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平均的僕らの推理  作者: 乱 乱太郎
4/10

3話 電話

「早速、木戎(きかい)さんに変わってもらえますか。はい、はい。よろしくお願いします」


 (からす)はそう言うと、こちらを見て、

雪子(ゆきこ)さんが木戎に流れを話してくれるらしい)と言った。

 今の状況、話を聞いて、一番信用できる―――アリバイがあるのは、木戎、瀬和洲(せわす)真理子(まりこ)―――この3人だろう。その中の、まずは木戎から話を聞いていく。



―――3分後

 俺が状況を整理しているうちに、木戎への話はついたらしく、通話は再開される。


【容疑者に聞くべきこと5つ】


1.行方不明になるまで、そしてその前後、何をしていたか


2.一輝かずきをどう思っているか


3.機内に人を殺しうるものはないか


4.趣味はなにか


5.一輝について、知っていること


 この5つをこれから全員に聞いていく。4に関しては、なんの役に立つのか俺もいまいち分かっていない。何ていうか、その人の人間性が分かるっていうか……

 対して重要ではなさそうなので、次の段階に進む。

 

 次の段階というのは、ホントの事情聴取だ。そのための()()だ。

 1はアリバイが、2は動機、関係が、3は証拠が、4はその人の人間性が、5は被害者の情報が分かるようになっている。


 俺は、この5つを書いたメモを、(このメモに書いてあること聞け)と言い、烏に渡す。


「えぇーっと?まず、一輝さんが行方不明になるまでの時間、そしてその前後、何をしていましたか?」


(確か、行方不明になる前はAIの操縦を見守ってました。なるまでの時間は、荷物の確認。なった後は、また操縦の見守りに戻りました。あ、いや、行方不明だと瀬和洲さんが気づいたときに、トイレに探しに行きました)


 受話器から微かに漏れている声を聞く。


(木戎はほぼ白だな)と朝凪(あさなぎ)と烏に言う。


「次に、一輝さんのことはどう思っていましたか?」


(そう、ですね、豪快な方だなと)


 特に思っていることがないのか、印象が薄いように思える。一周まわって冷静なのか?あの状況に置かれて、冷静なのは少し目に余るな…。


「では、機内に人を殺しうるものは?」


(……それは、分かりかねます。(あきら)さんに聞いてみてはどうでしょうか?あの方、飛行機に乗った時に、機内を散策していたみたいですし)


 行動が不自然だな…。機内を散策…子供じゃあるまいし…。いや、その可能性はなきにしもあらずか?

 …まあいい。今考えることじゃないのは確かだ。


「木戎さんの趣味は?」


(……趣味?)


「はい。聞くことにしているんです。その人の人間性が垣間見えますからね。もちろん、全てというわけではありませんが」


(ええと…そうですね、仕事でしょうか)


「最後に、一輝さんについて、何か知っていることは?なんでもいいです」


(………特にないです、ね。仕事上話すことはあっても、知っていることは、特にないです)



―――この質問で分かったことで、木戎を犯人と言うのはあまりにも無茶苦茶だ。だから、木戎は間違いなく白と言ってもいいだろう。

 

 木戎は根っからの仕事人間であり、公私混同しないタイプらしい。模範的な人間だ。

 恐らくリスクリターンの計算も人並み以上にできるだろう。よって、木戎は白。

 何より、犯行に移る時間がない。それが何よりの証拠だろう。なんたって、一輝に頼まれて、荷物を確認しに行っている。



 次は、瀬和洲への質問を開始する。


 瀬和洲も木戎と同じく、アリバイのある人間である。荷物を確認しに行った3人全員が、3人全員のアリバイを証明できる。

 しかも、執事と来た。なんか信用できる。よく分からないが、謎の信頼感があるのだ。


(木戎に瀬和洲に変わるよう頼んでくれ)と俺は烏に頼んだ。



 結果は、木戎とあまり変わらず。瀬和洲は、一輝のことを慕っており、息子のように思っている。

 そして、趣味は仕事。木戎と同じくタイプなのだろう。

 一輝について知っていることは、飛行機に乗る、そして乗った後も、トイレに行きたがっていた。それ以外は、特にいつもと変わりない様子だった。と。

 

 この情報もあまり役にはたたなさそうだ。それでも一応メモしておく。不必要な情報も、時には役に立つだろう。

 ハチドリはエネルギー効率がめちゃくちゃ悪いとか。

読んでいただきありがとうございます。

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