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④大京の物語 想像の詩人

西の総差配人との出会い 劇団の創設者の謎 ほんの少し明かされます ホントにほんの少しだけ この長編の全話を通観して初めて おぼろげながらに全貌を掴めることとなるでしょう パラレルワールド 私の用語では スパイラルワールド 虚構が現実に 現実が虚構に 互いに影響を及ぼし合う 宇宙の正体です なんちゅしゃって

西の方角を選ばなかったのにはワケがあった。遠出の経験がないと言ったが、厳密に言うと営業も兼ねた出張公演があり一度だけ参加した事があった。公演がはねた後、博多の総差配人に呼ばれた。アイドル市場の激戦地である蓬莱島にしばらく前に大江戸からテコ入れがされた五人天女降臨事件があり、総差配人はそのひとりだった。別室のソファーにはすでに聞こし召していた総差配人がいた。挨拶もそこそこに手招きをされ同じロングソファーに座らされた。しばらく居心地の悪い間が続いていたが、歌、得意なの?はい?ドギマギしながら間の抜けた返事をした。今歌ってたじゃない。あ。いつもの癖でついつい鼻歌が出てしまっていたらしい。あ、いや好きなだけです。歌?それとも、あたし?状況がよく呑み込めない。あ、両方ともデス。トンチンカンなやり取りが続いた挙げ句、あーなったらそーなった。そーなったらこーなった。コトが終わった後も総差配人の話しが続いていた。天性の話し好きらしい。あたし?元々は北のエリザベス島の出なのよ。ほんとうは。むかしタイフーンで連絡船が転覆した事故があったでしょ。知らない。気のない返事をする。ホントにもう。でね、家族が皆んな亡くなってしまって、おばぁ様も、父上や母殿も姉君も妹御や弟もよ。あたしだけが助かって。でね。頼りになるハズの親戚もアテにならなくて、もう親戚中タライ回しよ。早く自立したくて劇団に入ったの。歌もダンスも無料で受けられるし、住む所、寮もあってお給金もキチンと頂けてあたしにとっては天国よ。自分も覚えがあったのでうなづく。先生?春山源先生ね。見かけはただのへんなおっさんね。でもなんというのかしら一度関わりになったひとを絶対に見捨てることはしないヒトよ。あたしや金子も何度助けていただいたことか。金子悦子ね。エッちゃん。念押しをされなくてもわかった。全ザクログループの全劇団のトップで、犬神さおりと人気を二分していた。大江戸はエッちゃん。あたしはコッチ。そう決まったすぐ後ね。先生が行方不明になられたのは。死んだとかコロされたとか。物騒な話しばっかり。でもねあたしにはわかる。先生は生きていらっしゃる。でも何かワケがあってでてこれないのよ。フフフ。なにか思い出し笑いをした。いつだったかな?宴会の席で先生が変な話しを始めたの。エッちゃんが証人よ。あ、エッちゃんがいないか。じゃあ、ナイショの話しよ。先生ね、私はコチラの世界の人間ではない。アチラの世界の人間だ。小学校にあがる前クルマごと土砂に埋まる事故に巻き込まれ、助けだされた時にはもうコチラの世界に来ていた。ウソお。絶対ウソウソ。突っ込んでみたんだけど、いつになく先生真剣でね。ボクはついせんだって両親ともに亡くなってね。遺品整理をしてたら色々と証拠らしきものもでてきた。実を言うと自分も前の世界の記憶が残っていてコチラの世界にはずっと違和感があった。やっぱりな。そう思ったそうよ。どう思う?わかんない。この子はホントにもう。引っぱたくマネをする。アチラとコチラでどんな違いがあるかって。ちょっと宙を睨む目をしながら思い出そうとしていた。胡座をかいた胸から枕がズレてきてたので自分は慌てて目を逸らした。


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