制モーションの下段振り下ろしを始動にしてたんだっけ。ある程度ゲームに慣れた今なら、自力で始動のモーションを出せると思うのよね~……。よし、練習しよう。練習するには~…………やっぱり、上手い人のを参考にするべきよね!


「陸上競技、棒高跳び、世界記録、検索」

『外部サイトへアクセス中……。こちらの動画が見つかりました』

「ん……」


 ああ~なるほど、棒を地面に突き刺してからジャンプして、上体で下半身を持ち上げるようにして飛ぶんだ。足から行くイメージね、なるほど……足からか。


「んっ……よし……。はぁああ~…………!! ほいっ!!」


 ジャンプした、ここで足を上に向けるイメージで持ち上げる!! ん~……なんか無様なモーションになった気がする! どう見ても失敗だったと思うのよね! どんな失敗なのかわからないから、とりあえず録画機能とか……ああ、あるわ! よし、定点録画を設定して……これで動きを見てみよう。


『定点録画を開始します』

「これでいいわね……。よし、いくぞ……!!」


 少し助走をつけて、槍を地面に突き刺してジャンプ! 槍のしなりがそれほどでもないから、早めに体を起こして……うーん……上手くいかない……。

 なんでだろう、動画だと結構簡単そうに飛んでたのに、全然上手くいかないわ。どこがダメなのか録画を見てみよう。


『録画を終了しました。再生して確認しますか?』

「再生して」

『録画を再生します』


 うわ、私ってこんな格好をしてたんだ……。ちょっと、セクシー過ぎない……? タイツにしないと脚が出すぎて目立つから、それを隠すためにタイツをプレゼントしてくれたのかな……って、今はそこじゃないわ。どこが失敗の原因かを調査するのよ!! まず踏み切り、ここは問題なさそう? 頂点に到達する頃にやっと地面と水平、これが遅いのね! ここをもっと早くして、なんなら踏切と同時に足を上に向けるイメージでも良いのかも。よし、それでやってみよう!!


『再生を終了し――定点録画を開始します』

「踏み切りと同時に足を上……よしっ!!」


 3回目、助走をつけて踏み切りと同時に足を上に!! おっ、今光った!! 一瞬だけどジャンプがアクティブ化したから、これで間違いなく発動出来る!! 


『録画を終了しま――録画を再生します』

「ここだ、このタイミングで光った。なるほど……」


 よし、もう1回チャレンジしよう。今度は頂点付近になったら、ジャンプをショートカットから発動する。タイミング的には、槍の先端よりも少し足が上がったタイミングだったから、そこのタイミングを掴めばレベル1でも槍から2段ジャンプが出来るはず! 


『再生を終了――定点録画を開始します』

「踏み切りと同時に足を上、頂点を超えたらタイミングを見てジャンプを……実行!!」

『【ジャンプ】を発動します』

「やった出来た!! あああ高い!!」

『10の落下ダメージを受けました』


 あいったぁぁ~……。でも、槍始動で2段ジャンプが可能になったわ! これで低ステータスでも斧なしで2段ジャンプが出来る……。つまり、ここから槌に持ち替えれば、ハンマーぴょんぴょん丸に移行出来るってわけね。ちょっと脳内でシミュレーションした動きをやってみよう。


「まず、槍ぴょんから入って……タイミングを……」

『【ジャンプ】を発動――』


 この2段ジャンプの後は、槌に持ち替えて下段振り下ろしをすれば……!!


『【普通の両手槍】に変更、【下段振り下ろし・空中】【下段振り下ろし・空中】が発動』

「あああああああああ!?」


 え、え、えっ、えっ? 今、何が起きたの? 武器チェンジをして、下段振り下ろしをしたと思ったら瞬間、もう地上に居たんですけど……? ああ、間違えて槍で発動……いや、槍で発動したにしても、発動してからのスピードが早すぎる。こんなに一瞬で地面に到達するようなモーションじゃなかったはず。あ、なんかバトルログの表記がおかしい!!


「なんで? なんでここで下段振り下ろしが2回発動してるの?」


 おかしい、下段振り下ろしが2回発動してる……。もう1回やってみよう。


「槍ぴょんから2段ジャンプをして……」

『【ジャンプ】を発動――』


 この後、両手槍を両手槍に持ち替えるっていう意味不明な行動をして、下段振り下ろしを……。


『【普通の両手槍】に変更』

「ん゛!?」


 今、ほんの一瞬だけ、手元に両手槍が2本ある状態になってた!? 本当に一瞬、瞬きをするような一瞬だけど、間違いなく武器の交換にラグが発生して槍が2本あった!! そうか、この瞬間か……!! この一瞬、武器を切り替えた瞬間の2本ある状態で強制モーションを発動することで、武器2本分のモーションを取ることが出来るんだ!!

 うっふふ……!! うっふふふ……!! と、いうことは……!?


『【下段振り下ろし・空中】を発動』

「出来る、絶対に出来るはず……!! まず槍ぴょん!!」


 これは、閃いたわ!! これが成功すれば、間違いなく更なる革命になるはず!! 大丈夫、出来る! 私なら絶対出来る!! 自分を信じて、飛べ!!


『【ダッシュ】を発動――』


 槍ぴょんから2段ジャンプじゃなくて、即時インパクト走法に変更! 物理的にあり得ないようなギリギリの動きで、強制モーションを使って強引に空中ダッシュしていく。ここまではまだ普通、まだ常人の域!! 問題は、ここよ!!


『【普通の両手槍】に変更、【中段突進】【中段突進】を発動』

「うわ…………――――ッ!?」

『20の落下ダメージを受けました』

「あは……。あははは……!!」


 出来た。

 出来た。出来た。

 出来た。出来た。出来た。出来た。

 出来た。出来た。出来た。出来た。出来た。出来た。出来た。出来た。

 出来た。出来た。出来た。出来た。出来た。出来た。出来た。出来た。

 うっふふ……!! 出来た。出来た。出来た。出来た……!! 出来た、出来た!! 出来た!! 出来たぁああああ!! 通常のインパクト走法の2倍のスピードで、とんでもない勢いで空中を滑るように飛んでった!!


「…………出来た…………。ダブル、インパクト走法…………」

『録画を終了しました』


 これ、両手槌だとどうなる? 両手槌と両手槍なら、どっちのモーションが優先される? やってみよう、まずは槍ぴょんからダッシュへ。


『【ダッシュ】を発動、【普通の両手槌】に変更』


 ここで発動…………発動? あれ?


「アクティブに、ならない……?」

『10の落下ダメージを受けました』


 おかしい、両手槍の時みたいに、手元に武器が2本ある状態にならなかった。足元の槍がパッと消えて、ただそのまま空中に居るだけって状態になった。タイミングが悪かった? もっと別のタイミングがあるだけ? もう一度試してみよう……。


『【普通の両手槍】に変更しました』

『【ダッシュ】を発動、【普通の両手槌】に変更』

『10の落下ダメージを受けました』


 タイミングを気にしすぎた感じがする。もう一度。


『【普通の両手槍】に変更しました』

『【ダッシュ】を発動、【普通の両手槌】に変更』

『10の落下ダメージを受けました』


 今のは早かった気がする。もう一度。


『【普通の両手槍】に変更しました』

『【ダッシュ】を発動、【普通の両手槌】に変更』

『10の落下ダメージを受けました』


 納得出来ない。もう一度。


『【普通の両手槍】に変更しました』

『【ダッシュ】を発動、【普通の両手槌】に変更』

『10の落下ダメージを受けました』

『貴方は死亡しました』


 あ、HPのこと忘れてた。レベル1だから低いんだった~……まあ、ここならペナルティはないし、私が納得出来るまで検証してみよう。

 それと……ダブルインパクトのおかげで、検証したいことがいっぱい増えたわ。この後それも検証しよう……。これは、忙しくなるわね……!!


ウェーブちゃん、ペルオン壊さないで……。え、ゲーム内で出来るんだから仕様……? そんなぁ……。

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― 新着の感想 ―
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