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始まりを告げる物
「んー、そろそろ目的の場所に着くかな?」
ふぁ~あ、とあくびしながら気楽な調子で
放射能の谷と呼ばれる普通の人間なら
五分で死ねる、そんな場所を十㎞程越えてきたのは
自称、神の声が聞こえる者
通称、シンタク。あちらこちらで偽名を使っているので
どれが本名なのか、全く解らないのではあるが
大体、こちらの名前で通っている
「おっとー、見えてきました山の民
スゲ-、お祭りしてるっぽいしこりゃ本当に神の子が生まれたのかな?」
そうなのである、シンタクは
神の子が生まれたと、聞いた(あくまでも神から聞いたらしい・・・)
所に、向かっているところだ
最短距離を目指すため、放射能の谷を通っていた訳だが
他に、普通の人が通れる道も、もちろんある。
「ふぃー、とぉちゃっくっ・・・っと
・・・あり?おかしいな、神の子が生まれたなら
もっと・・・こう、どでかく騒いでるはずなのに?」
あれ、何故だろう?とシンタクは首をかしげる
なに?おかしいのは、お前の方だ?
・・・正しいが、そこは突っ込まないで頂きたい