成吉思汗の青年時代4 ごあいさつ。ごあいさつ
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「挨拶して後ろ楯を得るのはどうだ?」
テムジンが言い出した。
ジャダラン族のジャムカは古くからの馴染みださし、ケレイト族のトオリル・ハーンは父イェスゲイ・バァトルが、面倒を見ていた時期が有ったのだ。
かつてトオリルの父親の前族長が死んだ時、ケレイトは盛大な内乱状態になった。オレがオレが跡継ぎだ!まあ高原の代替わりなんかこんなもんだ。トオリルの部隊は大敗し、イェスゲイに救援を求めたのだ。
イェスゲイは救援を受け入れ、お陰でトオリルがケレイトの次期族長になったのだ。トオリルはいつまでもその恩を忘れなかったのだ。
ちなみにその為ケレイト族の内部は縁戚者が少なく、後継者はアホの子なのだが、そんなことテムジンは知らない。とにかく危機が来たら助けて貰えるように顔繋ぎに行こうと考えたのだ。
「さすがに土産物が要るよな」
テムジンが呟いても出せるものなんか土ネズミの毛皮位しかない。そんなものが手土産になんかなるわけがない。
「テムジン、これを使って」
ボルテは持参していた宝箱から黒貂の毛皮を出してきた。
「でもこれ、高級品じゃないか」
「だから良いんでしょ。しっかり有利に交渉してきてくださいな」
トオリルはイェスゲイの子ではなく黒貂の毛皮を持ってきた若者を歓迎し、力になると約束してくれた。
テムジンは充分な後ろ楯を得る事が出来た。また、これによりタイチウトごときが単独で近付く事が出来なくなっている。
それにテムジンが気づく事はないのだが。
集落に帰ってきたテムジンは変な来客を待たせていたようだ。
客の名はジャルチウダイ。1人の若者を連れている。
「やあ。えーと?」
テムジンはみすぼらしい身なりのその男、ジャルチウダイにとんと覚えが無い。
「その昔イェスゲイ様に仕えておりました。テムジン様が産まれた暫くして産まれたこの息子、ジェルメを奴隷に差し上げる約束をしていましたが、今日その約束を果たしに来ました」
「ほう。それは殊勝な心映え」
「ジェルメと申します。犬馬の労を惜しみません」
ジェルメという奴隷はその言葉に間違いなく良く働く人だった。この人物こそが四狗という最強にして最狂の四大将軍の一人となるのだが、そんな事が今分かるハズもない。
挨拶したり、されてみたり。テムジンの身の回りは加速度的に忙しくなる。
だが、そこは元朝秘史。テムジンはそう簡単に雲雀のようにヒョイヒョイと飛び上がる事は出来ない。
間もなくテムジンの集落はえらい目に遇うのだ。
それはテムジンのせいではない。因果はとんでもない所からぶつけられるのだ。
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