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エッセイ

小説作法厨にもの申す

作者: いかぽん

・文頭は一文字、字下げする。

・台詞の「」には句点を打たない(×「文章作法は大事だよ。」 ○「文章作法は大事だよ」)

・三点リーダー(…)とダッシュ(-)は二個単位で使用する。中黒(・)を使うのはNG。

・疑問符(?)や感嘆符(!)の後に文章が続く場合、一文字スペースを入れる。


 ……などなど。

 一般に「文章作法」などと呼ばれている文法があって、これを「正しい文法」だと盲信している人が、とてもたくさんいるようですが。


 んなこたーないです。


 例えば、台詞のカギカッコに句点を使うかどうか。

 これは小学校の作文の授業では、句点を使うように習ったはずです。

 つまり、「文章作法は大事だよ。」──文法上は、こっちが正解のはずです。


 例えば、疑問符や感嘆符の後のスペース。

 そもそも、小学校の国語の授業では、できる限り疑問符や感嘆符は使わない方が良いという風に、僕は習いました。

 三点リーダーやダッシュだって、文章上、あまり上品な表現方法ではなかったはずです。

 つまり、疑問符、感嘆符、三点リーダー、ダッシュは「そもそも使わない」のが、本来の、お上品な書き方だったかと。


 つまりこれらは、「正しい文章作法」などではないのです。

 ただ単に、現在ほとんどの書籍の小説が、このような書式で書かれているというだけの話にすぎません。

 ある知人の言葉を借りるなら、それは事実上の標準デファクトスタンダードなのです。


 この辺で勘違いしないようにしっかり断っておくと、僕はこのいわゆる「文章作法」が不要だ、間違っている、などと言いたいわけではありません。

 実際、僕が自分で書く文章は、だいたいこの「文章作法」に則って書いているかと思っています。


 事実上の標準デファクトスタンダードに乗っかることは、多くの人にとってその文章が読みやすくなるという点で、大事なことだと思っています。

 作者としては、これを知って活用することは、多くの人にストレスなく文章を読んでもらうための手法として、非常に有効だと思います。


 そういった意味で、いわゆるところの「文章作法」を知ることは、大変大事だと思っているのです。


 ……が。


 見苦しいのは、他者の書いた文章に対して、この「文章作法」なるものに則っていないことをもって「文章の書き方がなっていない。ちゃんと勉強しろ」などと言ってしまう、無知で無思慮な人です。

 感想欄でそういう愚行をやっている人を見ると、お前こそ基礎からしっかり勉強し直せこの阿呆と言いたくなります。


 ソクラテスさんの「無知の知」という言葉を知らない人は、そんなにいないかと思いますが、どうして自分の知っていることが正しいことだなどと、断言してしまえるのでしょう?

 世の中には、自分が知らない「もっと正しいこと」があるかもしれません。


 あるいは、ひょっとしたらその作者が、いわゆる「文章作法」を知った上で敢えて文体を崩して書いているかもしれません。

 しかるに、そうであるかないかを確実に見極められるほどの素晴らしい目を、その人は持ち合わせているんでしょうか?


 ところで、この『小説家になろう』で、文学作家として高い評価を受けているとある作者の作品は、見たところ「文頭字下げ」をしていませんでした。

 僕は、その人がいわゆる「文章作法」と言われているものを知らないわけがないと思ったから、おそらくは意図的にこれをやっているんだろうと思いました。

 実際にその人の文章は、空行をうまく活用することで、読みづらくはありませんでした。


 だいたい、「文章作法」なんてそんなものだと、そういうことを僕は言いたいわけです。


 過去に見た感想で一番見苦しいと思ったのが、いわゆる文章作法の内容ではないのですが、「句点を打ったら必ず改行するのがルールだ」という指摘をしていた読者様でした。

 アホか、書籍読んだことないんか、思い込みでモノ言うのも大概にせぇよと、感想欄で横槍を入れるのも作者さんに迷惑がかかるのでメッセージで突ってやろうかと一瞬思いました。

 あまりにも子供染みていると思ったので、自重しましたが。


 いや、確かにネット上ではその手法で文章を書き、こまめに改行と空行を入れて文章を組んだ方が読みやすいと思って、そうしている作者が多いことは事実です。

 でも、それが「ルール」って……。

 縦書き版で読む人だっているわけですから、その辺は作者の裁量であってしかるべきだと思うんですが。


 これの逆のパターンもありました。

 頻繁に空行を入れている作品に対し、こんなのは小説の書き方じゃない、書籍の小説を読んでみろ、という指摘です。


 アホらしい。

 旧来の書籍の事実上の標準デファクトスタンダードは、あくまでも書籍(紙の本)で、縦書きの文章を読むことを前提とした標準です。

 読む媒体が変わってくれば、最適な形など、当然に変わってきます。

 まだウェブ上での最適形が確立しきっていない中、読者にとって一番読みやすい形はどういう形なのかを自分なりに模索している作者に対して、何と低次元な物言いでしょう。


 ちょっと違う物言いでは、「ステータスを表記するなんて小説じゃない」なんていう読者様の指摘も、ほかの方の書いた作品の感想欄で見たことがあります。

 小説の可能性をわざわざ狭めて捉えるのはその方の勝手ですが、その浅はかな思想を人様に押し付けるのはいただけません。

 子供の頃、「本を読め」と父親から言われて、『ロードス島戦記』か何かを読んでいたら「お前の読んでいるそれは本じゃない」と言われたときのことを思い出しました。


 ちょっと話が逸れましたが。

 「文章作法」なるものを盲信する人は、だいたい物事を深く考えもせずに、「これが正しい」と決めつけ、それに適合していないものを不当に非難します。

 傍から見ていて、大変に見苦しい愚行であると思います。


 じゃあ、言って妥当性のあるラインはどこなのかと言えば「個人的には読みづらかったです」というところまでかと思います。

 読んで実際に読みづらかったなら、それは個人の感想として、間違いではないのですから。


 そんなわけで、たまには大っぴらに毒を吐いてみた小生(←って言うと小説家っぽい)なのでした。


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― 新着の感想 ―
[一言] 文字中毒な私からしてみりゃ面白く読めさえすればいいんですよねぇ(´・ω・`) ルールルールいう前に内容をデスネ… たまに見かける顔文字的な><とか多用されるとこれ縦書きになったときどうすんだ…
[一言] 文豪の作品では「……」「!」「?」「()」は余り使われていませんね。「()」のように、何かを追記で説明する場合は「○○だ─彼はそれが苦手だが─」という方法で描いています。ただ、「これだ。」じ…
2018/09/06 21:17 退会済み
管理
[良い点] その通りだなと思いました。 読者が「よみづらかった」ということ自体は特に問題ではないとおもうし、作者の事実そうなので「ごめんね」ってなるしかないとおもうのですが、読者が「作者を評価してしか…
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