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始まる悪夢

いよいよ始まります。

「ただいま……。」


僕はマンションの錆びた金属製のドアを開けながら、呟くように家に帰ったことを告げる。


だが、誰も返事をしない。


それもそのはずである。


僕、こと冴島さえじま とおるは高校生だ。


両親は二人とも海外出張でマンションにいない。


鍵を掛け、廊下に荷物を置いたところで、ふぅ、と息をつく。


今日も何の変哲もない一日だった。


手早く服を脱ぎ、洗濯機に入れると、浴室に入る。


冬だが、風呂はためていない。


節水とか、いろいろ理由はあるが、なにより面倒だからだ。


シャワーから温水が出ると、体が芯から温まる。


手の上にシャンプーを乗せて泡立てる。


ほのかに柑橘系の香りがして、やがて部屋に充満する。


「気持ちいいなぁ~。」


シャンプーを洗い流して、次に体を洗う。


体を洗い終えると、バスタオルで体をよく拭き、下着を身に着ける。


部屋着に着替える。


僕の部屋はそれ程広くはないが、それでも十分なスペースがあり、壁にはアニメのポスターが貼ってある。


荷物を机の横に置くと、中を開けずにそのままベッドに寝転がる。


「ふぃ~。寒い寒い……。」


布団にくるまる。


宿題?なにそれおいしいの?


宿題は学校に早く行ってやればよい。


……いや、それでは宿題とは呼ばないか。


そんな取り留めもないことを考えているうちに、眠気が押し寄せてきた。


「ふあぁぁ~あ……。」


大きな欠伸を一度だけすると、あとはその眠気に抗うことなく意識を手放した。


その直後どこからか悲鳴が聞こえてきたことに徹は気づかなかった。












「んあ……?」


カーテンから日光が漏れている。


何やら外が騒がしい。


デモ行進でもやっているのだろうか。


ふと枕元の目覚ましを見ると、既に11時を指していた。


これではもう三時間目の授業が始まってしまっている。


「また、先生に怒られるかな……。」


そういいながら体を起こす。


ドン……ドン……ドン……


「なんだ?」


断続的に聞こえるドアを叩く音。


ノックなどではなく、まるで両手を重力に従って振り下ろしているかのような音がする。


「誰だ……わざわざ先生が迎えに来たなんてことはないよな~…。」


取り敢えず玄関に向かう。


ドン……ドン……


やはり、絶えずノック音が聞こえてくる。


「変だな……。」


靴を履き、ドアについている覗き穴を確認する。


そしてドアの向こうの来訪者と目が合った。


「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


いや、目があったという表現はおかしいかもしれない。


なぜなら、その来訪者には目がなく、目のあるべきところには暗い闇があったのだから。


「な、なんなんだ……?寝ぼけてるのか?」


もう一度、覗き穴を見るが、見間違いではない。


ただ、目のない血まみれの男がドアを叩きつづけている。


「ど、どうしよう……!とりあえず、警察に電話しないと!」


靴を履いたまま居間にあるテーブルやイスを積んで扉をふさぎ、警察に電話をする。


トゥルルルル………トゥルルルル………


「早く……早くかかれよ!」


ドン、ドン、ドン、ドン


ドアを叩く音が増えた。


ガチャッ


電話がつながった。


「もしもし!警察ですか!不審者が家のドアに……!」


『こちらは下井警察署です。只今、回線が非常に混雑しております。時間を開けてから、おかけ直しください。こちらは……』


受話器を置く。


「うそだろ……?警察の回線が混雑って、こんなのあるのかよ!」


僕はカーテンを開ける。


そこで、僕は信じられない光景を目にする。


「なんだよ……これ?」


町中から上がる火と煙。


市民に向けて発砲する警官と、銃弾を受けても意に介さず襲い掛かる市民。


蠢く人と、泣き叫ぶ声。


衝突する車。


「なんなんだよ!?これは!!」


ちょうど、昔見た映画の宇宙人に侵略されている最中の地球のシーンが連想された。


宇宙人の母船からの攻撃で建物とかが倒壊してエライことになってるやつだ。


まだ自分が夢の中にいるような、足が地面についていないような奇妙な感覚を覚える。


それはあまりにも現実味がない光景を見たからだろうか。


扉を叩く音はまだ続いている。






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