領都の様子を見に行った
セバスの話を聞いた俺は翌日、領都へ降りてみた。
聞いていたがまさかここまでひどいとは思わなかった。
まず衛生の観点から言うともの凄く匂う、この世界ではこれが普通なのか
この領地がひどすぎるのかはわからないが、一番最初に感じたのは悪臭。
そして次に栄養、これもある程度予想はしていたが
領民が皆痩せこけており、顔色も悪い。搾取されてほとんど食べていないのだろう
領民が歩いている所を見るとまるでゾンビの行進のようだ。
次に気になったのは家だ、これもセバスに聞いていた物よりひどい様に感じる
崩れてしまいそうなのでは無く、崩れているのだ。
人によってはテント暮らしの様な者までいる。
そもそも領民は今何をして生計を立てているのだろうか?
もしかして全く経済が回っていないのでは無いだろうか?
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一旦屋敷に戻ることにした。
『おい、セバス。』
「はい?」
『領都の状況だが、聞いたよりもよっぽどひどかったぞ?』
「さようでございますか・・・。」
『そこでだ、今この屋敷に財はどれほどある?父がすべて持って行ったのか?』
「・・・・坊ちゃまの蓄財された分しかありません。」
『そうか、じゃあ俺の金を使って炊き出しをやろう。何をするにも
腹が減ってはなさぬだぞ。』
セバスは目を見開いて
「は!すぐに準備いたします!」
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領都の広場、領都の人口は約400人で炊き出しをやると
お触れを出したら、ほとんどすべての領民がやってきた。
「領主が変わったのか・・・。」
「腹が減って死にそうだ・・・早く何でもいいからくれ。」
「子供がおなかを空かせているんです、食べ物を恵んでください。」
俺はそんな領民の前に立ち宣言する。
『新しく領主となったビクトル=マクスウェルだ!
まず皆には炊き出しをおこない、鋭気を養ってもらいたい!
一つお願いだが食事を終えたら、元農民は私の元へ集まって欲しい!』
炊き出しを開始すると意外に皆順番待ちをして並んで待っている。
今は俺も対した物を準備出来ないが、それでも領民は涙を流して喜んだ。
一通り行き渡り食事が終わった頃に100人ほどの人間が
俺の周囲に集まった。
『みんなは元農民か?』
「はい、いずれも農民です。今は畑も荒れに荒れて私どもも困っております。」
白髪の老人が俺の質問に受け答えしてくれた。
『あなたは?』
「私は畑の管理をしておりました、ジルと言います。」
『ではジル、今から皆で畑に行かないか?』
ジルは驚いた顔をして
「領主様が畑を見に来るなんて、汚い場所ですぞ?」
『何が汚い物か、俺は行くと言ったら行くのだ』
ジルは微笑み
「わかりました、皆、畑に行くぞ」
俺を含めて100名が畑を目指し移動を開始した。