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七瀬真波は乗り越えたい  作者: エリーゼ
第二章

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020 ぶっちぎりでイカれた初心者・4

 転生するためにギルドハウスから外に出て、改めてターラッシュの様子を冷静に観察して……あることを思いました。


「ねえ見て! 上手くなってきたわ!」

「おー良いじゃん、めっちゃ速い」


 全然遅いよ。


『こらーっ!! お前達、それを街中でするな!! 外に行かんか!!』

「うーっす……しょうがないなあ、行こ~」

「あ~外に出るまで歩きか~ダルいな~」


 まあそれより、気がついたことね……。

 以前のプレイヤーにとっては異常だったインパクト走法が、今では当たり前のものとして受け入れられようとしている。つまり――――普通になっている。

 私が編み出して爆発的に広まってしまったインパクト走法、特別な移動方法だと思って優越感に浸っていたのに、それが普通のものとして扱われている。これは……由々しき事態ですよね? だって、他の人とやっていることが何も変わらないんですもの。私の方がちょっとだけ慣れているから、少し速いだけ……。そんなんじゃ、全然特別じゃない。


『冒険のヒント:スキルの獲得方法について確認してみましょう!』

「あ゛あ゛~……」


 うるっさ、チュートリアル以外にも、まだこんな冒険のヒントとかいうのが残ってたの? 死にぞこないの無駄機能が…………いや、スキルの獲得方法については確認してもいいかも。

 確か、転生すると獲得したスキルは失われてしまうんだよね? 一度獲得したことがあるスキルは、スキル辞典っていうところに自動で記録されるみたいだけど、転生してからもう一度同じスキルを獲得したいなら、スキルの閃く条件をすべて満たさなければならないとか、ルフラーンさんが言ってたような……。

 

『ローリングスラッシャーについて。ローリングスラッシャーは、ローリング回避と振り下ろし攻撃を同時に発動し、それを斬撃系の武器で実行した時に閃くことが可能です。閃きレベル10以上の初級スキルです』

「なるほど、武器種の指定とかもあるのね……」

『マップ案内:次の十字路を左です』

「あーはいはい」


 タウンマップは行き先を登録しておくとナビゲーションして貰えて便利ね。地図が読めない人や方向音痴な人でも、これさえセットすれば間違いなく辿り着けるわ。ルナフェルノの入り口も、こうやってナビゲーションしてくれたら最高なのに。なんだってあの地域はマップが使えないのよ……。まあ、帰って来る時に場所だけはちゃんと確認しておいたから、明日行くのは問題ないけども。

 それよりスキルの獲得方法、武器種とアクションの組み合わせでスキルを閃くって感じなのね。閃きレベルは、多分相手のレベルが閃きレベル以下だと閃くことが出来ないとか、そういう系かな? なんでこの専門用語についての解説がないのよ……。こういうところなのよ、ペルシアオンラインは!!


『強襲離脱撃について。強襲離脱撃は、全武器種で閃くことが可能な攻撃と離脱を同時に実行するスキルです。閃きレベル22以上の中級スキルです』

「ん、これは結構閃きレベルが高いわね……」


 強襲離脱撃は閃きレベルがちょっと高かったね。そっか、初心者だから初級スキルしか閃けないってことはなくて、背伸びして強い相手に挑めば、それ相応のスキルを閃くことも可能ってことなのね。それじゃあ、烏兎脳穿衝はどういう条件で閃くことが可能なのかしら。


『烏兎脳穿衝について。烏兎脳穿衝は、鳥に因んだ要素と兎に因んだ要素を含み、更に長尺武器での突き攻撃を発動した時、相手の烏兎――すなわち眉間――にクリティカルヒットした時に閃くことが可能です。閃きレベル60以上の上級スキルです。烏兎以外へのヒット、脳を持たない相手、ガードされた場合、防具に阻まれた場合、いずれかに該当する場合は発動に失敗します』

「…………はあ?」


 いや、誰がこんな要素をピンポイントで狙って出せるのよ!! スキル辞典で確認しなかったら、ずーっと烏兎脳穿衝を閃くことが出来ないポンコツが出来上がるところだったじゃないの!! というか、いつの間に鳥要素と兎要素を含んでたわけ? 鳥要素は……あ、血禽照発が鳥要素……。兎は? まさか、キャ・ロッドがニンジンで、ニンジンは兎の好物みたいな連想ゲームからその要素を達成してたの? それでたまたま、キャ・ロッドが眉間にクリティカルヒットしたおかげで、これを閃いたってこと!? は、ははっ……なんじゃそりゃー……。

 逆に考えて、このスキルを再度取得したいと思ったら、またあの自爆特攻鶏相手に、しかも武器はキャ・ロッドで、眉間に突きを当ててクリティカルを取らなきゃ閃くことが出来ないってこと? うわあ、なんだろう、狙って出そうと思った途端に無理だと思えてきた……。


『マップ案内:導きの教会へ到着しました』

「あ、ここか……。わあ~小さな教会……」


 これが転生を実行出来る導きの教会ね~……。大通りから外れて寂れた裏通り、こんな場所にひっそりと……。こういう場所は、もっと堂々と大通りに置いてくれないかなぁ!? まあいいや、入って――!?


「……え」

『アラート:冒険者支援システムに強力な干渉――――』

『…………はぁ~い、道に迷いし冒険者ちゃん♡』


 ペ、ペル、ペッ、ペルッ!!


『うっふふ、遂に正規の手段で会えたわね~♡ ウェーブったら、初日から話題になりすぎよ~? 全く、凄い大騒動だったんだから~!』

「ペルシアちゃぁん!!」


 導きの教会に、ペペ、ペルシアちゃんが居るー!! こんな寂れた小さな教会に!? 今すぐ中央広場をぶっ壊して、あそこに教会を建てたほうがいいと思います。そうしましょう。


『では改めて。ワタシは導きの女神ペルシア……と言っても、ワタシは貴方達への過度な干渉を望んでいないわ。貴方達は自由にこの世界を旅するべき……束縛するような使命を与えるべきではないと思っているの。ただし、もしも一度やり直して新たな道を歩みたい、やり直したいと思うのなら……ワタシが導いてあげるわ』

「ほわあ~……」

『……今のが、本来初めて冒険者にかけるはずだった言葉よ~? ウェーブはね、ちょっと特別なスタートをしちゃったものね~♡ 変な気分でしょ?』

「最高です!!」


 今のが、本来聞けるはずだった初遭遇時のセリフかぁ~……!! なるほど、確かに嘘は言ってない!! 新たな道を歩みたいなら、ワタシが導く……つまりここのセリフは、インフェルノモードを開始するには、ペルシアちゃんに案内して貰わなきゃダメってことを指しているのね!! 


『それで? なんでここに来たの? ウェーブは特にここへ用事はないと思うのだけど?』

「えっと、やり直したいと思って……あの……」

『え? インフェルノモード、やめちゃうの? やっぱり、厳しすぎたかしら?』

「あ、いえ! インフェルノモードは継続で!! もう一度レベル1からインフェルノモードを、やり直したいんですけど……」

『…………? ウェーブってもしかして、マゾの気質があるのかしら?』

「はい!」

『そこは即答しなくていいのよ……』

「はい!!」


 私、ペルシアちゃんになら、どれだけ虐められても悦ぶタイプだと思います! それより、ご理解頂けたようなので、早速インフェルノモードのやり直しを……。


『ええと……。事情がよくわからないのだけど、聞いてもよくわからないと思うから、とりあえず許可してあげるわね? 転生時の注意事項は、既に誰かから聞いたかしら?』

「はい!! 今装備しているものは、一時的に倉庫へ強制転送されます! 従魔はチュートリアル終了まで効果を発揮しません! 閃いたスキルや習得した魔法は全てリセットされ、スキル辞典や魔法辞典に登録された情報を元に、再度獲得する必要があります! ステータスはリセットさて、レベル1に戻ります!」

『完璧ね。じゃあ、またチュートリアルから再開だけど……』

「やります!! ついでにダメージランキングの記録も更新頑張ります!!」

『あ、あははは……。それじゃ、早速だけど……。新たなる道を求める冒険者よ、地獄への道を進まんとする冒険者よ、汝に導きの加護があらんことを――――』


 ああ、なんか体が薄くなってる……。透明になって、消えていく……。これが、転生なんだ……。


『――――それと、その服も可愛いわよ♡』

「あ゛り゛か゛――――」

『アラート:冒険者支援システム再構築……強制転送実行中……』


 お礼を言い切る前に、冒険者支援システムに転送されたんですけどぉ!! やっぱこのシステム、敵よ! 敵だわ!! 後2秒、せめて1秒待ってくれてもいいじゃないのよぉー!!


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― 新着の感想 ―
ペルシアちゃんの理念と喋り方完全に母上譲りよな······
皆様新しいものや使えるものはすぐ飛びつきますのね、まああまり変化がなかったところにこんな餌がばら撒かれたらそれは、ねぇ?でも周りに迷惑をかけるのはどうかと思いますけどね。 特別がなくなる、それはウェー…
掲示板で盛り上がっていたインパクト走法。しかし多くの人がやっているのであればそれは【普通】!!これはインパクト走法の更なる進化の予感!?_ 『死にぞこないの無駄機能』には爆笑しましたw ウェーブちゃ…
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