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とあるVRMMOのテスターたち

作者: Soryi

キャラの名前がAとBとなっているのは仕様です。

テスターだからはっきりした名前が無いとでもしておいてください。現実には有り得ないと思いますが、そこは気にしないでください。

作者が名前考えるのを面倒臭がった結果です。

「SORYIは『家政婦とヤンデレがバイト先で小説を書くお話』を書いてください。 」というお題で書いたものです。

=============================

とあるVR空間。

そこではあるVRゲームのテストが開催されており、数十人のテスターが思い思いにゲームをプレイしていた。

彼女も、その1人。

「……申し訳ありませんが、もう一度お願いします」

「キミの主になりたいからパーティ組もうよ」

「お断りします」

「即答!?」

「私の本能が貴方に対して特大の警鐘を鳴らして五月蝿いぐらいなので、即答も致し方ないと」

「……」

「何故目を逸らして気まずそうにするのですか、いえ答えは要りません心当たりがおありのようですし今直ぐお引取りを」

「そんなつれない事言わないでよ、ねっ?」

「つれなくとも絶対零度であろうともお断りです早くお引取り」

《イベントが発生しました、イベントが発生しました》

「「イベント!?」」

《詳細は公式サイトなどでご確認ください、詳細は公式サイトなどでご確認ください》

「ではログアウトするので」

「え、ちょっ、まっ!」

Aは掻き消え、ログアウトのエフェクトが舞い散った。

***

「しつこい勧誘というものはそれなりに経験してきましたが、まさかゲームの中でもそれが起きるなんて…」

「公式サイトで確認したあと、ログインして住民へ聞き込んで…、ああ告知板も調べたほうが良いですかね」


「…ふむ、文字を書きましょう、というイベントのようですね」

「では次は聞き込みですね。書道所や本屋に重点的に聞き込んでみますか」

***

ログイン地点選択、チュウトリアルの街


「ふう、やはり居ませんか。よかっ…」

「あ!居た居た、一緒にイベントしない?」

「お断りですこの危険物」

「え、危険物?」

「おっと失礼本音がうっかり」

「酷いよー」

「それは失礼しましたではさようなら」

「ちょっと待ってよー!」

「ついて来ないでくださいこの鈍感、見知らぬ他人を引き連れて行く場所でない事ぐらい察しろ」

「うわ敬語が消えた、てか見知らぬでは無い…よね?無いと言ってよ!?」

「お前が居ると出来るものも出来なくなるって勘が言ってんだ私に関わってくんなコノヤロー」

「え、なにそれ」

Bがあまりの言い様に呆然としているうちにAはどこかに行ってしまい、BはAを見失った。


「――ありがとうございました」


「小説を書くのがイベントポイントが一番高いのは確定ですかね。紙とペンは親切な人に貰えましたし、どこか落ち着ける場所で書くとしますか」

*****

「見て見てー!」

「なんの用事だ危険物」

「イベントで小説書いたから読んで見てよ」

「チッ被ったか」

「キミも小説書いたの?見せて見せて!」

「ふん」

投げ渡された紙束にはびっしりと文字が。

「ありがとう!」


Bが書いたという小説。どうやらジャンルは「カオスラブコメ」というもののようだ。

(ラブコメとは恋愛とコメディですよね?カオスとはなんでしょう)

小説ジャンルに疎いAは首を傾げ、読めば判るだろうとそのまま読み始めた。

(なんだこりゃ)

やけに内容が混沌としているが、確かにラブ&コメディと言った風情だ。ただし主人公がまるきりBでその想い人と思しき女性がまるきりAであるが。

(そういえばカオスって混沌って意味だっけ?)

読み進めて行くA。

(なんかやけにキャラの遣り取りに既視感があるような)

―――

「……申し訳ありませんが、もう一度お願いします」

まるで在り得ない事を聞いたかのように、眉を寄せて問う彼女。ああ不機嫌そうなその様子も美しい…

「キミの主になりたいからパーティ組もうよ」

「お断りします」

「即答!?」

なんで!?

―――

ぞわりと悪寒が走る。

(これ、この前の遣り取りそのままではないですか!)

慌ててログを探り、当時の様子を引き出す。

(うっわ、怖いぐらい同じだ)

2人のセリフが一字一句同じで、Aの表情の動きまで全く同じ。

(ぞわって来たよ!怖いよ!?)

Aは思わず遠い目になった。

「どう?面白い?」

その時、Bが声を掛けてきた。

「私を出演させてはいけません」

「え、ダメなの?」

「ダメです。コレ、どこか公の場所で公開する気ですか?」

「うん、ウェブ小説のサイトに投稿するつもりだけど」

「ダメです、こんなそっくりなものを公開なんて」

「えー…」

「っていうか文字が書ければイベント的には良いんですからそんな不満そうにしない!…拡散防止に燃やし尽くすべきですね」

「え!? や、やだよ止めてよ」

不穏な呟きにBは慌てて止めようとするが…

「セット、ファイアバレットカスタム」

炎が高く燃え上がり、Bの悲鳴が響き渡った。


おわり


読んで下さってありがとうございました。

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