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学校探索 セラミー隊長!

 

 「ダメ、絶対にダメだ!」



 和也が強い口調で言葉を発する。その相手は勿論………



 「なんでですか! 何もしないのですよ!」



 セラミーだ。和也の反対論に真っ向から対立している。


 休み明けの今日は、和也は普通に学校がある。それを聞いたセラミーが、学校に行きたいと申したことが、ことの発端なのだ。



 「何もしない訳が無いよな? 何となくこの数日でお前の性格はわかってきてるんだからな!」



 「それは、きっと間違った解釈をしているのですよ」



 どうしても行きたいセラミーと、どうしても連れていきたくない和也。今日も家にはこの二人しかいないので、他の人に聞かれる心配がないため、大きな声で言い合っている。


 家の中で置いてった時に、なにかをされる可能性があるため、余っている鞄のなかに、セラミーを入れてチャックを閉めようと試みてるが、肝心のセラミーを入れようとしたら抵抗されて、今に至る。セラミーの上から体重をかけて、鞄に入れようとしているのに対し、セラミーは体重をかけている手を抑えている。



 「お前……押すなって書いてあるボタンがあったら、どうすんだ」



 「全力で押しにいくのです」



 その答えを聞いた和也はますます力を込める。



 「だーかーらーだ!! 絶対に連れていかせるかっ!」



 「グベッ!」



 和也の言葉が終わると同時に最大限の力を出し、ついにセラミーを鞄のなかに入れることに成功した。素早くチャックを閉めた。出所するところは見ていない。これでセラミーの捕獲に成功したのだった。



 「さてと、早く行かないと、時間ギリギリだな、こりゃ」



 朝からこのやり取りをしていた。多少の準備をしながらだったので、支度は終わっているが、大部分朝のやり取りがこれになってしまった。いつも出ている時間には当然、出ることはできなかった。


 和也は急いで家を出た。しかし彼は知らなかった。もうこのときには鞄の中に、彼女がいないことに……。










 


 「ハァハァ……危ねー、ハァハァ」



 息があらあらしい。それもそのはず、時間がなかったので全速力で自転車を漕いできたからだ。普段あまり運動していない和也には鬼畜なことだったが、和也が教室に着いた途端にチャイムがなったので、ギリギリ間に合った。


 朝のホームルームなんかに聞く耳を持たず、呼吸を整えるのに精一杯だった。心臓がバクバクと動き、体には大量の汗、彼の体温は今、夏場の猛暑の時と同じぐらいだろう。



 「おいおい大丈夫か? にしても珍しいなー、カズが遅刻ギリギリにやって来るなんて」



 そう言って、和也の前の席から言ってきたのは、慧だった。

どうやら朝のホームルームが終わったらしい。前の席なので、和也の荒々しい呼吸が聞こえていたのだろう。



 「あぁ、大丈夫じゃない……、しんどい……」



 「おいおい大丈夫か」



 和也の死にそうな様子を見て、面白いのか、楽しいのかは、わからないが、何故か軽く笑いながら発した。しかし和也にはそれに構っていられる状態ではないのでスルー。


 流石に妖精を学校に連れていくかで、妖精と揉めてました、なんてことを言ったところで、信じてもらうどころか、笑われ、おかしな人というレッテルを張られてしまうため、言うことはできない。



 「まぁ、何があったのかは、何となくわかるから、聞かないでおくわ」



 何となくわかる訳が無い、ただこちらとしては好都合。理由を聞かれても、今何も考えられない状態だったからだ。



 「あぁ、そうしてくれると助かブッ!!!!」



 思わず吹き出してしまった。ふと見た窓に()()がいたのを見てしまったからだ。ふわふわと移動していた。なぜという疑問と驚きが彼の頭を支配した。



 「? どうした? 大丈夫か?」



 「あぁ、大丈夫。なんでもない……」



 言ったところで意味がない。姿が見えなくなったので、目線が自分の机に戻したのだが、よくわからない罪の意識があった。閉じかたが甘かったのか、もっと密閉したところにした方が良かったのか。いずれにせよ目撃したのは事実。

 


 「体調わるけりゃ、保健室行けよー」



 「あぁ、わかってる」



 自分の体の調子も良くはない。だが今はなんとかしなければならない、あの脱獄人を。放って置けば、性格状態、何をしでかすのかわからない。何とかして捕まえなければならない。しかし……


 キーンコーンカーンコーン


 とチャイムがなってしまった。授業が始まってしまう。これでは、授業が終わるまで野放しになってしまう。そこで和也がとった行動は――――





 「いやーこれが和也さんのの学校ですかー、さりげなーく脱出して、さりげなーく後ろについてきた甲斐があったのです。興味深いですねー」



 ふわふわと移動する。移動しながら窓から教室の様子を見る。

見ては移動し見ては移動するを繰り返す。上の階や下の階でも。そしてここで一つ思い出す。



 「そういえば、まだ中を見ていませんでしたね」


 

 いままで学校の外からだったので、今度は中から見てみたいと思った。


 セラミーが和也の鞄から逃げ出しても人間の学校を見たかったのにはわけがあった。単純に見たいという興味心もある。和也の学校での様子を見たいというのもある。だが一番の理由は……。


 

 「あんまり変わんないですかね……」



 学校の中に入り廊下からとある教室を見た。その教室の様子を見て、セラミーは少しがっかりした。やはりおもしろそうに見えなかったからだ。


 あまり良い思いでがない学校、別の世界であれば何か見方が変わるのではないのか、と思ったのだが、とくに変わったところは見れなかった。少し期待をしていただけ落胆を隠せなかった。



 「何が変わらないんだ?」



 ふわふわと飛びながら教室をあとにして声がしたので、移動しながら……



 「いやー、実は元の……ってあれ?」



 答えようとしたが、よくよく考えてみたら可笑しいことに気付いた。なぜ自分の声が聞こえているのか。なぜ会話になっているのか。なぜ聞いたことがある声が後ろから聞こえてくるのか。答えはもちろん……



 「ぐええっ!!」



 後ろを振り返ることもできずに、体を締め付けられた。いや、後ろを振り向く事ができない。なぜなら後ろから、凶悪な殺気を感じているからだ。体中から汗が止まらない。振り向いたら殺されそうだからだ。


 セラミーを片手で鷲掴みしながら、その状態のまま男子トイレの個室へ。ガチャリと鍵を閉めたら、



 「おーまーえーは、ここでなーにをしているのかね?」



 「痛い、痛いのです!」


                                           

 ぎりぎりと強く握りしめる。和也の言葉には怒りを通り越した以上のものがある。痛みの中でセラミーはそう感じていた。


 

 「なんで逃げているのかは後で聞くとしても、なんでここにいる!」



  「き、気になったのでつい……でも、和也さんも……授業中じゃないのです……か?」



 締め付けられながらのため、喋ることすら難しい。途切れ途切れになりながらも、授業が行われている時間なのにどうして和也がここにいるのかを疑問だったので、恐る恐る聞いた。


 実を言うとセラミーは、学校だと見つかってしまう恐れがあることはわかっていた。ばれたら無事じゃすまないことも、わかっていた。そこで授業中ならば発見されても、不用意に動くことは出来ないだろうと踏んでいた。



 「保健室行ってくるって言ったんだよ。お前の姿が見えたからな」



 「それは、本当に申し訳ないと思っておるのです」



 和也の怒りを察したので、素直に謝るセラミー。片手でセラミーを握っているのだが、セラミーが言葉を発する度に段々と強くなっていく。何とか片手を出したセラミーが素早く和也の手を叩く。どうやらギブアップのサインらしい。



 「家に帰れ、いいな?」



 和也が強く締める。



 「帰る……道が……わからないのです」



 「か・え・れ!!!!!!」



 「…………了解なのです」



 和也はトイレの個室の鍵を開けて、出てきたら、近くにある窓を開けた。



 「何となく帰り道わかるだろ、大人しく帰れ。いいな?」



 「……わかったのです」



 そう言ってセラミーを外に出して、窓を閉めた。和也は教室に戻ることにした。しかし彼は知らない。窓を閉めた瞬間に彼女の顔がにやけたことに……。

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