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現実的な恋模様  作者: 宮日まち
3章 彼らの恋事情
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-夏の訪れ- 駅前の一時

皆と別れ、一人駅に向かっていた。

他のご人は自転車通学で、直井は高校の近くに住んでいるから歩きだ。

もう時刻は、十時を過ぎてしまい両親が心配しているかも知れない。

事前に連絡入れてあるから大丈夫だろうけど。

そんなことを考えながら、歩いていたら後ろから自転車の音が聞こえてくる。

「一之瀬君ー。」

声が聞こえ、僕が振り返ると先ほど別れた筈の、山下さんがいた。


「どうかしたの?」

「皆がいるから、言いそびれちゃったんだけどね・・。」


「そう言えば、僕も大事なこと言ってなかった。」

「え・・?」


「また、約束守れなかった。ごめん。」

「約束って。」

「電話してくれた夜に、俺が言ったこと。」

「一之瀬君が、レギュラーを勝ち取って、私の前で活躍してくれるって言ってくれたこと?」

「覚えてたんだね。」

「もちろん。でも、その約束なら叶えてくれたじゃない。」

「そんなはずは・・。だって、僕はレギュラーにだって・・。」


「確かに、一之瀬君はレギュラーにはなれなかったよ?

でも、私が見ている時に一番の活躍を見してくれたじゃない。まぁ、偶然だったけれどね。」


「それにね、あの時の一之瀬君はレギュラーがどうだとか関係無く、コートで一番輝いていた。

それを、見れたから私は満足だよ!」


彼女の一瞬もつっかえることの無い言葉は、僕の心に浸透して行った。


「あの時のことは、悔しさと意地が混ざり合って、僕にも何が何だか分からなかった。

歓声が起きて、我に返ったんだ。」

「あのワンプレーは、私から見てもコートの中で一番の華麗さだったと思う。」

「それにね、私にとっては引退まで辞めなかったことの方が大きいの。一之瀬君との初めての約束は、そのことだったでしょ?覚えてる?」


無言で頷く。

覚えているさ。あれは、一年生の九月で、僕が山下さんと初めて勝負した時に約束したのだから。

同時に、あの頃は連絡先も聞くことが出来なかったことを思い出した。


「じゃあ、私帰るねー。」

「あれ。山下さん、言いそびれた事あるって言ってなかった?」

「ううん、何でもなかったみたい!また明日、学校でね。」

「お、おう。」

一体、何だったんだろうか。それにしても、彼女の最後の一言が僕は気になった。

今まで、また明日と言って、部活以外では中々会うことも無かった。

それなのにも関わらず、学校でねと付け加えたのは何故なのだろうか?

彼女の意図にたどり着くことなく、彼の一日は終わりを迎える。


一之瀬と別れた、彼女、山下星香は一人考え事をしながら夜道を自転車で走っていた。


最近、奈美が私と一之瀬君の関係に対して色々言ってくることが多くなった。

応援に行った日もそうだ、何に対して本気になった方が良いのだろうか?

そのことについて、一之瀬君に聞いてみようかと思ったのだけど辞めた。

(何となくだけど、これは本人に聞いちゃダメなんだと思う)


山下星香と言う人間は、この17年間、いや先月誕生日を迎えたから十八年間、彼氏がいたことは無い。

色恋沙汰に一切縁が無かった。縁が無いと言っても、告白されることはあったし、周りの評判も良かった。

しかし、当人はバスケ以外のことに興味を持たなかったのだ。

実際、彼女はオシャレをすることも無く高校まで過ごしてきた。

高校に入学してからは、今井奈美に何度か注意を受けることがあったが変わることは無かった。

彼女が、服装などに気を遣う様になったのは、言うまでも無く一之瀬との出会いだろう。

何がそこまで彼女を変えたのか。それは、彼女にしか分からないだろう。

だが、言えることがあるとしたら・・。

彼女は、今まで性別関係なくバスケにおいて、自分は強いことを示してきた。

事実、彼女は中学時代は選抜選手に選ばれるほどの経歴を得て来た。

カッコいい自分を見せて来たのだろう。

じゃあ、一之瀬に対してはどうだろうか?

カッコいい自分と同じくらい、少しでも可愛い自分を見てほしい。

生き物の成長とは、意外にも早いもので知らぬうちに成長している。

彼女の心の恋や愛と言った、感情もいつの間にか成長していたのだろう。

その心の本質を気付けるかは、彼女のこれからの成長と

彼の頑張りにかかっているだろう。

ブクマが久しぶりに増えまして・・!感激しております。

投稿した後も、執筆しますので続きは、明日投稿できると思います。

今後は、彼と彼女の違う意味の成長をご期待ください。

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