帝国散って日が暮れて3 それが本来の国力だった。
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帝政ロシアは思いの外モンゴル人などの黄色人種に偏見が低く、国民も利益が絡まなければ概ねフレンドリーだ。
重ねて言っとくと何故か帝政ロシアはものすごい勢いでユダヤ人だけは嫌った。
モンゴル出身者で構成されたシベリアの歩兵師団には必ず『狙撃師団』という物騒な名前が付いた。
さて、そんな軍団を擁した帝政ロシアにも落日の日は来る。
ロシア革命である。
そのあとの政権はレーニンとか言う共産主義者であり、世界初の共産主義政権である。
目の前の狂犬には従わざるを得ない。
モンゴルも共産主義政権が誕生した。
その国力はあまりに小さく、中華帝国と狂犬国家ソビエトに囲まれた厄介なポジションは、モンゴルにとって生き辛かった。
しかもモンゴルにも国境という近代国家の波が押し寄せる。
今までならば「草原が有れば」生きて行けたのに、この頃になると「国境内に草原が有れば」に変わる。
遊牧民としての面目丸つぶれである。
現代の国境という概念は要するに農耕民の考えが発達して出来たものだ。
国境という見えない壁は、遊牧民には似合わない。
騎兵という兵科が時代遅れとなり、土地が良くなく大した特産もない。
共産主義国家の軍備に詳しい者に話を聞いたところ、1988年の段階で空軍にmig-21戦闘機が3機配備されている。だとか。
要するに世界最弱軍である。
かつてソビエトをコテンパンにしたジンギスカンの事を口にする事すら憚られた時代であった。その姿はちょくちょく『16番目の共和国』などとも呼ばれた。
しかし、一気に時代が変わった。1985年に始まった『ペレストロイカ』である。
この時、各共和国も独立し、ドイツ統合、ポーランド民主化。ルーマニア革命。
俗に言う東側諸国が民主化に舵を切った。
この時モンゴルも知識人階級の人が集まり『民主化集会』を始めた。
モンゴル政府はあっさり集会の採択を可決。モンゴルもまた民主化された。
この日、遂に再びモンゴルの英雄ジンギスカンの名前を絶叫しても逮捕されない国になったのだ。
ちなみに現在の国号はモンゴル・ウルス。ウルスとは国という意味なのだが、世界が国に領土を連想するのに対し、モンゴルは違う。
国とは人の集まりの事である。
元々国境という物を持たなかったモンゴルは、君主の器を領土面積では測らない。国民の数で測るのだ。
国境を越えたところで、蒼き狼の末裔達はその誇りを取り戻し、胸を張りつついるのである。
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