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現実的な恋模様  作者: 宮日まち
1章 出逢いは始まり
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-約束- 交わした約束

夕刻でも、少し汗ばむ気温のせいか僕の身体は汗だくになっていた。

自転車でこんなに速いスピードを出したのは、初めてかもしれない。

余計な思考は一切考えずに、無心でペダルを漕ぎ続ける。

高校の自転車置き場を通り過ぎ、体育館に直行した。

本当は、指定の場所までしか自転車の乗り入れは禁止されているが、配慮しようと言う考えは削除された。


体育館から聞こえる音に、どこか期待している自分がいる。

申し訳無い気持ちと、もし居たらと言う淡い期待を含んだ顔で中を覗く。

そこには一年生の何人かの部員が居たが、彼女の姿は無かった。


露骨に残念がる僕を見かけたのか、一人の女の子が話しかけて来た。

「あれ、君。一之瀬君だよね?どこ行ってたの?星香、ついさっきまで待ってたよ。」

「あ、今井さん。実は急な予定が入っちゃって・・。」

彼女は、山下さんの親友の今井奈美(いまいなみ)さん。中学の頃からの仲らしいが、僕がこうして彼女と話すのは初めてのこと。

「ふーん、そっか。星香だったら、まだ近くにいるかもね。」

「どうも!」

軽く会釈して、体育館を後にする。


「あらら、速いなー。どこに行ったのかも聞かないなんて。」

(これは、体育館空けといた方が良いかな。)

「みんなー、帰りにミスド寄ってこー。ほら男子たちも、帰ろ。」

「もしかして、奈美の奢りー?」

「そんな余裕ないよー。」


「疲れたし、山下も帰ったみたいだから帰るかー」

「あんたら、星香目当てならもっと頑張んなよー。」

「目当てとかじゃなく、見てるだけだよ」

「ああ、目の保養だな」

「はあ..。今の言葉、本人が聞いたら二度と口聞いて貰えないよ..。」

「そりゃ大変だ」

数人の男女が楽しく放課後を満喫していた。



敷地面積は高校の中でも大きい方で、体育館は2つもある。

出口は4つあり、正門、裏門、東門、西門。

バスケ部が使う体育館は、東門の近く。

東門を通り過ぎ、正門へとやって来た。

(もう帰っちゃったのか?)

前に自販機の前で偶然会ったから、帰る方向は同じだと思う。追いかけてみることにする。


そう思って、自転車を跨がろうとした。

足を振り上げた時、背中に衝撃が走る。

「バシィ!」

「痛っ、背中、てか股ぶつけた..」

痛みを堪え、後ろを振り返ったら怒っている山下さんの姿があった。


「ふぅ、これで許してあげる。何かあったか知らないけど連絡くらいしてよね。」

「申し訳ないです..。あっでも俺、山下さんの連絡先知らなくて。」

山下さんの優しさと痛みで涙目になる。

「そっか、そう言えばそうだね。」

何かを考えるかのように、しばらく彼女が唸っている。


「それじゃあ、私と1on1で勝てたら教えてあげる。」

彼女の顔を見ると、不敵な笑みを浮かべていた。

主人公に優しい世界。

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