5話 飛行機の
「あーっと。平之一一家が世界一周旅行をするのに使用した、プライベートジェットの見取り図を」
と烏が頼むと、麗子さんは「畏まりました」と返した。
ふぅーと俺はため息を吐く。事件解決の第一歩を、やっと踏めた気がしたからだ。
この調子では明後日までに解決できないことを、夕凪は悟っていた。だからと言って、焦ってはいけないことも。
数分たっただろうか。麗子さんが、何かを持ってこちらに向かってきている。見取り図だろうか。それにしては、やけに小さいものを持っている。
「こちらになります」
麗子さんは机にUSBを置き、戻っていった。
どうやら、さっき見えたのはこのUSBらしい。やっぱり、情報なら、この【サハラ】が一番だな。早い、安い、細かい。こう書いてあるポスターが、店の窓に貼られるだけある。
「パソコンとか、誰か持ってるか?」
「持ってないな。まさかUSBとは誰も想定してなくて」
「帰って見ればいいだろ」
雑な会話が繰り広げられる中、俺はホントに頼んだコーヒーをすする。ブラックは飲めない。千葉県といえばのあのコーヒーが好きだ。あの缶のデザインの自販機があると聞いたことがある。審議は定かではないが、気になっている。
閑話休題。やっと俺たちは、飛行機の見取り図が入っている―――と思われる―――USBを手に入れたわけだが。
早速事務所に戻り、パソコンにUSBを挿す。すると、特別製なのか、パッと画面に見取り図が映る。
俺たちは見取り図に注目する。
「幸子さんの電話はここでしたんだろう」そう言いながら、飛行機の頭の方を指す。飛行機の搭乗口あたりだ。ここなら、誰からも見られていない理由も納得行く。
「特におかしなところがないな…」烏が呟く。「どういうことだ?」俺は烏の呟きにそう返す。
「いや、一輝の、あー…死んでたとして、死体はどこに、どこから捨てたんだろう。ずっとそう思ってたんだ」
「トイレじゃないの?ほら、細切れにしてさ」
朝凪がそう言った。
「トイレって言っても、飛行機は、トイレを流せば汚物タンクに基本行くんだ。なら、トイレから腐臭がするはずだろ?」
烏が冷静に返す。でも、朝凪の言う、トイレに流す以外の死体を遺棄する方法は、俺には思いつかない。
「じゃあ、どうやって捨てたって言うんだよ」
朝凪が、烏を責め立てるように言った。すると、烏は「それを今から考えるために、普通の飛行機と違うところを探してるんだよ」と疲れた声で言った。
死体が飛行機の中にある線は、もうほぼ消えている。ならどうやって……?
俺はペンを取り、近くにあった紙に書き殴る。
【考えられる可能性】
1.何かの特別な穴がある
2.トイレに細切れにして流した
3.そもそも死んでいない
今ある材料で考えられるもので、可能性が高いはこの3つぐらいだろう。
まず、8割方3番はないと言って良い。
そんなことをしても、雪子さんにメリットがない。…いや、でも烏からの話を聞いて、あり得ないこともない気はする。が、それは省くとしよう。
そう考え、俺は2人にこのメモを見せる。
「…なるほど」と一番最初に反応したのは烏。
俺は烏に「今のところは2番が一番可能性の高い選択肢な気がする。でも、だからといって1番も外せない」とメモの内容を補完した。
「穴、な………」
時刻はもう七時を回っている。
すると、烏が突然手をパンッと叩き、
「明日にしよう。今日は諦めて、明日に備えて、ゆっくり寝るとしようじゃないか。…明日は、……八時頃に来てくれ」
と言った。
「大丈夫!!徹夜で穴を見つけてみせるよ!」
グッと握った拳を上に突き上げ、烏は言った。
不安だなぁ………。
イヤーな予感を孕みながらも、朝凪と俺は一旦家に帰ることにした。明日には穴が見つかっていることを祈りながら。
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