コラム5 あんな馬こんな馬?と犬
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私達が住んでいる日本と言う国は雨やら雪やらが多い。そこで雨に関する単語が多い。
夕立、狐の嫁入り、氷雨、秋雨、梅雨など。
ネパールの人は逆に海も川も沼も雨も『水』で片付けてしまうのだそうだ。
モンゴル人もその様な多岐に渡る物が有る。『馬』だ。
馬の見た目や色合い、星、何歳馬かで全部違う短い名詞になるのだそうだ。モンゴル人は馬に名前は付けない。その名詞が馬を指し示すからだ。
馬泥棒を捕まえに行ったテムジンは馬の様子を事細かには話していない。ただ、馬の名詞をボォルチュに告げただけだ。
ボォルチュにもその名詞に該当する馬がピンと来るのだ。
ここで『なんちゃらかんちゃらで何歳でどーのコーの』を試しに書くと、原稿用紙が半分埋まる位の説明文になるのだそうだ。
作中ではあのように書いたのだが、ニュアンス的に伝わるだろうか。
馬の話をもう一つ。ジンギスカンの妻ボルテさんだ。
あの人だけ乗馬は苦手である。
いや。多分日本人の誰より乗りこなすとは思うが、並みいるモンゴル人の中では下手なのだ。こう言った方はなかなか居ない。
さてテムジン。
犬が苦手である。
当時のモンゴルの犬は狼に近く、かなり野性的だったそうだ。牧羊犬としてではなく、番犬としてゲルの近くに居たらしい。
敵と判断した相手を噛み殺す時もあったそうで、当時のモンゴルでは家に入る挨拶の代わりに「犬を何とかしてくれ」と言ったらしい。
蒼き狼の末裔たるジンギスカンは犬が苦手。モンゴル人なのに妻ボルテは乗馬が下手。なんともユニークなご夫妻としか言いようが無い。
記述自体が割と元朝秘史オンリーである。集史や明王朝が編纂した元史にはその様な記述は無い。
しかし何故か元朝秘史は当時のモンゴルを推し量る貴重な資料として君臨している。
その理由は何故か滲み出る当時の人々の生活臭では無かろうか。
ソルカン・シラの困惑。親が一突きで切り捨て御免されてもついて行かなければならなかったムンリク。身分が奴隷である側近ジェルメ。
それぞれが必死に無法地帯に近いモンゴル高原を生きているのである。
本編ではまず良く知られていないジンギスカンの生涯から絡む様々な人々を紹介することにしているが、企画は沢山ある。
生涯を書き終えてからもお待ちかねは沢山用意してある。
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