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拒絶、拒絶、拒絶、そして

一人で閉じ籠りたいときだってありますよね

次の日は、部屋の外へ出なかった。一度アルバが心配して様子を見に来たが、俺は言葉を返すことができなかった。

「シュウイチ?……疲れているのかな。ボクは様子を見に来ただけだから、気にせずゆっくり休んでね」

翌日、カケルが声をかけに来た。けれども、やっぱりそれにも応えられはしなかった。

「おーい、シュウイチ。……ご飯だけでも食おうぜ。身体に悪いって……、食欲がそんなにないなら、ワタルに診てもらおうぜ。アイツ、評判すっごくいいからさ」

翌々日は、カケルから聞いたのか、ワタル先生が問診に来た。

「うーん……、そんなにも食欲ないなら、ひとまず点滴でも打っときます?自律神経系がものを食べたくないって思ってるときに無理矢理流し込むのは、胃腸にも良くないしな」

その次の日は、スイトさんがやって来た。

「シュウイチ君、アルバさんのことでライム君と喧嘩しちゃったんだって?……ごめんね、ライム君から聞いちゃった。シュウイチ君が準備できたらでいいんだけど、ちゃんとみんなの話を聞きたいから。話す気になってくれたら、なんらかの形で僕に伝えてくれると嬉しいな……僕は、このお城のみんなのお兄さんってつもりでいるから。シュウイチ君のことも、とても心配しているからね」

その次の日は、ポストがやって来た。

「シュウイチさん。……私、ライムから少々聞いたのデスよ。コトの顛末を。私、軽率デシタかね?聞けば、シュウイチさんがアルバ王に恐れを抱いたのは、私の講義が原因ダトいうではないデスか。……私、大変反省しておりマス。敬愛するアルバ王と、新たなる友人を傷つけてシマイ、この数日、罪悪感に苛マレ食事も喉を通らナイ。貴方も、同じ状態なのデスか?」

「……ああ」

「そうデスか」

ポストにだけは、一言返事ができた。罪悪感、そう、罪悪感だ。俺は罪悪感を持っている。アルバもライムも、生まれ持った、あるいは持たされた弱さを乗り越えられるほど強かった。二人だけじゃない。スイトさんも、カケルも。俺がまだ知らないだけで、ワタルさんにもポストにもナギさんにも、なにかの弱さとそれを乗り越える強さがあるのだろう。

俺は乗り越えられない。彼らのような才能も能力も力も根性も容姿も何もかもないから。性格がひん曲がって固定されてしまっているから。一度曲がった針金が真っ直ぐにはならないように、俺は彼らのようにはなれない。そう、弱いのだ。この城で最も俺は弱い力なき存在なのだ。それを認めたくなくて、他のやつらのマイナスと思える部分、欠点だと思える部分にばかり目を遣って、自分は彼らより優れている部分があるから自分は彼らより優位に、あるいは彼らにマイナスがあってこそようやく自分が平等な位置に立てるのだと無意識下に思い込み、それを片っ端から実践していたんだ。今までの俺の思考を省みて、なんと一般論に依った相手への決めつけと失礼の多いことか。俺のいた社会の一般論なんて、彼らに通じるわけがないのに。

そんな思考に至った日、ライムがやって来てドア越しに言った。

「……悪かった。お前の心身状態の都合を欠片も考えず、僕の思いをぶちまけ、お前を傷つけた。お前はアルバを悲しませたし、僕はそれに怒りを覚えるが、お前にそれをぶつけていい道理は僕にない。あのあと、アルバに諭されたんだ。『シュウイチはまだ来たばかり、このフォルテフィアのことすら理解と実感が薄い状態だ。そんなときに、ボクら人外のことまで背負わせてはいけない。物事にはできる範囲と順番というものがある。彼が生きる力を取り戻すため先に必要なのがどちらなのかは分かるよね。そしてキミは、シュウイチのことを理解しようとしたかい?』と。思えばあのとき、お前は、自分がなぜアルバを怖がっているかすらよく分かっていないようだった。だけど、アルバを傷つけたとはどことなく理解していて、それを詫びようとしていた。僕がもっと冷静だったならその理由を教えてやれたかもしれないのに。詫びになるかは分からないが、仮説をいくつか立ててきた。必要なら、僕に連絡を取ってくれ。機械越しで構わない」

「いや……いいよ。悪いのは全部、俺なんだ。ライム、お前は正しかったんだよ。俺は都合を考えてもらえるような人間じゃない」

それだけ告げると、ライムはそこに少し居残ったあと、足音を遠く離していった。

そして、部屋に籠り始めて7日を数えたとき、再びアルバが訪れた。

「シュウイチ。入らせてもらうよ」

でも閉じ籠ってると淋しくて、誰かに隣に来て欲しいわけです

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