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出合いは突然に

 

 キーンコーンカーンコーン


 授業終了のチャイムが鳴り響く。本日の授業はこれでおしまい。



 高校に入学してはや一ヶ月。少しずつだが、高校生も慣れてきている。

 そして学校から下校中。



 「そういや、まもなくテストだよなー。カズ、お前勉強してる?」



 「してないことは無いけど、・・・あんまりだな」




登校中とは違って、下校時は二人一緒に帰っている。朝に用事があり、夕方にはどうやら無いらしい。


 慧は和也のことをカズと呼ぶ。小学校から今まで変わらない。気がついたら、そうなっていた。



 「とか言って実はやってるんだろう? そういうやつって、クラスに一人はいるんだよなー。俺は忙しいから全然やってねぇーけどよ」



 「それはお前だろ。ってどこが忙しいんだ。俺もお前も帰宅部だろうが。忙しい要素が一つもねーよ」



 呆れ口調になる。それもそのはず、二人とも帰宅部なのだから。忙しい理由がどこにある。バイトはうちの学校では原則禁止だ。

 一体どこに忙しいの、「い」の字があるというのだ。


 そして言ってしまえば、慧の方がテストの点は高い。もう少し高いレベルの高校でも良かったのではないかと、思う時があるほどだ。少なくとも和也に比べれば。 



 「いや、それがさ聞いて驚け。俺、最近さ世界救ってるんだよ、本当大変なんだよ。身体が持たないんだよ、まじで!」



 「なるほどな、何のゲームのだよ。それ面白いのか?」



 「おいおい、本当だからな。シュパッ!ビッ!ドガァ!的な感じで――」



 「おーい、情報が何も無いぞ。どこの戦闘シーンだそれ」



 「なんつったら‥‥おっと、もうここか。じゃまた明日」



 「おぅ、明日」


 一本の電柱があり、道が二つに別れてる。

 和也は左に行き、慧は右に行き、それぞれの家へと向かう。慧とはここで、お別れになる。ちなみに一緒に登校するときは、ここが待合せ場所。


 会話しながら帰ると、意外と速く歩いている気がした。別にかわりないが。



「そういや牛乳切れてたっけ、‥‥‥スーパー行くか」



ふと思い出した。朝食の時に無かったことを。絶対に無いといけない訳ではないのだが‥‥、少し気分が重くなっていた。このまま帰る予定だったけれど‥‥。

 少し寒いし面倒臭いけど、そこまで遠くないし、足取りは重かったけど、和也はスーパーに向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「ありがとうございました」


 袋に入った牛乳を左手に持ち、スーパーを出て歩き出す。直ぐに帰ろうと思っていたので、はや歩きになっていた。そんなときだった。


 ふと空を見上げた。雨が今にも降りだしそうだ。そんな空を見て、足早に帰ろうとした。


 だが視線が空からずれる瞬間、何かが見えた。



 「流れ星?」



 一瞬の光、確かに光って見えた。


 しかしながら普通に考えたら、おかしな出来事だ。


 まず、この曇っている空。こんなに雲があるから、雲がある位置よりは下になる。でなければ、相当な光を発しないと見えないからだ。


 そして今は夕方、流れ星が降ったとしても、まだ明るすぎる。


 何より、和也が見たとき、それほど高くない位置で光った気がした。それが一番気になった。


 けれども考えても何も出てこない。


 あれこれ考えて見る。思考を巡らせる。でも候補が何もない。結局のところ見間違いだったのだろうか。何かを光ったと、勘違いしただけなのだろうか。むしろそう確定した方が楽な気がした。全ての考えを否定して、今は家に帰って休みたい気持ちが強かった。



 「おーい、長谷川じゃん。どうしたのそんな難しい顔して?」



 「は、長谷川君。こ、こんにちは」



 先程見た、空の光のことを考えていたら、声をかけられたから、少しビクッとした。前を見ると同じクラスで見知った顔が二つ。


國行愛理と西村美里だ。


西村美里 最初に声をかけてきた方で、國行と同じく中学校からの知り合い。茶髪で性格は明るい感じ。ちなみに國行とは小学校からの付き合いだとか。よく二人でいるところは見かける。



 そういや、さっきの奇妙なことでも話そうと思った。自分以外にも見た人が、いるんじゃないかって。そう思ったのだが、それよりも、先に二人の顔に目がいった。



「‥‥どうしたの?なんか、二人とも顔に傷あるけど?そんな傷あったっけ?」


 

 顔にすり傷がある。それも数ヶ所。長い傷もあれば、短い傷もある。



 「え?あ、ああ、さっきちょっと転んだの、そう転んだ、よね愛理?」



 「えっ!あー・・そう転んだんだよね、あはは~」



 一度互いの顔を見て、返答した。その返答には、感情が込められてない。聞けば一瞬でわかる。ただそのような返答しなければならない理由が、あったのだろうか。和也の疑問は益々募っていく。しかし、頭で考えていた疑問を口に出す前に、



 「えっーと、その長谷川君は‥‥どうしたの?」



 「え?あ、俺?俺はスーパーで牛乳買った帰りだけど・・・。」



持っていた袋を少し上げた。



 「牛乳?あー、お手伝いかなにか?」



 「お手伝いってか‥‥まぁ家に無かったから、ついでに買ってきただけだし‥‥」



 「へ、へー。そ、そうなんだ」



 「‥‥喧嘩でもした?」



 「いやいや、そういう訳じゃ無いんだけど‥‥」



西村が否定する。傷の事が気になる和也。傷の事を話したくない二人。


 西村が否定したが、本当かどうか確かめるため、視線を國行に向けた。ピクッと反応して、顔を少し赤らめて、下を向いてしまった。今の反応を見て、少しドキッとした。ちょっと可愛いと思った。中学生の時も、このような反応を数回見ている。その都度、ドキッとしてしまう。


 そんな反応を心の中で行われていることは、二人は知るはずもなく、その間には沈黙が続いた。それに耐えれなくなった西村が、



 「あ、そうだそうだ。そう言えば私用があったのを思い出したわ~ 、ってな訳で、先に帰るわ。後は頼んだ愛理!」



と言い終わるや否や、ものすごいダッシュして二人から離れて行ってしまった。最後の部分は國行の肩を、ポンッと叩いてから、和也に聞こえないように小さな声で言った。



 「えっ‥あ、お、おぅ。」



 「えっ!み、 美里ちゃん!ききき、聞いてないよそんなことーーー!」


と言うなや、國行も西村の後を追いかけるように、行ってしまった。



 「えっ?あっ‥‥行っちゃった。なんなんだ?いったい二人して?」



 急な展開に和也はついていけなかった。気がついたら、そこにいるのは和也のみ。

この状況を理解した時も、ただただ呆然にその場に立ち尽くしているだけだった。


 我に帰って、自宅に帰るために歩き始めた。なんと慌ただしい二人だった。いつもの様子ではなかったことはわかっていた。たぶん、顔の傷が何かしら関係があるのだろうと思った。


 とは言え、立ち話をしていたから、左手がきつくなってきた。牛乳だけでも意外と重く感じる。そんな自分の左手の耐久のなさを嘆きながら、歩きだす。



 「―――」



歩いていたら、何かが聞こえてくる。でもまだ遠いのか、内容が聞こえないし、聞こうとも思わなかった。



「‥‥‥です。」



 歩くにつれて段々と声が大きくなっている気がした。つまりは近づいているのだろう。それでも気にせず、帰宅する事を考え歩いていく。



 「‥‥てなのでーす!」



 「‥‥‥ん?」



 叫び声が聞こえた。流石に叫ばれると意識が向く。声が聞こえた方に顔を向ける。どうやら和也の視線の先にある、曲り角の奥のようだ。



 「誰か来て欲しいのでーす!!」



 「え!?」



 思わず変な声が出てしまったが、和也は声のした方へ向かう。


 誰か来て、その言葉から和也は、何やら大変な事が起きているじゃないかと思った。そしてその思いは確信に変わった。



 「助けてなのでーーーす!!!」



 「マジかよ‥」



助けて、その言葉を聞いて、和也は走り出した。どうやら何か大変な事が起きていることは本当らしい。事件か、事故か、あるいは他のなにかか‥‥。


 しかしながら物音は何も聞こえなかった。聞こえるのは叫び声と息が切れる音。


 自分の体力の衰えに、ショックを隠せないが、今はそれどころではない。


曲り角の直前まできた。ここまで来れば後は曲がるだけ。そう思うと同時に、不安も募っていた。


 果たして自分で力になるのか?そう考えてしまった。だが、今は迷っている暇は無い。自分がダメだったら他の人を呼ぶ、そう決めた。




 「誰かーーー!お願いいたしますなのでーーーす!」


 流石にここまで来れば、何を言ってるかは、はっきりしてる。

覚悟を決めて、曲がり角を曲がりながら‥‥



 「今行き――――――――」



 ます。を言おうとした瞬間だった。


 腹部に何かがコツンと当たった。そして当たった瞬間に、まばゆい光に和也は包まれた。


その光はとても眩しかったため、和也は曲り角の先を見ることなく、目をつぶってしまった。


 世界が真っ白になるとはこの事だろうか。それくらい眩しかった。右手で目を守ろうと、隠そうとした。





 「・・・?なんだ?今の?」




 右手で目を隠そうとする暇もなく、眩しい線香は、終わりを告げた。目的地の曲がり角を曲がった先には――


 何もなかった。誰もいなかった。何も変化がなかった。

 

 恐る恐る周りも見渡すが‥‥特に変わったところはなかった。数メートル先にいた、カラスが一羽飛んだだけだった。


 むしろ、和也は怖くなってきた。叫び声も聞こえたのに‥‥何も無いどころか、誰もいないなんて、考えもしなかった。


 背中がゾッとする、心霊現象とはこの事を言うのだろうか。しかし夕方のこの時間に心霊現象なんて珍しいことだ。


 右足が一歩後方へ、顔から一粒の汗が下へ流れる。唇を噛み締める。何かあっても良いように準備をする。


 準備と言っても、逃げることなのだが‥‥。



 「‥‥何も‥‥ない?」



 手足にかかっている、力を少しずつ抜いていく。警戒心を少しずつ解いていく。



 (ふへー、危機一髪。助かったのです)



その声が聞こえた瞬間に、減っていっていた警戒心を再び上昇させる。手足に力が入る。緊張が走っている。


 和也は辺りを見回す、まんべんなく、くまなく。けど誰もいない、人影すらない。



 完全な挙動不審な行動も、自覚がない。それほどの緊張感が和也の中を駆け巡る。



 (感謝感謝なのです)



再び声が聞こえた。だが、和也は声がした場所を特定できていない。なぜなら近くには誰もいないからだ。何回も見渡すが‥‥それらしき人はいない。



 (ん?どうかしたのですか?)



 さらに声がした。ここで和也は気づいた。聞こえるのは、耳からではなく、直接頭からだと言うことを。



 (あっ、そうか。今はあなたの‥‥強いて言うなら心の中ですかね)



 「はっ?えっ?」



 思わず和也は自分の体を触る。特に上半身の部分を徹底に触る。感触の変化はない。こんなにも自分の体を触る機会があるだろうか。それくらい何度も触らざるを得なかった。



 (なにしてるのですか?別に身体は何にもなってないですよ。)



 「お、おぅ。そうか‥‥」



 (あー、あんまり信じてないみたいですね。でしたら、そっちへ行くのですよ)



 「えっ?行くって何を?どこに?何が?」



 現状がよくわからず、言われる言葉に返答するのが精一杯。それも少しおかしい返答も混ざっている。返答も再び疑問にして返しているが。



 (えっ~とですね、確かこうだった気が‥‥)



 そう言い終わると同時に、和也の体が光った。胸の辺りに素早く光が集まった。そしてその光が形を造り、形勢され、その姿が和也の前に現れた。効果音を付けるならポンッと音がしているだろう。ちなみに全ての出来事は約一秒。


                            


 「いや~、危なかったのです。助かったのです」



 「‥‥‥お、おぅ」



  その初めての出会いが、この物語の始まりであった。















































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