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初変身は黒歴史

「なんで女子物なんだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」





 その格好は、魔法少女だった。




 「おいセラミー!お前、これ完全に女子ものじゃん!!!」



 荒々しく言葉を発する。その言葉には、怒りが七割、驚きが三割ってところ。そして再び見渡す。自分の今の現状を確かめるために。



 腕は白色の手袋は二の腕まであって黒色のブレスレットで止まっている。

 白色服で胸部部分から(首から胸部部分までは素肌)

 白と黒のスカートで黒いリボンが後ろに大きく付いている。

 白いストッキングは足の3/4ぐらいまでの長さ。

 黒い靴

 髪は、黒い長髪で腰とお尻の間ぐらいまで伸びている。


 完全に女の子の格好になっていた。しかもご丁寧に髪まで伸びている。後ろ姿なんて、誰がどうみても女の人。



 (ププッ、これは‥‥想像以上に‥‥破壊力が‥‥あるのです)



 そんな和也の格好を見て、おかしくてたまらない、セラミーが笑いを堪えることができていない。そんな様子が伝わってくる。

どっから見えているのか気にはなるが、今はそれどころではなかった。他人の様子より自分の格好。



 「笑ってんじゃねぇ!!! いいから早く元に戻せ!」

 


 (いや、‥‥それは難しい‥‥のです)



 「なんでだよ!」



 セラミーは一旦、笑いを止めるために深呼吸を数回する。それほどまでにセラミーの笑いの壺にドンピシャだった。深呼吸をして、自分を落ち着かせたセラミーは、納得していない和也の返答に答える。



 (冷静に考えるのです)



 「冷静に何を考えるんだよ」



 絶対に冷静になってないのです、とセラミーは思いつつも、このままでは冷静になることは無さそうなので、説明を始めた。



 (ヒーローが変身したり、魔法使いに変身した後に、直ぐに元の姿に戻ることなんてないのですよ、ヒーロー番組とかと同じなのです)



 「なんだよ、その制度。じゃあどうやったら元の姿に戻れるんだ?」



 (そんなことは簡単なのです。ヒーロー番組とかと同じことなのです。敵を倒せば良いだけの話なんですよ。幸なことに、武器の杖もありますし、結界もまだ継続されてますし)



 そう言われて和也は気がついた。先程まで持っていた右手にはステッキではなく杖になっていた。魔法の杖だ。


 全長は(いち)メートル弱。上部には少し大きな金色のリング状になっており、そのリングの中に青い玉が浮かんでいる。リングの下には翼が二つ生えている形だ。最上部には小さな星、それ以外の下部は白くて持ち手になっている。



 「‥‥‥以外と軽いな」



 持っていて、そう感じたので、和也はその場で二、三回魔法の杖を振ってみた。傘と同じくらいのように思えた。



 (おおっ! 以外にセンスがありそうなのです)



 「そりゃどうも。‥‥‥って違う違う違う! こんなことやってる場合じゃない!」



 褒められて、少しその気になってしまったが、直ぐに我に帰った。今やるべきことは、杖を振り回すことではない。和也にとっては早急に解決しなければならない問題。



 「いいから、早く元に戻せ!他の人に見られたら、たまったもんじゃない!」



 (だーかーらー、あのスライムを倒せば元に戻るのですって、さっきも言ったじゃないですか。それに今は結界が発動してるから、他の人に見られる心配はないのですよ)



 「あぁもう!倒せばいいんだろ、倒せば!」



 今すぐにでもこの状態から逃れたいのに、倒すなんてことをやっていたら時間がかかってしまう。しかしそれしか方法が無さそうなので、仕方なく了承せざるを得なかった。


 (まったく、さっきからそう言っているのです)



 「つーか、さっきから言ってる結界ってのは‥‥」



 先程からセラミーが、結界があるから大丈夫、と何回も口にしている。その結界について、何も知らない和也は気になっていた。なぜ大丈夫なのか。具体的な説明はされていないので、確証がない。



 (そうですね、結界があれば、その間は結界の中にいる人以外には見えてないので、ご安心を)



 「‥‥そうか」



 ここでもセラミーは具体的な説明はしなかった。してはいけないのか、それとも単に話が長くなるからなのか、真意はわからないが、ともあれ大丈夫なら問題無い。‥‥はず。


 

 「それで、どうすりゃいいんだ?」



 攻撃と言われても、杖で直接攻撃するのか、はたまた魔法が使えると言っていたので、魔法を使うのか。杖関係なしで拳でいくのか。言ってしまえば選択肢は色々とある。直ぐにでも攻撃したい気分に和也はなっていたが、あのスライムのことを考えると躊躇してしまう。


 そもそも得体の知らない相手なのだから、どんな行動をとったら正解なのかがわからない。



 (なんでもできますよ。変身したこの状態ならパンチやキックと言った攻撃は威力は上がっていますし、移動速度や跳躍力なんかも、ドドーンと上がっているのです!)



 言われて和也は試しに軽くジャンプすると、近くにあった家の二階の窓辺りまで上がった。


 上がった直後は驚きであたふたしていた。飛んだ時の高さもそうだったが、いかんせん格好が格好なので、スカートを抑えるのに必死だった。


 しかし着地した時には、羞恥よりも感動が強くなっている。本当にこれが事実だと言うことに。


 一度の感動を落ち着かせ本題に戻る。



 「で、どうすりゃいい、出来れば一撃でしかも時間がかからないのが嬉しいんだが」



 (でしたら必殺技を使うのです)



 必ず殺す技、と書いて必殺技。確かにこの状況では一番ベストな選択と言える。


 必殺技と聞いて、ワクワクする小さな子供も多いだろう。和也も少し気になってしまう。その辺りは男の子なのだからだろう。


 しかし〇〇キックや〇〇パンチなんかは現在の状況では使用が躊躇われる。何せ相手はスライムなのだから、したところで、あまりきかないのは目に見えている。下手をすれば飲み込まれそうだ。と、なると‥‥。



 「この杖でってことか」



 杖を強く握りしめ、見つめる。この杖にどんな力が眠っているのかわからないが、これが一番の最適だと思った。




 (その杖で必殺技の魔法を出すのです!)



 「‥‥‥」



 杖をスライムに向ける。自然と手に力が入る。当然ながら魔法なんて、産まれてから一度も和也は使ったことがない。けど何故だろうか、使える気がしたし、出来る自信があった。これもセラミーの影響なのだろうか。


 杖の先端に光が集り、それが光の塊になっていく。目を瞑り意識を集中させる。体の中の何かが動いている感覚がある。それは杖に向かって動いている。それが光の塊の正体なのだろう。数秒後に目を開けた時には、とても大きくなっていた。スライムと同じ高さにまで大きくなっていた。


 それを見ていたスライムは、観念したのだろうか、プルプルと体が小刻みに揺れているだけだった。



 (上出来なのです!後はカッコいい名前を付けて発射するだけなのです!)



 名前を付ける作業なんて、ゲームでしかやったことがない。発射するだけ、と言われても発射したことはない。けれども、その名前がふと浮かんだ。体が何故か知っている気がした。

 

 全ての感覚を杖に乗っけて、その名を発した。



 「聖なる時 白き波動(ホーリーヴァイス)!!!」



 その名を発したと同時に放たれた。光線と言うべきか、ビームと言うべきか、いずれにせよスライムに向かって一直線。放たれてからスライムに届くまでは一瞬だった。


 地面が抉れる程の威力だった。反動も大きく、足で全力で踏ん張っていないと飛ばされるくらいだ。



 「―――――――――――」



 スライムは潔く喰らった。奇声を発することもなく、役割を終えた達成感と共に消えていった。




 その場に残ったのは、抉れた地面と、魔法少女の格好をした和也のみ。



 「‥‥‥ハァ」



 一息ついた。体が急に重くなった。まるで背中に重りが乗っかったみたいだった。頭も何も考えることが出来てなかった。

 

 急に静かになったこの場で鳴り響いたアナウンス




 〈消滅を確認しました。チュートリアルモードを終了します〉



 そのアナウンスを聞いて、ようやく気がついた。終わったことに。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 「ようやく、解放された~~~」



 思わず安堵の表情を浮かべる。その姿はまるで仕事終わりのサラリーマンのよう。猫背の態勢になりながら、買っていたスーパーの袋を持ち帰宅するため歩いていく。夜と言うのには少し早いかもしれないが、夕方でもない微妙な明るさだった。



 「いやー、あの姿は今世紀最大の笑いだったのです」



 「うるせぇー、思い出させんな。‥‥‥っていつの間に出てきたんだよ」



 思い出したくもない、数分前の格好。そして和也の肩の上にセラミーが座っていた。先程までの格好を思い出しているのか、笑いを堪えるのに精一杯。


 肩に座っているセラミーを見て和也は思っていた。今、自分には何が起こっているのか、そしてその事に自分は何故平然としていられるかだ。


 出会って、スライムが表れ、変身し、そして魔法攻撃をした。これだけの事が起こったから、今ここに、肩にいることなんかが小さな事に思える。もっとも、この小さな妖精がいること事態が普通では無いのだけれども。



 「まぁ、何はともあれなのです。これからよろしくなのです」



 肩の上に座っていたセラミーが和也の目の前に移動する。もちろんセラミーは浮いている。その様子を見るのは初めてではないが馴れない。にわかに信じがたい。なにか細工でもしているのだろう、と思うほど。


 しかし、そんなことよりもセラミーが今言った言葉が気になった。



 「‥‥これから?」



 冷静に捉えることが出来たなら、難しくない言葉なのだが、今の和也にその冷静さは無い。あるのは、解放感と疲労感のみ。



 「やだなー、何を言ってるのですか。ボタンを押したときに契約の受諾って言っていたじゃないですか、仕方がないですけど、受諾したものは受諾しちゃったんで」



 「‥‥受諾すると‥‥どうなる?」



 セラミーの言葉を聞いて和也は嫌な予感がした。顔が徐々にひきつる。汗が垂れる。




 「先程のスライムみたいな奴と戦ってもらうのです。まぁほぼほぼあの格好ですけど」



 「なんじゃそりゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃ!!!!!」





 彼の声がとてもよく響いたそうな




















セラミーの会話について、

 ( )の場合はインフォームド状態です。つまりは和也の心の中にいます。通常は姿が見えません。


「 」の場合は外にいる状態です。姿が見える状態です。

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